"Blackbird" | タコさんの庭

タコさんの庭

ビートルズの歌詞和訳に挑戦

"Blackbird"

Writers : credited Lennon-McCartney (by Paul McCartney )

Artist :  The Beatles

Recorded : 1968/06/11 EMI Studios

Released : 1968/11/22 「The Beatles」B面3曲目

1996/10/26「The Beatles Anthology 3」(Take 4)

2006/11/20「Love」

2018/09/11「The Beatles 」Special Edition (2018 Mix)(Esher Demo)(Take 28)

2023/11/10 「The Beatles: 1967-1970 (2023 Edition)」

 

 

2024年3月5日訂正・追記あり

2024年4月16日追記あり 

改行は、ポールの本The Lyricsの通りです。

        <歌詞和訳>"Blackbird" 邦題 "ブラックバード"

[Verse 1]

Blackbird singing in the dead of night
Take these broken wings and learn to fly
All your life, you were only waiting

For this moment to arise

    静まり返っている夜に ブラックバードが歌っている

    傷ついたその翼を受け入れ飛ぶことを学ぶんだ!

    生まれてから今まで  君は 君たちは待つしかなかった

    立ち上がるこの時を…

    

[Verse 2]

Blackbird singing in the dead of night
Take these sunken eyes and learn to see

All your life, you were only waiting

For this moment to be free      

    静まり返っている夜に 歌っているブラックバードが

    窪んだその目を受け入れ見ることを学ぶんだ!

    生まれてから今まで  君は 君たちは待つしかなかった

    自由になるこの時を…    

        

[Chorus]

Black bird fly

Black bird fly
Into the light

Of a dark black night

    ブラックバードが飛び立つ

    ブラックバードが飛び立つ

    光の中へ

    その黒くて暗い夜から

    

[Verse 3]

Blackbird singing in the dead of night
Take these broken wings and learn to fly

All your life, you were only waiting

For this moment to arise

You were only waiting

For this moment to arise

You were only waiting

For this moment to arise

    静まり返っている夜に ブラックバードが歌っている

    傷ついたその翼を受け入れ飛ぶことを学ぶんだ!

    生まれてから今まで  君は 君たちは待つしかなかった 

    立ち上がるこの時を…

     君は 君たちは待つしかなかった    

    立ち上がるこの時を…

     君は 君たちは待つしかなかった    

    立ち上がるこの時を…

 

 

??

ポールの曲です。 

 

2024年4月5日追記

[Chorus]

Black bird fly

Black bird fly
Into the light

Of a dark black night

    ブラックバードが飛び立つ

    ブラックバードが飛び立つ

    光の中へ

    その黒くて暗い夜から

 

イメージは「選択肢が待つしかなかったブラックバードが、自分の意志で飛び立つ」でした。

なので「ブラックバードが飛び立つ」と訳しました。

訳した時には、三単現のsについて、何も考えていませんでした。

照井さんからコメントをいただき、改めて「Black bird fly」のラインを考えたときに、

ポールは「Black bird」を複数で考えているんだと思いました??

そして[Verse] の訳を「君は」から「君たち」に変更させていただきました。

 

 

バリー・マイルズ著 「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」翻訳 竹林 雅子 651ページ 

 ポールは "ブラックバード" をスコットランドの農場で作曲した。間もなくロンドンに帰ったポールは、暖かい夏の夜に最上階の音楽室の隣の部屋の窓際に腰を下ろし、アコースティック・ギターを奏でながらこの曲を歌った。暗闇の中、門の外にたむろしていたファンにとっては、ひょんなフリー・コンサートの特典となった。
ポール「有名なバッハの曲が最初のインスピレーションだった。ずっと昔にジョージと僕が習った曲で、題名は知らない。実はジョージの方が僕より上手いんだ。メロディとベース・ラインがハーモニーする部分があって、そこが僕を惹きつけた。バッハは僕らの大好きな作曲家の一人だ。僕らと共通点がたくさんあるように感じてさ。何だか彼の音楽は僕らの音楽に似てるような気がして、彼のことが驚くほどよく理解出来るんだ。教会のオルガン奏者だった彼が、毎週新しい作品を演奏していたとか、そんなエピソードも気に入ってた。だって、僕らがやってることと似てるじゃない。この話は嬉しかったな。

 バッハの曲を基にして、ギターでメロディを作っているうちに次の段階に進んで、メロディに歌詞を埋め込んだ。僕は、鳥じゃなくて黒人女性を描いていた。当時、黒人の公民権運動を僕らは全員、支援していたから、あれは黒人女性を歌ったものなんだ。アメリカで黒人問題を目の当たりにしたからね。『君が自分の信念を貫けるように、僕にも応援させてくれ。希望はあるよ』と。でも、僕のパターンとして、 "リトル・ロックに暮らす黒人女性が " と特定しないで、ちよっとヴェールをかぶせて象徴的に鳥という存在を使ったわけ。そうすれば、どんな聴き手にも当てはまるからさ。

 これが僕のテーマの一つ、悲しい歌を聴いて、元気を出しなというのが。 "励まし" と言えばいいかな。『あの歌が辛い時期を乗り越えさせてくれました』といった内容の手紙をこれまでたくさん貰ったけど、ミュージシャンをやってきて、ビートルズをやってきて、一番の喜びは何かと言えば、こういう手紙を貰って、人々の力になれたって実感することなんだよね。これが音楽のマジック、魔法の成せる業なんだ。人々の助けになるとは思いもせずに僕が書いた曲が、 実際に誰かの力になったと分かると本当に誇らしい気持ちになるよ」。
 ブラックバードの鳴き声は、EMIのサウンド倉庫の鳥類レコードの中から取り出された。ポール「あれはいい出来だと思った。あの鳥は上手く歌ってくれたね」。

 

 

有名なバッハの曲が最初のインスピレーションだった

「有名なバッハの曲が最初のインスピレーションだった。ずっと昔にジョージと僕が習った曲で、題名は知らない。実はジョージの方が僕より上手いんだ。メロディとベース・ラインがハーモニーする部分があって、そこが僕を惹きつけた。」

 

ポールが、その時は「題名は知らない」と言っていたバッハの曲は "リュート組曲996"でした。その"リュート組曲996" が、

どうやって "Blackbird" になったかをポールは披露してくれています。

 

 

 

↓ポールが言う「メロディとベース・ラインがハーモニーする部分」です。

 

 

 

「"リトル・ロックに暮らす黒人女性が " と特定しないで」の

リトル・ロック」とは

バリー・マイルズ著 「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」翻訳 竹林 雅子 651ページ

「当時、黒人の公民権運動を僕らは全員、支援していたから、あれは黒人女性を歌ったものなんだ。アメリカで黒人問題を目の当たりにしたからね。『君が自分の信念を貫けるように、僕にも応援させてくれ。希望はあるよ』と。でも、僕のパターンとして、 "リトル・ロックに暮らす黒人女性が " と特定しないで、ちよっとヴェールをかぶせて象徴的に鳥という存在を使ったわけ。そうすれば、どんな聴き手にも当てはまるからさ。」

リトル・ロック」は、アメリカ合衆国のアーカンソー州首都です。

1957年にその「リトル・ロック」で人種差別運動が起きました。

リトルロック高校事件」と呼ばれている出来事です。

人種偏見の強い南部の中で、「リトル・ロック」は差別撤廃に最も積極的な州でした。

1957年にリトルロック・セントラル高校の融合教育化 ――つまり白人と黒人が同じ高校に通うことができる ―― ことが決定したにもかかわらず、当時のアーカンソー州の知事オーヴァル・フォーバスは州兵を学校に送り、入学予定の黒人学生9人の登校を阻止しました。異人種融合に反対する地元の白人も大群衆となって学校を取り巻き、セントラル高校に黒人学生が登校することを反対しました。

リトル・ロックの市長ウッドロー・ウィルソン・マンは、アーカンソー州知事に法律を守るよう

申し述べましたが拒否されたため、ドワイト・デイヴィッド・アイゼンハワー大統領に軍の派遣を要請しました。

しかし大統領は、州の権限に介入することによる政治的問題が起こると考え静観しました。

騒動がテレビで大々的に報じられ国内外で大きな注目を浴びるようになってようやく、大統領はリトル・ロック市長の要請に応じて陸軍第101空挺師団をリトルロックへ送り込み、入学予定の9人の黒人学生は軍の護衛付きで登校できるようになりました。

この後のことはウキペディアを引用させていただきます。

ウキペディア リトルロック高校事件より

その後も軍の警護がついたが、校内では白人生徒による黒人生徒への激しいいじめや命にかかわるような暴力的な嫌がらせが続き、耐えかねて一人が中退したが、1958年に一人が無事卒業した。フォーバス知事は、騒動後も融合教育に反対し続け、融合を命じられた高校3校を突然閉校するという暴挙にまで及んだ。

1959年、ジャズ・ミュージシャンのチャールズ・ミンガスはこの事件を揶揄する曲『フォーバス知事の寓話』を発表し、歌詞の中で知事とアイゼンハワー大統領を激しく批判した。

フォーバス知事は地元民の支持を受け、1967年の退任まで12年間も知事職を務めた。リトルロックのすべての高校で融合教育が実施されたのは1972年である。

 

経過

  • 1954年5月17日 ブラウン判決により、分離教育が違憲とされる。
  • 1954年5月23日 リトルロック学校委員会が分離教育撤廃を宣言する。
  • 1955年 学校委員会、1957年からリトルロック・セントラル高校の分離撤廃を決定(同州では1949年に大学1校、1951年に図書館1館、1955年に公共バスでの人種分離が撤廃されている)。
  • 1957年春 同高校の通学範囲内に住む517人の黒人学生のうち、80人が転入を希望したが、委員会によって17人に絞られ、最終的に9人になる。この9人は公民権運動のシンボルとして「リトルロックの9人(Little Rock Nine)」と呼ばれるようになる。
  • 1957年8月 セントラル高校の母親会が急遽組織され、暴動が予測されるとして融合を阻止する要望書を連邦地方裁判所に提出したが、判事によって却下される。
  • 1957年9月2日 暴動が予測されるという名目で、黒人学生の登校を阻止するため、フォーバス知事が州兵に命令を出す。
  • 1957年9月3日 連邦地方裁判所判事から4日から授業を開始するよう命令が出る。
  • 1957年9月4日 知事に命じられた100人の州兵が高校に配置される。市民約400人も集まり、9人の黒人に罵声を浴びせるなどして入学阻止。一人はリンチを受けたが、未遂で終わる。
  • 1957年9月20日 警察出動。
  • 1957年9月23日 1000人の白人が高校を取り巻いたため、黒人学生は裏口から登校。それを知った群衆が暴徒化したため、黒人学生は退去。同夜、アイゼンハワー大統領が連邦法に従うよう声明発表。
  • 1957年9月24日 市長ウッドロー・ウィルソン・マンが大統領に軍隊の派遣を要請。了承される。
  • 1957年9月25日 派遣された陸軍第101空挺師団の部隊に守られながら黒人学生登校。
  • 1957年12月 黒人学生の一人(ミニジーン・ブラウン)がいじめに対して反撃したところ、停学となり、のちに退学する。校内には白人学生による「一人脱落。あと8人(One down, Eight to go)」という貼り紙が貼られた。
  • 1958年5月27日 黒人学生の一人(ジェファーソン・トーマス)が卒業。
  • 1958年9月 フォーバス知事がリトルロックの融合教育指定高校3校を閉鎖。
  • 1972年 リトルロックのすべての高校で融合教育が実施される。
 
リトルロック高校事件」が起きた1957年、ポールは15歳です。
きっと「リトルロックの9人(Little Rock Nine)」同じ高校生だったかもしれないですね。
ポールが15歳の時タイムリーに「リトルロック高校事件」を知っていたかはわかりません。
 
でも、2021年11月に発売された「The Lyrics: 1956 to the Present」の日本語版(2022年6月発売)には、「"Blackbird" を書いていた1968年当時、アメリカでは人種間の緊張が高まっていた。前年の1967年もひどい年だったけど、1968年はさらに悪くなった。」とありました。
 
「リトルロック高校事件」から10年経っても尚続いている人種間差別は、
イギリスにいるポールには考えられないことだったでしょう。
 
ポールのThe Lyrics」には、
「リトルロックの9人」のメンバーだった二人の女生と一緒に写っているポールの写真が載っていました。「2016年4月30日、リトルロックにて」とありました。ポール73歳の時の写真です。
 
"Blackbird"は、「黒人女性」を「Blackbird」(和名 黒歌鳥クロウタドリ)に喩えて
『君が自分の信念を貫けるように、僕にも応援させてくれ。希望はあるよ』と歌ったのですねキラキララブラブ音符
 
 

 

ポールの81歳の誕生日を祝って公開された動画 2024年4月16日追記

2023年6月18日 ポール81歳の誕生日を祝って公開された映像には、

「Blackbird」 が映っていましたね!

 
 

辞書

情報提供元(著作権者)Weblio英辞郎goo辞書

blackbird : クロウタドリ、ムクドリモドキ科の鳥

bird : 鳥、猟鳥、(バドミントンの)羽根、シャトル、(クレー射撃の)クレー、人、やつ、娘、女の子、ミサイル

in the dead of night : 真夜中に

dead : 死んだ、死んでいる、枯れた、生命のない、無感覚の、まひした、(…に)感じないで、まひして、(死んだように)動かない、静まり返っている

take : 〔~を〕受け入れる

learn : (勉強・練習などによって)習い覚える、習得する、学ぶ、覚える、(経験などによって)(…を)身につける、(悟って)できるようになる、(…を)暗記する、記憶する、(…を)(聞いて)知る、聞く

broken : 形容詞 壊れた、故障した、損傷している◆通例、比較的小さなものに対して用い、大きなものの場合にはbe not workingを用いる。

all one's life : 一生の間(ずっと)、終生(ずっと)、一生を通じて、一生涯、生まれてから(このかた)

only : ただ[たった]~だけ、~だけである、~しか…しない

moment : 瞬間、ちょっと(の間)、…した瞬間に、…するやいなや、(ある特定の)時、時機、機会、場合、、今

 

arise : 起こる、発生する、生じる、起きる、立ち上がる

sunken : 沈没した、水底の、地面より低い(所にある)、くぼんだ、やせこけた

into~の中へ、~の中に

of : [距離・位置・時間を表わして] …から,…より.

fly : 〈飛行機などを〉飛ばす,操縦する,〈鳥を〉飛び立たせる,放つ