"A Taste Of Honey"
Artist : covered and arranged by The Beatles
Recorded : Monday1963/02/11, EMI Studios
Released : Friday,1963/03/22 「Please Please Me」B面 5曲目
1994 「The Beatles Live at BBC」Disc1
『Pop Go The Beatles』1963年7月23日放送分
2009/09/09 Please Please Me [Remastered]
1958年5月に劇場公開された "A Taste Of Honey" のストーリーを、英語版ウキペディアからまとめてみました 要約、お恥ずかしい限りですが、見てください。
ここは、1950年代 イングランド北西部のサルフォードという街。17才の少女「ジョー」は、母親「ヘレン」と貧しい二人暮らし。ヘレンはお酒が好きで、ジョーとは対立的な関係にありました。ヘレンは、ジョーが描く絵を見て彼女の才能を感じていましたが、娘への興味はなくなっていきました。ヘレンの年下のボーイフレンド「ピーター」が家に来て、まだ10代のジョーに初めて会ったのにもかかわらず、その場でヘレンに真剣な結婚を望みます。
場面変わり、ジョーは黒人のボーイフレンドと一緒です。ジョーもまた、その彼に求婚され指輪をもらいますが、その指輪を首にぶらさげて母親ヘレンに見られないようにしました。しかし、彼は船乗りで6カ月間船に乗らなければなりませんでした。ヘレンがピーターと一緒に過ごしているクリスマスの日、ジョーはその船乗りに慰めてもらいましたが、ジョーは、彼とは二度と会えないと感じていました。
場面変わり、クリスマスの翌日、ヘレンとピーターの結婚式の日です。ジョンは、パジャマ姿のままで参列できないとヘレンに言います。その時ヘレンは、娘のパジャマの下にある指輪に気がつき、娘への色々な感情が爆発し、激しくジョーを叱りました。
場面変わり、母親は結婚し、恋人は船に乗り、ジョーは一人で、昼は靴屋、夜はバーで働きながら暮らしていました。そして船乗りの彼との子供を妊娠していました。
ジョーは、同性愛者の美術学生の「ジェフリー」と友達になりました。一緒に暮してくれるよう頼みます。ジェフリーはジョーの状況に真の関心を抱き、二人は友好的で気さくな関係を築きます。
場面変わり、妊娠によりイライラしているジョーを、ジェフリーが慰めています。ジェフリーは彼女にキスをし、彼女に結婚してくれと頼みます。― 略 ―
場面変わり、赤ちゃんの出産予定日が迫り、ジョーとジェフリーは幸せそうです。そこに、ピーターに捨てられたヘレンが荷物をかかえて戻ってきます。ヘレンはジェフリーを追い出そうとし考えます。ジェフリーが出て行った事を、陣痛が始まったジョーは気づかずに、彼が歌っていた口ずさむ事で自分を慰めます。終わり
1961年9月には映画も公開されました。そのラストは、置手紙でジェフリーが去った事を知ったジョーは、ガイ・フォークス(後述)の祭りを楽しんでいる子供に花火をもらい、それを見つめる場面で終わっています。
劇場版ストーリー(ウキペディア)と、映画版のラスト(You Tube)のラストシーンは違いますが、どちらにしても、ジェフリーがジョーに歌っている曲だと思い訳してみました。
<歌詞和訳>"A Taste Of Honey" 邦題 "蜜の味"
蜜の味
[Intro]
A taste of honey
Tasting much sweeter than wine
蜜の味
ワインより もっと甘い経験
[Verse 1]
I dream of your first kiss, and then
I feel upon my lips again
僕が 君とのファーストキスを夢見る その時には
僕の唇の上に再び 接している感じさえする
[Chorus]
A taste of honey (A taste of honey)
Tasting much sweeter than wine
蜜の味(蜜の味)
ワインより もっと甘い経験
[Bridge]
I will return, yes I will return
I'll come back for the honey and you
僕は戻るだろう そうだ 僕は戻ってくるよ
僕は そのかわいい子と君のために戻ってくる
[Verse 2]
Yours was the kiss that awoke my heart
There lingers still, though we're far apart
君のは 僕の感情を呼び起こしたキスだった
ほら まだ残っている 僕たちが遠く離れていても
[Chorus]
A taste of honey (A taste of honey)
Tasting much sweeter than wine
蜜の味(蜜の味)
ワインより もっと甘い経験
[Bridge]
I will return, yes I will return
I'll come back (He'll come back)
For the honey (For the honey) and you
僕は戻るだろう そうだ 僕は戻ってくるよ
僕は 戻ってくるよ (彼は戻ってくる)
そのかわいい子ために (そのかわいい子ために)そして君のために
honey : はちみつ、(みつのように)甘いもの、かわいい者、すばらしいもの、
taste : 味覚、味感、味、風味、少量、気味、あじ、経験、(個人的な)好み、
taste : 〈…を〉味わう,経験する.
sweeter :甘い、砂糖を入れた、甘口の、甘みの強い、香りのよい、調子のよい、甘美な、声の美しい、気持ちよい、楽しい
dream : 夢を見る.
then : (過去または未来の)その時(は)、あの時に(は)、その時には、その時、それから、その後で、また今度は、次には、そのうえ、さらにまた
upon : 上で;そのうえに、に際し;にあたり、するにあたり
…の上に(接して)
again : 再び、また、重ねて、元の所へ、さらにそれだけ、もう…だけ、さらに、そのうえに、また一方
heart : 心臓、胸、(感情、特に優しい心・人情が宿ると考えられる)心、(知・意と区別して)心、心情、気持ち、気分、愛情、同情心
awake : 起こす、呼び起こす、自覚させる、悟らせる
there : [There+動詞+主語(名詞(語句)) / There+主語(人称代名詞)+動詞の形で]
[目前の動作を強調的に表わして] そらあそこに.
例文 There goes the bus! そらあそこにバスが行く!
[目前の物事・人に注意を促して] ほら,あれ.
例文 There goes the bell!=There's the bell ringing! あれ鐘が鳴る.
far apart : 例文 We are very far apart. 私達はとても遠く離れている。
参考辞書 Weblio、英辞郎
同性愛者だったジェフリーが、ジョーとのキスで、自分の内面にあった感情が呼び起こされたのではないかと思いました。自分の子供ではないけれど、その赤ちゃんとジョーを支えていこうと思えたほどです。
それなのに、母親ヘレンが二人を引き裂きました。
ジェフリーはジョーの元から去りましたが、「いつか僕は戻ってくるよ『the honey』そのかわいい子と,『you』ジョーのために」と自分の意思を歌っていると思いました
残念ながら、その歌はジョーには届いていません。
映画になった"A Taste Of Honey"の最後場面(5分)のリンクを貼っておきますね。「ジェフリー」の心境が妄想できます。
[Intro]
「A taste of honey. Tasting much sweeter than wine」(蜜の味, ワインより もっと甘い経験)は、
元歌「Lenny Welch」versionでは、
「A taste of honey. A taste much sweeter than wine」(蜜の味, ワインよりもっと甘い味)
となっています。
ビートルズがアレンジしたと考えると、「Tasting」を、「味がしている」ではなく「経験」と訳しました。
"A Taste Of Honey" の歴史
イギリスのランカシャー州サルフォードのブロートンで生まれた「シーラ・メアリー・デラニー」(1938年11月25日-2011年11月20日)が19才の時に脚本を書いた劇名が"A Taste Of Honey" でした。ジョンより2才年上のお姉さんですね。
シーラ・メアリー・デラニー Sheila Mary Delaney
ロンドンのロイヤル・ストラットフォード・イースト劇場で、1958年5月27日に初演され、
1959 年2月10日からは、ウエストエンド(West End)にあるウィンダムズ シアターに場所を移し公演されました。
ウィンダムズ シアターウェスト・エンド (West End) は、イギリスの首都ロンドンにおける地区。行政、商業、文化施設などが集中している。劇場や歌劇場なども多く、ニューヨークの"ブロードウェイ"と対照させ、ロンドンのミュージカルを"ウェスト・エンド"(West End theatre、ウェスト・エンド・シアター)と称することもある。
ウキペディアより
1960 年9月26日に、BBCテレビが、"A Taste Of Honey"の劇作家「シーラ・メアリー・デラニー」のドキュメンタリーを放送し、デラニーは『蜜の味』の視覚的な背景として、サルフォード(地名)での生活を振り返えったそうです。観ましたが英語を理解できませんでいた
1960年には、アメリカ ブロードウェイ(アメリカ ニューヨーク州ニューヨーク市にある劇場エリア)での公開が決まり、1961年9月まで続きました。
1960/ 10/4 - 1961/2/18 Booth Theatre
1961/2/20 - 1961/9/9 Lyceum Theatre
そのブロードウェイ版のために、
インストゥルメンタルの曲 "A Taste Of Honey" が、ボビー・スコットにより作られました。
Instrumental
A Taste Of Honey produced on Broadway
Writers : by Bobby Scott (play the piano)
Released : 1960/10/25
1961年9月には、イギリスで映画も製作されました。
トニー・リチャードソン監督。リタ・トゥシンハム主演。
ビートルズもこの映画を観たのではないかと妄想しています。
1961年に、「ビリー・ディー・ウィリアムス」によるボーカルが含まれたカバー・バージョンが発売されました。
Artist : covered by Billy Dee Williams
Released : 1961/10/04
1962年に、さらに「レニー・ウェルチ」よってカバーされました。
Artist : covered by Lenny Welch
Released : 1962
この「レニー・ウェルチ」バージョンを、ビートルズはアレンジして歌っているそうです。
"A Taste Of Honey"は、ビートルズ活動中も解散後も、数多くのカバーがリリースされています。列挙しようと思いましたが、とても多いので断念しました。
そして、劇場版もさらに、1981年 Broadwayで、2019年 West Endで、公演されたようです。
1975年、BBCラジオ1時間25分の物語として、放送されています。英語なので、やはりわかりませんでしたが、ジョーとジェフが初めてキスする場面の雰囲気が伝わりました。
ずらずらと書きましたが、何を伝えたいのかと言うと、
"A Taste Of Honey"は、曲も劇も色々な人によって表現され、多くの人に愛されてきたと言う事です。私が知っているポールが歌う "A Taste Of Honey" は、その中の一つに過ぎなかったのです。
ビートルズの他のメンバーは、 "A Taste Of Honey" を気に入っていなかったようですが。
ビートルズは、1962年に発表されたレニー・ウェルチによるカバー・バージョンの歌詞をわずかに変えてライブで演奏していた。ハンブルクやリヴァプールでの公演では、ロックを好まない観客からの要望により、バラードやスタンダード・ナンバーを複数演奏をしていた。マッカートニーは、エルヴィス・プレスリー登場前のポップ・ミュージックに傾倒していて、バンドのデモンストレーションを行なうのはマッカートニーの役割であった。しかし、ビートルズの他のメンバーは本作を気に入っておらず、特にジョン・レノンはライブでの演奏時にコーラスを「A Waste Of Money(金の無駄遣い)」と変えていた。
ウキペディアより
「Billy Dee Williams」version <歌詞和訳>"A Taste Of Honey"
[Verse 1]
Cold winds may blow for the icy sea
But I'll take with me the warmth of thee
A taste of honey, a taste much sweeter than wine
凍った海のせいで 冷たい風が吹くかもしれない
でも 君の温もりを僕と一緒に連れて行くよ
蜜の味 ワインよりもっと甘い
[Bridge]
I will return, I will return
I'll come back for the honey and you
戻ってくるよ 戻ってくるよ
僕は そのかわいい子と君のために戻ってくる
[Verse 2]
I'll leave behind my heart too well
And may it e'er remind you of
A taste of honey, a taste much sweeter than wine
僕は 自分の心を とても上手に残して置こう
だから いつも君が思い出してくれますように
蜜の味 ワインよりもっと甘い
[Bridge]
I will return, I will return
I'll come back for the honey and you
戻ってくるよ 戻ってくるよ
僕は そのかわいい子と君のために戻ってくる
thee : なんじを
leave behind : (…を)置き忘れる、置き去りにする、(…を)残す
e'er : 副詞 いつも、常に(at all times)
remind : 思い出させる、思い起こさせる(ように言う)、気づかせる、注意する、思い出す、(…に)思い出させるために言う
「ジョーの母ヘレンに、持ち物を全部持って行くように言われたけれど、僕の心だけは上手に残しておくから、いつも僕の事を思い出してくれますように」とジェフリーがジョーに歌っている気がしました
「Lenny Welch」version <歌詞和訳>"A Taste Of Honey"
[Intro]
A taste of honey
A taste much sweeter than wine
蜜の味
ワインよりもっと甘い味
[Verse 1]
I think of your first kiss and then
I feel upon my lips again
A taste of honey
A taste much sweeter than wine
僕は 君とのファーストキスのことを考える その時には
僕の唇の上に再び 接している感じさえする
蜜の味
ワインよりもっと甘い味
[Bridge]
I will return
I will return
I'll come back for the honey and you
僕は戻ってくるよ
僕は戻ってくるよ
僕は そのかわいい子と君のために戻ってくる
[Verse 2]
Yours was the kiss that awoke my heart
There lingers still though were far apart
A taste of honey
A taste much sweeter than wine
君のは 僕の感情を呼び起こしたキスだった
ほら まだ残っている 僕たちが遠く離れていても
蜜の味
ワインよりもっと甘い味
[Bridge]
I will return
I will return
I'll come back for the honey and you
僕は戻ってくるよ
僕は戻ってくるよ
僕は そのかわいい子と君のために戻ってくる
[Verse 3]
Though other lips may cling to mine
I know they'll never bring to mine
A taste of honey
A taste much sweeter than wine
たとえ他の唇が 僕のに触れても
僕はわかる それらは 僕の感情をもどしてくれる事は決してない
蜜の味
ワインよりもっと甘い味
[Bridge - Outro]
I will return oh yes
I will return
I'll come back (he'll come back)
For the honey and you
僕は戻ってくるよ そう
戻ってくるよ
僕は 戻ってくる(彼は戻ってくる)
そのかわいい子と君のために
think of : …のことを考える、…のことを想像する、…のことを考えてみる、夢想する、…を思い出す、を思いつく、…を言い出す、…のことを(…と)考える、みなす
though : [しばしば even though で] 《あまり用いられない語》 たとえ…でも,よし…にせよ.
例文 It's worth attempting even though we may fail.
たとえ失敗してもやってみる価値はある.
cling : (…に)くっつく、くっついて離れない、ぴったりつく、(…に)(手足で)しがみつく、すがりつく、抱き合う、(…に)執着する、愛着をもって離れない、(…に)しみこむ、ついて離れない
cling to : ひっつく
bring to : 意識がもどる、正気づく、我に返る
参考辞書 Weblio、英辞郎
[Verse 3]
「Though other lips may cling to mine. I know they'll never bring to mine」
(たとえ他の唇が 僕のに触れても僕はわかる それらは 僕の感情をもどしてくれる事は決してない)は、
ジョーとキスした時、同性愛者だった自分の奥底にある感情が呼び起されたけれど、他の唇(性別に関係なく)には、そう感じる事は、ないだろうと歌っていると思いました
Jeffreyさんの書き込み
私も、映画"A Taste Of Honey" を雰囲気だけでも観てみたいと思い、海外のDVDを安価で購入したのですが、プレイヤーが合わず見る事ができませんでした。有料ソフト無料体験し、最初の5分間だけ見ました!とほほ。
ガイ・フォークス
ビートルズの曲も、まだ聴きこんでいないので、ソロになってからのジョンの歌については
何も言えないのですが、
「回想するジョン・レノン」(旧題「ビートルズ革命」)の中でジョンが語っていました。「アルバム「Plastic Ono Band」の中の "Remember" の歌詞最後「 The fifth of November」は、ガイ・フォークスの日で、イギリスでは毎年11月5日には、記念のかがり火をたいて祝います」 と。
映画 "A Taste Of Honey"のラストシーンは、ジョンにも馴染みのあるお祭りだったのですね
以下ウキペディアより
ガイ・フォークス(英: Guy Fawkes[ˈɡaɪ ˈfɔːks]、1570年4月13日 - 1606年1月31日、別名グイド・フォークス(英: Guido Fawkes)は、1605年に発覚した火薬陰謀事件の実行責任者として知られる人物である。中略
フォークスは火薬陰謀事件の首謀者ではなかったが事件そのものと同義語となり、陰謀が発覚した日はイギリスの記念日(ガイ・フォークス・ナイト)となっている。また、英語で「男、奴」を意味する「ガイ(guy)」は、彼の名に由来する。
ガイ・フォークス・ナイト(Guy Fawkes Night)は、主にイギリスで毎年11月5日に行われる記念日である。ガイ・フォークス・デー(Guy Fawkes Day)、ボンファイア・ナイト(焚火の夜、Bonfire Night)、ファイアワークス・ナイト(花火の夜、Fireworks Night)などとも呼ばれ、日本語ではガイ・フォークス夜祭(ガイ・フォークスやさい)という名称で紹介されることもある。このイベントは、1605年11月4日深夜(ユリウス暦)に火薬陰謀事件の共謀者であるガイ・フォークスが、貴族院(ウェストミンスター宮殿)の地下に仕掛けられた大量の火薬(爆薬)を管理していたところを発見・逮捕された出来事及び、翌5日の夜にジェームズ1世が事件の未遂による自身の生存を祝い、市民たちがロンドン中で焚き火を行って祝った出来事に由来する。 その数か月後に「11月5日の遵守法」が制定され、事件が失敗したことに感謝する毎年恒例の祝日となった。
奥が深かった"A Taste Of Honey"
ジョーは女の子ですが、ジョーの境遇がジョンに重なる所もあると思いました。
‟Get Back‟ではジョンの事「ジョジョ」とポールは歌っているし。妄想は果てしないです。