平山令明(Noriaki Hirayama)著、『熱力学で理解する化学反応のしくみーーー変化に潜む根本原理を知ろう』を読みました。
講談社のブルーバックスです。
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今日の本のお供は、私のベビーちゃんの玩具のうさ子ちゃんです。
子供服ブランドのfamiliarの起き上がり小法師のうさぎさんですよ。
出産祝いに頂きました。
ボールの中にはとても良い音のする鈴が仕込まれています。
東南アジアの楽器みたいな、澄みきった音が響きわたるような、素敵な鈴の音ですよ。
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『化学反応が起こるには、きちんとした、しかも単純な原理があります
複雑怪奇に映る化学反応も、すべて非常に単純な原理に従っています。
その原理とは「熱力学」という原理です。
エントロピー、エンタルピー、自由エネルギー すべての化学反応・化学変化が、この3つで理解できるのです。』
(カバー裏より)
高校化学を勉強していると、きっと誰でも一度は考えるんじゃないでしょうか?
「水素と塩素を混ぜたら反応して塩化水素になる…のはいいんだけど。
なんで逆の反応は起こらないんだろう?
ある物質とある物質を混ぜた時、反応する組み合わせと反応しない組み合わせがあるのは何故なんだろう?
なんで食塩を水に入れたら必ず溶けるんだろう?」
それはとても素朴な疑問なんですが、解答は高校範囲の化学からは得られません。
高校化学では、それぞれの変化や反応を一つ一つ覚えるしかなく、「そんなものかー」と腑に落ちないままでも無理に納得してお勉強を先に進めていくしかありません。
納得できない!…なんてそこで立ち止まってしまっていては、赤点必至ですから。
何故そんな現象が起こるのだかよくわからないままに、膨大な量の化学現象を暗記していくしかないのです。
そんな高校時代のモヤモヤを解消してくれるのが、本書です。
本書は化学反応や化学変化のその根本にある物理法則、熱力学について教えてくれる本です。
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本書はエンタルピー、エントロピーを解説し、その二つのバランスである自由エネルギーを解説します。
端的に言ってしまえば、ことが起こるかどうかは自由エネルギーを計算して出せば、その値によって予測することが可能です。
いちいち一つ一つのケースを実験で確かめていかなくては、化学現象が起こるかどうかわからない…わけではないのです。
エンタルピーはエネルギーのことなので高校の物理でも習いますが。
エントロピーは学習範囲に含まれません。
エンタルピーはエネルギーですから、いわゆる「ものごと」の「もの」に付属する法則ですが。
一方エントロピーは「こと」から出てくる法則です。
エントロピーは「こと=状態」が「ありうる場合の数」によって決まる数値です。
ありうる状態の数…なんていう実体のないものに依存する法則に従って、この世の現象が起こっているなんて、なんとも足元がおぼつかないような、不思議な感じがしますが。
だから高校では習わないのかな?
私達の本能で直感的に掴むには、ちょっとかけ離れ過ぎている真実なのかもしれません。
しかしこの世の現象は全てエンタルピーとエントロピーのバランスに従って起こっているらしいのです。
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本書はどうにもつかみづらいエントロピーという量や考え方について、かなりわかりやすく解説してくれています。
ただし、その分かり易さはある程度の数学知識を前提にします。
本書の最後に少し解説を載せてくれている場合の数や対数について、ある程度理解していないと読み通すのはキツイと思います。
あと、化学や物理についてもそれなりに知識は必要です。
あまり多くはありませんが数式も出てきますし、化学反応式も出てきます。
しかし、そこをクリア出来ている人にはとても分かりやすく興味深い本だと思いますよ。
理系進学を目指す高校生なんかには、とても刺激的な本なんじゃないでしょうかねー。
化学平衡における平衡定数とは一体何なのか?とか、凝固点降下が何故起こるのか?とか、反応速度の公式の意味とか、ル・シャトリエの法則が何故成立するのか?とか、そういうことを全部エントロピーとエンタルピーと自由エネルギーから解き明かしてくれているのです。
まさに目から鱗。
バラバラだった化学現象の諸処の知識が、一つの法則によって見事に繋がっていくのが、とても気持ち良いですよ。
化学に関する知識に、しっかりとした背骨を通してくれる感じです。
この変化の裏に潜む熱力学の法則を、知っているのと知らないのとでは化学知識全般における安定感が違ってきます。
読み通すのにはちょっと体力が要る本ですが、そこから得る知識によって十分すぎるくらいに報われますから、おすすめの一冊です。
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最近、ブルーバックスや数学の本などにハマってます。
もともと好きではあったのですが、長い年月の中で数学の公式も化学や物理の知識も忘れ去ってしまって、読めなくなってしまっていたのです。
それが、1年ほど前から旦那さんが経営する塾で私も子供たちを教え始めてから、凄い勢いで自分の理数系の知識が蘇ってきてまして。
再び、ちょっと知識が必要な本も読めるようになってきました。
それが嬉しくて、この頃は理系の本ばかり読んでます 笑
やっぱり自然科学に関する本は面白いですねー。
とてもワクワクします。
私のベビーちゃんもこういうことに興味を持ってくれたら嬉しいなぁ。
そしたら親子で実験なんかして遊べるんですけど。
きっと楽しいだろうなー。
私自身は子供の頃は虫とか魚とか植物とか大好きな子でした。
虫取りが好きな父と、園芸の好きだった祖母の影響を多大に受けていたようです。
ついでに、読書とか手芸も、やはり家族がやっていたから好きになりました。
私がかつて家族から洗脳されたように、私もベビーちゃんをうまく洗脳しようと企んでおります…ふふふ。
それは私自身が彼女と楽しみを共有する喜びを得たいからだけではなくて。
ベビーちゃんに科学的な知識や考え方を身につけて欲しいという、願いからでもあります。
私は、たとえ専門職についているわけでもなくても、科学知識や科学的な考え方を得ることには意味があると思うのです。
一つは単純にワクワクするから。
そしてもう一つは…この本の著者が本書の結びに素晴らしい見解を示してくれていますよ。
『私は、「科学的な物の考え方」で最も重要なことは、「科学の法則を通して私たちの物の考え方を整理する(時に正す)こと」であると思っています。』
『科学の法則は、単に物を作る基礎法則だけではないのです。
そこには、宇宙全体にも通じる、万物の生々流転に関する原理原則が集約されています。
私たちの体だけでなく、精神そして社会の仕組みにまで、これらの原則は成り立っているはずです。
私たちは古代の哲人や宗教家より、自然の法則をよく知っているはずです。
彼らが知ったらさぞかし羨ましく思われそうなほど、私たちは原則を知っています。
それを、私たちの生き方への指針や社会の仕組みを改善するために活用しないとしたら、本当にもったいないことではないでしょうか?』
(p228、229より)
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