管理者の絶対的な不足により、全部の業務は直接雇用化できない
右肩上がりの高度経済成長期は、「作ったものはすべて売れる」の売り手市場の論理で社会経済が動いていた。しかし、バブル崩壊後の経済低迷で、「作ったものがすべて売れる」は幻想であり、「売れる分だけ作る」という買い手市場主義に転換を余儀なくされた。それにより、従来は、正社員活用を前提としていた労働力も、社会環境の変化に応じて柔軟に対応できるパート・アルバイト、そして人材派遣に一気にシフトした。
社会環境の大きな変化により、物流業務も、①小ロット、②多アイテム、③多頻度というキメ細かい物流管理が求められるようになった。そして、その物流業務の最大の特徴は、“業務波動”“単純作業”にある。「必要なときに必要なだけ」の労働力を、いかに需給調整できるかが、現場収益のポイントであり、スポット派遣が台頭してきた理由である。しかし、「日雇い派遣禁止」「派遣抵触日」をはじめとした“派遣規制強化”により、物流現場の労働力活用は大きな転換期を迎えている。
「派遣抵触日」を契機に、常用派遣スタッフを自社に転籍させ、直接雇用化は一見成功するかのように見える。しかし、日々の業務波動に対する人員調整では、いまだにスポット派遣に依存している物流現場が大半である。物流現場における労働力の担い手は、パート・アルバイト・派遣スタッフといった非正規雇用労働者であり、少ない現場管理者が、荷主対応・収益管理から、人材マネジメントまで現場運営をすべて行わなければならない。
特に、常用労働者と比べ煩雑な労務管理が必要とされるスポット・シフト労働者の管理を自社で行うノウハウをもつ物流企業は少なく、波動調整機能を自社で構築できる物流企業は一握りである。一方で、物流現場は管理者不足にさいなまれており、現場運営のすべてを自社で行うのは難しいといえる。
私のもとにも、メーカー系物流子会社・自家物流会社の経営層の方から相談をうける機会が増えている。スポット派遣活用を前提としてきたアウトソーシング活用戦略を、今後どのようにしていけばよいかという相談が大半である。人材会社からは、「日々紹介」「労務管理代行」「採用代行」などの提案が持ち込まれるが、有用なものかどうか、コンプライアンスとして問題がないかという不安を抱えている。スポット派遣の代替としての活用を想定しているようだが、人材会社・物流会社による二重管理が発生し、間接コストを含めると、トータルコスト負担増となり、物流企業のデメリットが大きい。したがって、上記のようなサービスが、スポット派遣の代替サービスとして根付く可能性は当面のところ低いと考える。「給与直接払いの原則」を逸脱した運用を行う人材会社もあり、労務コンプライアンスの面からも難しいといえる。
人材会社の目線でだけ物事を考えていると、ビジネスがうまくいかない。顧客である物流企業、そこで働くスタッフ、社会環境などを俯瞰して判断しなければ、中長期的に発展するビジネスモデルは作れない。物流企業がとれるべき選択肢を、ひとつひとつ丁寧につぶしていけば、おのずと「物流請負事業」の可能性が見えてくる。
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