暇だから | 想像と創造の毎日

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自分で撮影しております。




同年代の独身の友人は、金と暇を持て余している。
最近、やっとガラケーからスマホにした彼女の新しい趣味。
チケットぴあを検索して、自分の知っているアーティストが道内で開催するコンサートやライブのチケットを取りまくること。
札幌のPerfumeのライブに行かない?
彼女は私にそう言って、その日は何の予定もないことはわかっていたけど、一応確認するために私はスマホのカレンダーを眺めた。
数字の下の白い余白に目を落としてから、いいよ。私、Perfume好きだから行きたい。と言うと、彼女はとても驚いたけど、喜んだ。
どうして一緒に行く人が決まってもいないのに、チケットを取ったんだと尋ねると、りりこさんみたいな人がいるからだと彼女は笑った。
お金のない私と行くならば、移動は飛行機ではなく車になるし、ホテルの部屋も私と一緒になるよ。と言うと、彼女はいいよ!いいよ!りりこさんが運転するんだしさ。と勝手に決めつけた。
仮にも少しだけど私より歳下で職場の後輩だ。
だけど私はこの子のズケズケと物を言うところも、私を年上だからと遠慮することがないところも大好きで気に入っている。
いや。彼女の賢さが好きだ。彼女の持つ私との間の距離を測る定規が好きだ。
しかし彼女は私に自分のことをこんなふうに言った。人の気持ちがわからないから、自分の思ったことはなんでも直ぐに口にしてしまいます。だけど、あとですごく落ち込みもするんです。もっと相手の気持ちや立場を考えてから、物を言えば良かったな。って。

一人で都会の街を歩くことに慣れている彼女に美味しいお店や素敵なブランドショップを教えてもらう。こんなことは独身の時以来随分久しぶりな気がした。私でも買えるプチプラのオシャレと家族では入らないだろう繁華街のカフェ。彼女は自分のわがままに付き合ってもらっているという雰囲気を装って、私を自然に案内した。

真駒内のライブ会場に向かうために札幌の地下鉄南北線を大通り駅から乗る。PerfumeのTシャツやタオルやサブバッグを身につける人を見つけて、この車両に乗る人たちはみな同じ行先なのかとなんだか他人事みたいにおかしい。

南平岸駅から地下鉄は地下を走らなくなるのは知ってた。目の前の窓から突然光が射し込んでくるのが眩しい。地上に出てからも電車はシェルターの中で守られて走る。

降りた駅から歩く。
街路樹のイチョウの木が珍しくて、二人でまっ黄色の落ち葉を集めて空に放って遊んだ。私たちの街では滅多に見られない。
彼女がふと言った。
あのさ。どうして途中から地下鉄は地下を走らなくなったの。
私もさっきそれが不思議だったんだと言った。
なので立ち止まってググる。
理由はいくつかあったけど、結局はお金が足りなかったみたいだね。で落ち着いた。
どうして、銀杏て臭いんだろう。
そういえばPerfumeって何歳だっけ。
セイコーマートの会社名はセコマなんだよ!はあ?嘘だ!セコマは愛称でしょ!いや違う。いつからか、会社名になって、セイコーマートは子会社なんだよ!

りりこさんは子供みたいだね。いつも木とか虫とかばっかり探して歩いてるの。
うん。そうだね。割とそうかもしれない。
あんたは、金も暇もあって、自分が選び放題の数ある趣味の中でなぜそんなに好きでもないライブに行くことを選んだの。
わかんない。スマホを使えるようになって最初に出てきた画面がチケットぴあだった。

お互いにくだらないことばかり考えて生きているね。と大笑いした。
けれども私は知っている。
彼女はいつも大事なことを見つめている。
彼女の子どもたちを相手にする仕事と、私が自分の子どもたちを育ててきたことで、お互いに人にとって何が大事なんだと思うのか?を寝る前の薄暗いベッドで言い合った。
それは、自分の力で考えられること。
私たちの感じてきたことが同じであることに安堵して、やっと瞼は重くなる。