過去に行ったことのある、B'zのLIVEにタイムトラベルで遡って観に来ている。
そのライブではメンバーが壇上から降り
お客さんを一人選び、一緒にステージに登るというサービスタイムがあった。
稲葉さんはその間に、着替えの為かステージの奥にはけて行き そのままスタッフ用の扉へと向かっていく。
(実際のライブではそのような演出はありません)
私はその演出を階段下で「いーなーー」と呟きながら見ていた。
しかし、ふと『いや、いーなーじゃないし、これは夢なんだから追いかけていくべきなやつ!』と気づき、階段を爆走しステージ裏に潜り込んだ。
入り組んでいてなんだかよくわからず…見失ってしまったかのように思えた時、スタッフ用の通路に稲葉さんがまだ居るのを見つけて爆速する。
今まさに扉を開けようとしている寸前の所で
『稲葉さん!』と声をかけることができた。
稲葉さんは動きを止めてゆっくりと振り返って、私を見た。
稲葉さんが目の前にいるという喜びと緊張でガチガチになりつつ
『あの…これは夢だから言いたいことを伝えても良いかと思ってきまして、じつは私はその昔いついつ頃からこうゆう経路で好きになり…』と、しどろもどろの長ったらしい説明を始めてしまった。
稲葉さんは、それを頷きながら黙って聞いてくれていたが、時間がなくなってきたようで少し困った表情を浮かべ『扉に向かわなければ…』と伝えてきた。
私は『え…狭き門を通ってここにきました』と言うと、稲葉さんはこちらに体を向けて立ち、胸に手を当てて優しい顔で私を見て『夢の先(向こう側)で待ってる』と言った。
そして扉を開けて足早に去っていった。
パチンッと、目を覚ますと、私は病院と思われる廊下のベンチに座っていた。
隣には友人達が座っている。
ICUの窓ガラスが視界に入る。
奥のベッドに誰かが眠っているようだった。
通路の突き当たりはICUの入り口と思われる扉がある。
友人の一人が、その扉の奥に稲葉さんが運ばれていったよと言った。
声がけした時に反応がなかったから、意識がないってことで運ばれたらしいよ…と言った。
それは夢の中で私と話していたからだと思った。
(あの時ちゃんと時間に間に合っていれば)
友人達は『意識が戻るまでここで待とう』と言い、みんなで稲葉さんの意識が戻るのを待つことにした。