ドゥーガル・ディクソン&ジョン・アダムス 著、松井孝典(東京大学大学院教授) 監修、土屋晶子 訳、『the FUTURE is WILD フューチャー・イズ・ワイルドーーー驚異の進化を遂げた2億年後の生命世界』を読みました。

ダイヤモンド社のハードカバーです。










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今回の本のお供は、我が家の猫6号ちゃんです。
この本は架空の生き物の本なのですが、ここは対抗して、作り物ではない本物の生き物にお供してもらいましたよ。







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『the FUTURE is WILD』は、元々は2003年にイギリスで製作されたテレビ番組です。


この本は、その番組内容に基づいて書かれたもので、挿絵として番組内で放送されたCG画像がたくさん挟まれています。


『the FUTURE is WILD』は、日本でもNHK教育テレビで放映されました。
もう十年以上前ですが、私はそれをたまたま視聴しておりまして。
好奇心をくすぐる、とても面白い番組でしたよ。
ワクワクしながら、テレビに釘付けになって観ました。

少し前にブックオフさんで、これまた、たまたまこの本を見つけて。
これは懐かしいなぁ!と思い、迷わず購入しましたよ。






人類滅亡(仮定)後に地球に現れる生物を、科学的に予想し想像して描き上げた、未来の地球を覗き見るような本です。

生物学と進化論の基本原則にのっとり、荒唐無稽ではなく可能性の枠内にきちんと収まった不思議な生き物たちを、まるで本当に存在するかのように紹介してくれます。







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ところで、この手の架空の生物の本は、この本の他にも何冊か有名どころがあります。

著者の一人であるドゥーガル・ディクソンが書いた『アフター・マン』。
これはこの本と同じような、未来の生き物を予想し想像して書かれた本です。

それから、ハラルト・シュテンプケが書いた『鼻行類』。
これは鼻で歩く哺乳類(そんなものは本当にはいませんよ)が離島で遂げた進化を、いかにも本当の研究書のようにして書かれた本です。

そして、『スイミー』の作者レオ・レオーニの書いた『平行植物』。
これも同じ様に、架空の植物群「平行植物」の研究書です。
レオ・レオーニが書いただけのことはあって、記述のスタイルは全く学術論文めいているのに、全体としてはすごく詩的です。
イメージがどんどん膨らんできて、架空のお話だとわかっていても、グイグイ引き込まれます。
下手なファンタジーなんかより、よっぽど幻想的で、心を持ってかれてしまいますよ。

どれも、とても面白いです。
おすすめいたしますよ。





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私は子供の頃から、ちょっと博物学的な嗜好が強くあるようでして。
図鑑を眺めるのが好きでした。

特に好きだったのは、虫や魚や貝の図鑑です。
絵本を読むよりも、ひたすらぽけーっと図鑑を眺めているのが好きな子供でしたよ。

そして、大人になってもやっぱりその嗜好は変わらず。
図鑑は大好きなままです。
例えそれが、架空の物体の図鑑であっても、です。
ゲームのモンスター図鑑なんかも、気に入ったデザインだったりすると、ぽけーっと眺めてしまいます。




そんな、どーにも夢見がちな人間の私ですから。
この『the FUTURE is WILD』みたいな本は、まったくもって私の好みど真ん中なのであります。










本書は、4つの章に分かれております。

第1章『進化する地球』では、簡単に、地質学や進化論の考え方をまずは説明してくれます。
次の章から始まる未来の地球の様子や、不思議な生き物達の出現を、納得して想像するためです。

第2章『500万年後の世界』では、地球は氷河時代のピークを迎え、寒く乾いた厳しい世界になっています。
そこで生き残った生き物達の姿を予想しています。
この頃の未来生物は、まだまだ現在の生物とそう変わらない姿をしていますよ。

第3章『1億年後の世界』では、今度は地球は温室状態となり、氷が解けて海が広がり、生命の溢れる世界になっています。
この頃になると生き物は、なんだか古代の化石生物を思わせるような、妙な形のものばかりになっています。

第4章『2億年後の世界』では、かつて存在した超大陸パンゲアのごとくに、現在の7大陸が合体してできた第2パンゲアと、たった一つの大きな海、地球海からなる、不思議な世界が描かれます。
ここまでくると、哺乳類はすでに死に絶え、代わりに頑張っているのは、なんと現在のイカ!
イカの子孫が最高の知的生命体になっています。










この本では、500万年後、1億年後、2億年後の地球の様子を、まずはしっかりと描いてくれています。
それぞれの未来の時節に、一体、大陸はどこへ移動していて、地形はどのように変化しており、気候は各地域でどのような特徴があるのか。
そしてその環境に合わせて、どんな生物が繁栄しているのか。
一つの生物の生活環(生物の発生、成長、生殖までの一回り)だけではなく、他の生物も絡めての生態系も、予想してくれています。

だから、とってもリアルな感じがして、荒唐無稽な感じはありません。
本当にこんな生き物が現れそう!って思えます。







そして、この本での生物予想の基本は。

地球環境の変化→生物の大量絶滅→ニッチの空白→そのニッチを埋めた新たな生物の繁栄→地球環境の変化→大量絶滅→……

こんな風な考え方によっています。




ニッチというのは、例えば私のお庭なんかでいうと。

植物があり、それを食べる虫がいて、さらにそれを食べる鳥がいて、それを食べるイタチがいて…なんて食物連鎖があったり。

お花が咲くとその蜜を吸い花粉を運び受粉させる虫がいたり、ダニを身体につけたり寄生虫をお腹に宿して他の生物に運ぶ虫がいたりと、利害関係で結ばれた生き物たちもいます。

色んな生き物たちが、色んな役割を果たして、生活しております。
それぞれの生き物の果たしている役割、これがニッチです。

もしも、虫を食べる鳥が絶滅してしまったら。
自然は不思議です、その空隙をあっという間に埋めてしまいます。
鳥類が絶滅すれば、他の魚類やら虫やら哺乳類が進化して、その空白のニッチに入りこんでしまうんです。


例えば、芋虫なんかは、普通はみんな草食です。
葉っぱばかり食べて生きています。
けれど、ハワイには肉食の芋虫がいるんです。

離島の隔離された環境で、小さな虫を食べるような生き物がきっといなかったのでしょうね。
だから、そのニッチに、芋虫が進化して割り込んできたのでしょう。







本書の第4章を例にとると。
温室状態の地球では生命が繁栄していたけれど、やがて火山活動が活発化し、一連の地殻活動の結果、世界は二酸化炭素に有毒ガスが蔓延し、火山から噴き出したチリは空を覆って日光を遮り、大量絶滅がおこります。

その後、大陸は合体して巨大な一つの大陸と一つの海を形成します。

海には。
かつての海鳥のニッチに収まった、魚から進化した空飛ぶお魚フリッシュ(本書表紙に載っている生物です)が飛び交い。
かつてのお魚のニッチに収まった甲殻類シルバースイマー達の群れを襲っています。

海で発生した巨大な嵐ハイパーケーンに不運にも飲み込まれたフリッシュは、内陸部の砂漠に飛ばされ、死骸となって地に落ちます。
その死骸に群がるのはバンブルビートルという虫。

この虫はとてもユニークな生活環を持っており。
飛んできたバンブルビートルはフリッシュの死骸に体の中に溜め込んでいた幼虫を放して死んでしまいますが。
その幼虫達は、フリッシュの死骸の王国で、幼虫のまま生殖活動を行います。
やがてフリッシュの死骸を食べ尽くした頃に、一匹の大きな幼虫が他の幼虫を食べて体内に取り込み、蛹となって羽化し成虫となり。
また、新しいフリッシュの死骸を求めて飛んでいくのです。


これ、全部、ただの空想なんですけど。
なんか、本当にありそうで、面白いでしょう?
こういう風に、空想の未来生物を生活環や生態系ごと作り込んでくれていて。
しかも、全ての空想未来生物のCG画像付きです!
読んでいて、とってもワクワクしますよ。

理科好きな、小学校の高学年から中学生くらいのお子様にもおススメいたします。






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いつかは太陽が寿命を迎え、地球も消え去る時がきます。
そんなことは知ってますから、我々人類も永遠にこの地球にのさばっていることはできないなんてことは、わかっています。

けれど、そんなはるか未来のことを考えなくても。
ほんの500万年後には、地球は氷河に覆われた苦しい世界になってしまうんですよねぇ。
その時点ですら、人類の存亡はすでに厳しいのか。





ほんの500万年後???
いやいやいや、500万年後はめっちゃ先の未来だから!
西暦だって、まだ2017年だし。
キリストさんが生まれてからだって2000年しか経ってないのに、500万年ってどんだけ長い時間だよ…






この手の、地質学的な時間を扱った本を読んでいると、感覚が狂いますね。
いやはや。













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スマホゲームの『どうぶつの森 ポケットキャンプ』、やってます。



この青い猫ちゃん、ジンペイ君がすごく可愛いー❤︎
彼は、ぜひとも私のキャンプ場にお迎えせねば!







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お姉ちゃん、いる?

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アイアム長女!
アイアムお姉ちゃん!

我こそが、お姉ちゃんです!
偉いのです!
愚弟どもよ、我に従うが良い!

…なんて、威張りたいんですが。
実際の私は、なぜか、愚弟達の妹と間違われることばかりです。
身長のせいでしょうね。
私はチビですが、愚弟達はでかいからなー。