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Nightmares on wax

Nightmares on waxを知ったのはBIGBEATムーブメントの黎明期だったかなー。

その頃はケミカルやFATBOYやWISEGUYSやらの、派手な音ばかり求めてたから、
Nightmares on waxのいささか大人な音楽がすんなり入るには、きっと僕も若すぎ
たんでしょうよー。
だけど最近になって、かつてのアルバムを聴いてたらこれが素晴らしくイイのです。
あ、でもこのアルバムはよく聴いてたな。
DJしてるときもよくかけたし・・・。



UKらしく、BREAKBEATS、HIPHOP、SOUL、DUBといったジャンルを非常にうまく
取り込み、湿り気のある黒い音をセンシティブに料理してます。
カット&ペーストに頼りきることなく、流れるようなビート、スモーキンなくぐもった
太く深みのあるその音作りは本当に勉強にります。
まあレゲエやDUBへの造詣も深いので、単音の厚みも当然といえば当然か。

歌物も非常に素晴らしいんですよね。
この曲の半ばから入ってくる女性VOCALが、曲の感覚を損なうことなく、
歌の存在感も非常にいいバランスでトラック渋みを与えてます。



実際は80年代から活動してたらしいのですが、当初はどうやらTECHNOを中心に
音を作ってたそうです。
僕が知ってるNightmares on waxのイメージはBREAKBEATSのイメージだったので
ちょっと意外でした。
もう20年に渡って活動してるんですねー!
しかし、当時からそのハイクオリティかつエクスペリメンタルな音楽に世界中から
高い評価を受けてたのに、
僕はまだまだその良さをあまり分かってなかったのが悔しい。。。

こういういいアーティストをリリースするあたりがWARPレーベルの偉大さでしょう。













Ametsub

日本人ですが、やっぱ今や日本人の才能は世界を揺るがしますなあ。
特にこのAmetsubの音は非常に圧巻です。


Ametsub
「東京を拠点に活動する音楽家。
 紙と鉛筆があればおとなしかったという幼少期から音に対する疑問や
 安心感を感じながら、10代で機材を一切使わず日常に存在するモノを
 
駆使した実験的な作品を作り続けてきた。


 絵画やデザインを手がけつつも、掟破りなDJとしても様々なイベントで
 多種多様なアプローチを試みる。
 その繊細で切なさすら感じられるメロディーはライブパフォーマンスでも
 多くのオーディエンスを魅了し、鋭くとも暖かみのあるリズムは確実に
 聴き手の体を動かす。
 たった2作品、いずれも国内流通のみにも関わらずそのレスポンスは
 すさまじく、国内はもちろん海外からも熱い支持を得る。」


と紹介されてるとおり、その曲の世界観は深く、美しくもはかなく、
叙情的であり、荘厳ですらあります。
ストーリー性が曲を通して感じられ、同時に知覚を静かに揺さぶるような
そんな深い景色の淵。
時にはメルヘンチックであるかのごとく、純朴さを感じられます。

ElectronicaやGlitchもそこそこ聴いてきたけど、
これだけ体にスッと入ってきたのは初めてかもだ。

なんだろうね、音に対する深い愛と研ぎ澄まされた感性が、
いてもたってもいられずに形となった・・・・って感じで、
貪欲さとかストイックとかって表現じゃあ何か違う気がするわ。
きっと「ミュージシャン」という肩書きより「芸術家」と言うべきなんだな。

アルバム『The Nothings of The North』は、
坂本龍一教授の「2009年のベストディスク」に選出されたってほどです。

必聴です。










ACO

あまり普段、日本人の歌物を聴くことは少ないんですが、
この人はもう、かなり聴き込んでます。

最初に聴いたのはこのアルバムだったんですが、



これを聴いた当初は、まさかあのDRAGON ASHの
「GRATEFUL DAYS」でフィーチャーされてた女性と同一人物とは
思いませんでした。

それほどメロディや歌い方が全く別人のようだったからですよ。
このトラックのDEEPさもしかり。
日本人女性でこういう感覚の曲は初めてでしたね。

全体を通してDUBっぽさやアンビエント的感覚の雰囲気に
包まれてるな~と思ったらそれもそのはず、
まさかエイドリアン・シャーウッドが絡んでたとは!
イギリスのDUBシーンのビッグプロデューサーが関わり、
この非常に才能溢れるアルバムが出来たってのは感慨深いです。

ただ、さすがというか、DUB的アプローチは抑え目にされてますが、
ひりひりとした音と音の合間に吸い込まれていきそうな世界が
ACOの感情を抑えたような歌い方を強調しております。
でもファルセットで歌い上げるところの、
とんでもない「解き放たれた感」には圧倒されるばかり。

夜のまどろみの中で聴いてると、天井が透けて空が見え、
ゆっくりとした天体の動きの中に放り出されたような、
そんな感覚になります。
静寂の中のエネルギーの塊みたいな、そんな曲たち。

ほんとこのアルバム「MATERIAL」とそのあとの「IRONY」、
この二つは僕の音楽人生に無くてはならないものっす。



その後のACOのアルバムでも、TRICKYやMUMやまりんら国内外の
そうそうたるメンツがリンクしてます。
まさに海を越えて引き寄せ合う才能ですな。


ふと、こういう音に向かうきっかけってなんだっただろうなあって思うけど、
この曲たちから溶け出す感覚を浴びてるだけでも、なんかその理由が
分かるような気がします。。。。。