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ご近所の魔境《ここは店主さんの王国》

料理のサンプルが並ぶ飲食店のウィンドウ。そこはサンプル以外に人形ガラクタ、店主さんの自慢のコレクション。時には理解しがたいものが飾られている。あなたの近所にもあるかもしれない、店主さんの王国をご紹介しよう。


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      お椀が飾られている。その横にコカコーラのボトルがある。
      だからといって、コーラのグラスがわりにお椀をというわけではない。
      たまたま横に置かれているだけなのだろう。

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        お椀とコーラは下から2段目の棚。
        全体を見れば極めてシンプルな
ショーケースだ。
        招き猫だとか、造花だとか、ご主人のコレクションとか、
        他のお店で目にする
ようなサンプル以外の
        余分なものが皆無である。
        無駄をそぎ落として必要最低限のモノを並べる。
        その結果がこのショーケースなのだろう。

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      いちばん上の棚を見てみよう。日本酒、ビールの小瓶、中瓶、大瓶が
      並べられている。大瓶でたっぷり飲みたい人もいれば、小瓶で十分と
      いう人もいる。ビール小瓶でのどを潤してその後に日本酒を飲みながら
      食事をしたいという人もいるだろう。思いやりの棚だ。

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           その下の棚に、ラップで包まれた料理が飾られている。
           料理のの品書き、値段などの表示はないが、
           写真の料理はポークソテーだと思う。


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            ヒレカツか魚などのフライだろうか。
            スパゲッティのケチャップ炒めと生野菜、
            スライスされてレモンが添えられている。

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            トンカツだが、ポークカツレツといたほうが
            よいかもしれない。
            ショーケースの中に飾られている料理は、
            この3品のみだ。

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       そして下から2番目の、お椀とコカコーラの置かれた棚。
       隣に木蓋の鉄鍋と土鍋が、異様な存在感を漂わせて鎮座する。

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           何の説明もない、ただ置かれているだけの鉄鍋。

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           土鍋は何に使う。湯豆腐、鍋焼き? 
           何の説明もない分だけ、
           眺めていると異様さが際立ってくる。

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        そしていちばん下の段。何も飾られていない。
        白いレースのテーブルクロスが、意味もなく床面を被っている
        以前は何が並んでいたのだろう。その時間と空間を想像すると、
        形而上学的な問題のような、謎が浮かび上がってくる。

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 「うーむ」。
   それにしてもシンプル。謎も秘めている。
   『富士レストラン』という店名からして
   スタートは洋食がメインだったのだろう。
   その記憶が洋食系のサンプル3皿ではないか。
   そしてお客の要望に答えて和の品々が増えてきた。    その象徴が土鍋と鉄鍋。
   何も飾られていないテーブルクロスだけの棚は、
   やはり
形而上学的お店の空気と時間が
   飾られている。
   この考え、どうだろうか。


イメージ 13『富士レストラン』の定食メニューは、
店の入口わきの貼紙で紹介されている。
店内にも焼き魚、煮魚、天ぷらなど
定食からポテサラやハムエッグなど
単品メニューの貼紙が並ぶ。その横に
帝国ホテルの名料理長村上信夫さんの
色紙が飾られていた。
店主さんは帝国ホテルで洋食の修行をして、
このお店を開いたのだろうか。
その記憶と誇りが、サンプルの洋食3皿に
つながっている。

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  ビール大瓶620円、中瓶500円、
  小瓶340円。日本酒は冷やでもお燗でも
  一合310円。
ゆったりと時間が流れる
  店内では昼食に酒を友とする
  オヤジも散見する。ここは駅から歩3分で
  喧しい世間を忘れられる隠れ場なのだ。

  ちなみの秋になったら生サンマ焼き定食が
  是非のおすすめ。
隠亡焼きといって
  サンマが
焼き網ごとガスコンロの
  盛大な炎につつまれる。その様はまさに
  地獄の火あぶり。ジューシーに焼かれた

  その横に、熱燗のお銚子でもあると、
  とてもとても、幸せになれるのだ。












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       《うな重(お新香・きも吸い付)1500円より》
       これが、『宮川・駒場支店』の入口わきの
       ショーケースで紹介されている、お店の情報全てである。
       あとは、うなぎ屋らしい所といえば棚の隅に
       ウナギの漁につか仕掛けのカゴが飾られているだけ。

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      うなぎ屋であって、招き猫屋さんではない。
      骨董屋でも、ラッキーグッズ専門店でも、もちろん民芸品店でもない。
      食事時にはうなぎを焼く香りが店先に漂う、老舗のうなぎ屋さんなのだ。

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     飾られた招き猫のなかで、ひと際目を引くのが右端の《ヒゲタ招き猫》。
     ヒゲタ醤油の販促用につくられたもので、お店の商売繁盛を願った縁起物だ。
     招き猫の左の手上げは千客万来を意味する。隣の黒い招きは
     千客万来にくわえて厄除けの願いもこめられているという。

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      とにかく、色んな招き猫が大集合。
      参億円の札を掲げる黄色の招きは、三億円ジャンボ宝くじ当選祈願の
      招福グッズ。大きいの、小さいの、全部で何体あるのか
      ゴチャゴチャしすぎて数え切れない。
      店頭のショーケースの中に招き猫を飾り、いつの間にかその数が増えて
      という店は結構多いのだがココまでとなると、とにかくヘェーなのだ。

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参億円の招きの耳に、全長1センチくらいの超ミニ招きがのっかっていた。


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   参億円ネコの下の段を見ると、
   ネズミを抱いたネコ(キツネっぽい
   きもするが・・・)。
   その隣には右手をあげた、リアルな子猫。


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さらに隣には眠り猫。
可愛い子猫が2匹目をつぶって
お休み中だ。



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       まるでマンガな顔のネコも、
       子猫2匹の隣で片手片足を上げて
       グータラしているのだ。


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       集合する招きの中には、キティちゃん風のネコもいる。
       縫ぐるみ製みたいで、公式グッズではなく手製かな。
       本物のきティーちゃんが頭につけているのは
       リボンなのだが、こちらは花の髪飾りのようだ。

イメージ 4右手を揚げた招き狸、だと思う。
よく見つけたな、と思う。
ちなみに、招き猫の右手上げは
金運を招くのだそうだ。

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   ひょうたんに入った招き。
   観光地で売っていそうな縁起物だ。


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          ショーケースの左側をシーサーが飾る。
          その中で、もっとも目立つのがこの緑の招きシーサー。
          千万両を抱えて、ニコニコ、ニコニコ。いい笑顔だ。

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      右手と左手をそれぞれあげる二対一組の招きシーサー。
      このように二つ並ぶと、僕たち仲良しみたいな感じがして可笑しい。
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    なぜだか分からないが、招きたちのなかで2つだけ
    飾られている童女の人形。巫女さんなのかな?



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   手づくりらしい猫の縫ぐるみが、品書きの額の前に並ぶ。店主さんは猫好きなのか?

     
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うなぎの『宮川・駒場支店』は京王井の頭線の
駒場東大前駅から歩いて2分。入り口は木の
引き戸で、かなり年期の入った店構えだ。
店頭に飾られている招きたちは、バラエティーにとみ見ごたえあり。
ショーケースの片隅で鰻の漁に使う仕掛けのカゴに
造花が飾られているのが、このお店で
唯一うなぎ屋らしい部分なのである。





















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 地下食堂街への入口。
 後ろに見えるのはバスターミナルの
 チケット売り場だ。
 中央バス札幌ターミナルは
 50年前にたてられた古いビルで、
 地下食堂街へのエスカレーターや
 エレベーターなど、お金のかかる
 設備はない。





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矢印に案内されて地下に降りる。
階段の踊り場に案内図があるが、
「地階売り場ご案内」と違和感ある
表示に、異界への期待がふくらむ。







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  案内図の左側、
  コーヒーショップの横に、
  この階段がある。
  地下には全部で8店舗。
  右側半分の『営業時間』と
  記された空間は倉庫にでも
  つかわれているのだろう。
  入居者が少ないから
  閉鎖されているのだと思う。



   さあ、いってみよう。
      魔窟なる地下のお店へ。一品定食『藤』のショーケースをじっくり見てみよう。

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         色んな料理がならんでいる。
         ステーキ用の鉄皿が目を引く。どうやら料理は洋食系のようだ。


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        カキフライはタルタルソースが添えられた本格派だ。
        胡瓜のスライスや千切りキャベツが黒ずんで、
        サンプルはかなり古っぽい。

        その下段。カキフライの下に見えるお銚子や、お皿の隣に置かれた
        トリスのハイボール缶。呑むもうよ~ォといっているみたいな、
        とてもユルイ感がただよって、イイ感じなのだ。

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お銚子の大きいの、小さいの。
さぁー、どっこい、じゃんじゃん。
もう一本いかが。
店主さんは、お客さんに期待している。




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   お銚子の軍団につづけと、
   並べられた『トリス・ハイボール』缶。
   手前のフルーツ類は洋食系の
   陳列お決まりアイテム。
   なぜだか分からんが、ステーキや
   ハンバーグの横に必ずフルーツ。





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左端の『SAPPORO SOFT』は札幌の
酒造会社がつくる北海道でおなじみの甲類焼酎。
隣の『純』もかってブームを起こした同じ甲類。
店主さんの期待は、独り客だけじゃない。
グループで来てくれると、うれし~い。
ショーケースが身悶えしているのだ。




      
   「お客さーん」。
・・・・・・・・。

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       下はカリッと揚げられたチキンカツにブラウンソース。
       美味しそうじゃないか。

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       生姜焼き定食、肉の焼き色が感じでている。
       お店が地下で太陽の光を浴びないから、
       サンプルの劣化が、地上と較べて少ない。
       ドラキュラ伯爵と同じように、歳をとらないのだ。

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        むかしはエビフライ、ビーフシチュー、ハンバーグ。
        デパートの食堂のように、お子様ランチもやっていたかも知れない。
        色んな洋食のメニューが並んでいたのだろうな。
        


     でも、今は・・・・・・

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        いちばん上の棚は、居酒屋になりきれない洋食屋さんの
        悲痛な叫びだ。サンプルを片付けて、お酒のお伴に
        値段も勉強した魂の叫びが、もとい努力のお品書きが並んでいる。


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         中生&だし巻、板和さ、枝豆セット800円を700円に。
         その他、オニオンリングフライ300円、もろ久250円、
         生ラムジンギスカン600円、おつまみ色いろ。
         日本酒は2合で500円(安ッ!)。期待しているのだ。

     さらに、悪魔のささやき。
         地下なのに、紫煙の天国がここにある。

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      フォーッツ、フォ、フォッ。
      ゴホン。フォーッフォホ。ゴホン。

        悪魔の嗤い声が、地下の異界にひびきわたる。
        タバコは心の日曜日。吸う度に新鮮。
        嗚呼、なんて心に響く健康的なキャッチフレーズだろう。

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         ランチタイムは安くてうまい穴場なのかもしれない。
         それ以外の長い時間が問題だ。
         紫煙の悪魔は奈落の底で五本の指を大きく開いて
         あなたを待っている。ゴホン、ゴホ・・・・。



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      地下食堂街への入り口は
      バスターミナルからの階段と、
      表の通りに面した階段のふたつ。
      そして此処にはエレベーターも
      エスカレーターもない。
      階段を一歩ずつ降りていくのだ。
      降りていくその階段は入口であって、
      決して出口ではない。
      フォー、フォーッ、フォ。
      異界からの脱出は、その入口の流れに
      逆らって、階段をのぼらなければ
      外にでることはできない。
      フォー、フォーッ、フォ。
     フォー、フォーッ、フォ。

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         大衆食堂らしく、色んな料理が並んでいる。
         むかしはこういう食堂があちらこちらにあったと思うけど、
         今は少なくなったなァ~。哀愁の大衆食堂なのだ。

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         お店の一番人気はチャーハン450円。
         超メガ盛りの大盛りが人気だったらしいが、
         現在は『終了させていただきました』と品書きに書かれている。

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         ショーケースの中には丼モノ各種が並ぶ。
         丼ものは、手早く食えるパワーの源だ。

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         中華丼とカツ丼が並んでいる。コチラのお店では
         中華の餡かけご飯は丼ものの仲間なんだ。

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          こういうものも、やっている。
          他のメニューと比べてかなり高額な天ぷら定食。
          他のサンプルもそうだけど、どのメニューも透明のビニールや
          ラップでおおわれて、きわめて見ずらい。サンプルを大切にする
          のはいいけれど、展示としては邪道だと思うのだ。

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           肉鍋だそうだが、ラップのため中身がほとんどわからない。

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           中華のメニューも色いろあるようだし、中華と和食が
           この食堂のコンセプトかな。

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お店『七福』は札幌と北海道の各地を結ぶバス会社、中央バスの
札幌ターミナル地下にある。

北海道だから鮭定食もあります、
というわけか。
ラップで包まれているけど、
色いろと並んでサンプルの中で
この鮭がいちばん美味しそうた。


   
    ショーケースのいちばん下の段、その端っこの目立たない場所に、
    このサンプルが置かれていた。
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    おでん定食。単品の場合は一品120円から200円だな。
    透明の容器に入っているのは、そのおでん各種なのだろう。
    けど、容器ごとラップされているので中身がよくわからない。

  さて、である。
    お店の入口にかけられた『七福』の暖簾だ。
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 暖簾には大きな文字で、お・で・ん。
 店名あんどんには、おでんの下に七福食堂。
 本来はおでんを店のメインとした
 地下の大衆食堂だったのだろう。
 それが中華も始めたら、人気が出てしまって
 チャーハンの大盛り(現在はやってないけど)が
 名物になってしまった。そういう、ことか。






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    この地下食堂街がある中央バス札幌ターミナルは、大通り公園の札幌テレビ塔から
    歩いて2分ほどの距離にある。観光名所の二条市場も近いのだが
    訪れる観光客はほとんだいない。バス利用者と近隣で仕事する人が客のメイン。
    地下街にはココ独特の気だるくゆるーい時間が流れていて、ここでお酒でも
    呑もうものなら、なかなか抜け出せない。
    魔窟的な居心地のよさが楽しめる、地下食堂街の『七福』なのである。

    ※次回のブログ更新では、同じ地下街の魔窟な店『藤』を案内します。

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        ショーケースの中のチャーハンだ。
        米粒のパラパラ感がでている。


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        次いでラーメン。具のほうれん草の緑色も鮮やか。
        チャーシュウ、メンマ、ナルトが入って
        
典型的な街の中華屋さんのラーメンだ。

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       同じショーケースに飾られているニラレバ炒め。
       ラーメン、チャーハンのサンプルと比べてかなり印象がちがう。
       見て、おいしそうでないし、どちらかというと汚い。
       モヤシがなんか虫のようなヘンなものに見えて気色わるいのだ。

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       さらにコレ。酢豚なんだけど、もうヘタれすぎ。
       お皿の下側、高台が紙テープみたいなもので補強されて痛々しい。
       かなり昔につくられたサンンプルなんだろうな。

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         かなりヘタった古いサンプルと、そうでないのが、
         一緒に飾られているショーケースがコレ。
         庶民的な日本の中華屋さんの代表的メニューが
         シンプルに並べられているのだ。


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       中華『つばき』は中野新橋駅から歩いて6分ほど。
       駅からかなり離れた地味な商店街をぬけて、そのいちばん端っこ。
       店をビルに立て替えて、古いサンプルを並べるのもどうだろう。
       しかし長年、飾っていたものを全部すてるのも忍びないと、
       このショーケースになったのではなかろうか。


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       でも、このお店は地域密着型でお客のほとんだは近隣住民。
       店頭のショーケースを見る人なんて滅多にいない。
       ショーケースというものは手入れをおこたれば、ガラスは汚れ
       中に埃はたまる。維持しつづけるのは案外たいへんなのだ。


というわけで、イメージ 8
出た結論がコレ。
だと思う。

 もしかすると、
 新しいサンプルだけを小さなケースに移した。
 壁に取り付けられたランプは
 その照明用だったかもしれない。
 でも結局、撤去されてしまったのだ。




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     ショーケースのなくなった店頭で、出前のバイクが待機中だ。
     ショーケースが本来の目的からそれて、店主さんの趣味の展示場になったり、
     手入れされずに
棄景化する例も多い。その中でショーケースの跡だけ
     というのは、遺跡化したショーケースの究極の形かもしれない。めずらしいのだ。








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     "白塗りのメリーさん"と呼ばれた伝説の老娼婦が横浜にいた。
     いつも白いドレスを着て、顔を白塗りにして街の中を歩いていた。
     『ヨコハマメリー』(2006年公開)というドキュメント映画の主人公である。
     そのメリーさんを、このバナナパフェを見て思いだした。
     白塗りなのである、このパフェのサンンプルも。

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『フルーツパーラーたなか』の
ショーケースを飾るサンプルは、
驚くことにすべて店主の手づくりだ。
材料は木片、粘土や石膏など。
左の写真は氷アヅキ。氷の部分は
石膏か粘土で作られたように見える。
その氷部分を、娼婦のメリーさんに
負けじと、白塗りだ。


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      上は氷レモン。白塗りの上に黄色の塗料をかさねている。
      下はカキ氷のラインナップ。氷イチゴ、メロンは綿に塗料を吹きかけた
      ようにみえる。どのカキ氷も氷にシロップをかけただけの
      クラシックなスタイルだ。

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       他のサンプルを見ていこう。店主いわく
       「プロなんかには、こうは上手につくれない」なのだだそうだ。

       いずれも専門メーカーがつくる樹脂製サンプルとは、一味も二味も
       持ち味が違う。ひとつひとつに摩訶不思議な、店主さんの魂の
       ようなものを感じてしまう。


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        チョコパフェのアップ。
石膏を使ったのだろうか、
        アイスクリームが雲か海の波のようにも見える。
        単純に手づくりというよりもアウトサイダー・アートに近い。
        独特のいい味でている店主さんの力作だ。


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         フルーツパフェのアップ。
         切り込みの入ったリンゴの形の大胆さに驚く。

         下はフルーツアンミツ。
         木製の積み木細工みたいなリンゴやバナナは
         最高にキュートなのだ。

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          ドリンクのサンプルも手づくりだ。
          写真中央のレモンジュースはグラス内側の
          白塗りに、黄色の塗料を混ぜている。


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つい先ほどまで、売り場に並んでいた
果物をカットして供される各種フルーツのメニュー。しかも安い。
『フルーツパーラーたなか』は開店から
50年以上の歴史を持つ名店だ。
お店は老夫婦ふたりの営業で、
お母さんがフルーツのカットなど調理を
受け持つ。
さあショーケースの横にある木枠の
ドアを開けよう。
手づくりのサンプルよりさらに大胆。
フルーツポンチ、フルーツパフェ、
フルーツアンミツ。これでどうだ
というくらい、たっぷりと供される
フルーツ極楽をぜひお試しあれなのだ。

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  かた、むいて、いる。はみ、だしている。
  おソバが、汁ごと丼の中で斜めに傾いで、
  いまにも、とび出しそうなのだ。

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  コレ
は。もっと凄い。丼の中でゆさぶられて
  円盤投げのようにクルクルと回って、
  飛び出す直前の一瞬みたいだ。
  なぜ、なぜなの。どうして傾いているの。
  コレは船の中の食堂などではなければ、
  揺れる飛行機のなかでも、出前箱の中で
  めちゃくやに揺すられてきたわけでもない。

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  ほんとに、いったいどーして、こーなるの。
  夜中にこっそり進撃の巨人が出てきて、家ごと
  ショーケースをゆさぶっているのか。
  まさか、店主さんがイタズラごころで、丼の中の
  サンプルを傾かせているなんて、考えられなし。

イメージ 4 うーん??
         なのである。


  
只ひとつ、考えられる可能性。
  このお店(木造・住宅兼用の一軒家)の
  建つ場所は、目黒不動尊の門前で横を
  羅漢寺川の暗渠が走る。不動尊の門の
  前にはこのお寺でイメージ 5折り返すバスの
  発着場があり、狭い道をバスがお店の
  前ぎりぎりを走る。
  その振動が、長い時間をかけて
  この不思議をつく
ったのか。
  でも振動でこうなったのなら、建物本体
  にも影響があるだろうし。
  うーん??なのである。


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このお店『天龍」さんで、凄いのを
もうひとつ紹介しておきたい。
一番上の棚、二つ並んでいるうちの
右側の料理サンプルだ。
ショーケースの中に飾られて
どのくらいたつのか、うーん。
多分、多分なのである。レバニラ炒めか
酢豚のようなもの、だったのではないかと
おもうのだが、今は完全に


         岩石化している。

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どうだ。
まいったか。
そういうような声が、
このサンプルからは
聞こえてきそうだ。


                                                    


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 目黒不動尊、門前中華の『天龍』は
 ご主人一人でお店をやられている。
 ラーメン400円、タンメン500円、
 餃子350円、レバニラ炒め500円、
 炒飯550円と安価。営業は昼と夜に それぞれ客が一回転したら終了。ご 主人のペースで進む店内時間は、日 本標準時よりかなりスローペースの ようなのだ。
 

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     蕎麦屋のショーケースである。帯が飾られているが、呉服屋ではない。
     では何故、帯が飾られているのかというと、とにかくショーケースがひろい。
     帯をひろげて飾るくらい、本当ににひろいのだ。

     だが、ひろいという割りに並べられている
     ものどうしの距離が近すぎはしないか。もう少しゆったりと、
     並べてもという気もする

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      ひろい、ひろいと、言葉を並べていても仕方がない。
      さて、どのくらいひろいかというと。

    こんな具合だ。

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      笑っちゃ、いけない。       
      それにしても、なのである。
      並べられているサンプルとくらべて、イメージ 5
      あまりにも舞台といおうか
      空間がひろすぎる。

      それで、帯をかざり(くどいけど
      呉服屋じゃない)、傘を吊るし
      簾をさげてと、色いろと
      見せる工夫をしたのだと思う。
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  それにしても、蕎麦の横に帯なんて……。
  いったい、誰が考えるのだ。
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 ひろいから、あんなものも、
 こんなものも並べちゃう。

 ガラス製のカジキに、
 マイセンっぽい磁器人形。
 
 この二つが、ショーケースの中で
 異色過ぎて、目が
 吸い寄せられてしまうのだ。



    でも、でも、でも。忘れちゃいけない。いちばん肝心なのはサンプル。
    このショーケースは、お店のメニューを
紹介するサンプルのための場所なのだ。

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イメージ 7    並べられたサンプルのすべて。
    品数が少ないから、間隔を詰めないと
    存在感がなくなってしまうのだ。

    でも、勝てない。マイセンっぽい
    磁器人形のほうに
    目が吸い寄せられてしまう。

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 陳列のサンプルには、普通ならあるべきものがない。
 料理の品名や値段などのお品書き
がない。いったい、どうしてなのだ。
 下の写真は同じショーケースを以前に撮影した写真である。
 3年ほど前の撮影だが、サンプルの横には立派な
お品書きがあった!

イメージ 2 何故このお品書きが消えたか。
 答えは簡単に推測できる。
 料理の値段改定で、金額を
 書き直すより、お品書を
 片付けたほうが問題一挙解決。
 でもサンプルはそのまま残して、
 ということなのだろう。

 それが今のショーケース風景と
 いうわけだが、よく見ると
 壁に飾られた帯と毛氈の色が
 今と違う。単純にホォ~と、
 驚く。変異なのである。


イメージ 3  そば処『武田家』は東京メトロの丸の内線
  中野坂上駅から、歩いて10分。
  住宅街のど真ん中に店をかまえる。
  こんなところに、と思うような場所なのだが、
  付近住民だけでなく、駅近くのビルから食べに
  来る人も多いらしい。
  蕎麦屋だけど、お客に評判がよいのはうどん。
  それでサンプルのなかに釜上げうどん用の
  赤い湯桶が鎮座しているのだろう。

  遠くからお店を眺めると、飾られた帯のため
  呉服屋と間違えそうな蕎麦店なのだ。
  店先の『そば』と書かれたのぼり旗がなかったら、絶対に呉服屋だ。




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歴史のある商店街には必ず一軒はある、普段使いの洋食屋さん。
東急大井町線の中延駅から歩いて3分ほどの場所にある『キッチンなかよし』も、
いつでも気軽に利用できる、そういうお店の一軒だ。
店頭のショーケースをのぞくと、日本の洋食を代表するカキフライや海老フライ。
そしてハンバーグ、ポークソテーなどのお肉系。
飾られているサンプルの中で、ひときわ目を引くのはハンバーグだ。

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貫禄がある。長年ショーケースの中に鎮座して、横に並べられたカキフライや
エビフライにはない、時間がかたちづくった風格のようなものを感じる。
ハンバーグに添えられ経年の変化をともにした目玉焼きは、風格をこえて
半ば妖怪のような、独特の存在感をもっている。

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この風格といおうか、妖怪っぽさの度合いはすなわち、そのサンプルの味。
お店の時間の蓄積によってつくらた、独特の味なのである。
昨日今日、開店したお店がいくらがんばろうとこのサンプルの味は
絶対にだすことが出来ない。
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『キッチンなかよし』は開業が1960年。昭和35年だ。
前の東京オリンピックが開かれたのが1964年なのだから、日本が戦後の復興期から立ち直って、経済的に発展し始めた時期の創業だ。
このハンバーグが開店当初から飾られていたかどうかは不明だが、横に飾られているカキフライやエビフライと較べて、より古いことは見た目のとおり確かだろう。


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ショーケースの片すみに色あせた写真が飾られていた。テレビ東京の『もやもやサマーズ』という番組での取材らしい。変色の程度から、かなり時間は前。写真も色あせた分だけ、幽境の世界に近づき妖怪化しているかもしれない。


その写真に隠されて多少存在感を失ってはいるが、ショーケースで御決まりの付属アイテムたる招き猫ほか、ダルマなどが鎮座している。でも、その上の段で
ハンバーグがハン
               バーグと書かれているのが
                        とても気になる。これも妖怪のなせる業                         と解釈しておこう。

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小さな招き猫の前側、写真の横に正体不明のサンプルあり。
ラップに包まれた怪しき物体は、ポークソテーと品書きされている。
何がナンだかよく分からないから、異次元世界。これには触れないこととする。

話をかえて、招き猫がショーケースの中にもう一匹。
左の写真でカキフライの下。赤い座布団に座って可愛らしい。
コレダ↓。
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ショーケースに飾られてはいないが、お店の名物メニューは
ハヤシライスだそうだ。生クリームのかわりに、添えられてコーヒーフレッシュの
を自分でかけるののが、ここの流儀だとか。

イメージ 9お店のドアの真上に、テレビが置かれているので、テレビを見る客はドア方向の上を眺める。それを知らずに入ってきた客は、みなの視線をわが身に受けて一瞬たじろぐのだそうだ。

時間の蓄積を重ねてきた多くのお店が「都合により……」と閉店する。後継者がいないお店のラストシーンは、この一枚の貼紙でおわる。最後はお母さん一人で調理接客していた『キッチンなかよし』もこの例にもれず、店を閉じた。

洋食の象徴たるフライパンにお店の名前をあしらった『キッチンなかよし』の食器である。
お店の名前に"なかよし”なんて、今の時代では考えられない。不思議な名前だ。
お客さんも、お店も、みんな"なかよし”という願いなのだろうか。
多分、仲良しとかフレンドという言葉がとても輝いていた時代が、開業の
1960年。昭和35年という年だったのだろう。そういう時代があったのだと、思う今年は2016年なのである。

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東京メトロの浅草駅から歩いて2分。浅草観音通りの入口近くにある喫茶店だ。
雷門から仲見世をぬけて浅草寺へ。その帰り道に観音通りをぬけると、
駅近くのストライクゾーン、ベストの位置にこの喫茶店が店をかまえている。

ゆっくりコーヒーでも飲んで、アイスもあるし、ひと休みいかがですかと
ささやくように観光客たちを待ちかまえているのだ。

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     入口の脇にあるショーケースはいたってシンプル。
     きれいに磨かれたガラスと、ケースの中を照らす明るい照明は
     清潔感にあふれて、店内でのくつろぎのひと時を想像させる。

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     ショーケースの中でいちばん目を引くのは、視覚を刺激する色あざやかな
     ジュースやパフェ類だ。
浅草を散策しておみやげを買い求め、ひと休みを求める
     体には、
このラインナップは魅惑のラインダンス。甘いもの好きでなくとも、
     目を刺激するカラフルさに、おじさんだってつい
目がすいよせられてしまうのだ。

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     カラフルな魅惑のラインナップの下には、喫茶店のプライドを表すかのように
     コーヒー。そしてコーヒーとケーキのセットなどの紹介だ。
     コーヒーカップの中にーヒー豆を入れるのは、喫茶店サンプルの
     決まりごと。
当店は挽きたてのコーヒー豆を使っている、本格派だという
     メッセージだ。


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     こコーヒーの棚の下にさりげなく置かれているビールとコーラの瓶。
     なんともニクイ演出だ。コーヒーよりもなによりも、とにかく冷たいビールという
     オトウサンへの誘惑だ。ビールの後ろにさりげなく置かれたコーヒーミルは、
     ビールはおいていても、ここは喫茶店ですというメッセージ(笑い)。

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        サンプルの横に置かれた雷門のミニチュアが可愛らしい。
        雷門の両脇の置かれたサンプルは、ところてんとクリームあんみつ。
        和のスィーツだから、浅草を象徴する雷門が置かれているのかなァ~。

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  ショーケースの最下段には喫茶店なら
  ではの、伝統的な軽食が並ぶ。
  線引きで引いたように、くっきりと
  焼き網のストライプが入る厚切り
  トースト。本物ではこままで鋭く
  はできないであろう、あざやかな
  切り口をみせるサンドイッチ。
  そしてホットケーキなどの黄金メニュー。
  眺めているだけで、目から満腹に
  なってしまいそうだ。



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     喫茶『CROWN』は昭和36年(1961年)の開業。東京タワーが完成したのが

     1958年だから、その3年後の開業だ。店は1階だけでなく、2階にも席があり
     くつろげる。現在はこの地で生まれた2代目が先代からのコーヒーの味を守る。
     営業は朝8時から夕方の6時半まで。東京メトロの浅草駅から雷門への階段を
     登れば、そこが観音通の入口。角から3軒目がこのお店だ。