今日は要介護認定の話を書きます。
「老人ホームの話」、「老人ホームの話(2)」に書いたように、老人ホーム(高齢者施設)に入居する場合は要介護認定が必要になるケースが多いです。
要介護認定とは
対象者がどの程度の介護を必要とするかを7段階の数値で表したものです。
要介護認定が下りると、公的な介護保険サービスを利用できます。本来であれば高額なサービスが、介護保険サービスで自己負担1〜3割で利用できます。
例)自宅で暮らしながら、調理や掃除などの生活援助、入浴や移動などの身体介護を受けられる例)必要であれば施設入居も可能(介護保険適用)
要介護認定の基準
診断基準は次の通りです。
自立
要支援1 軽
要支援2 ↑
要介護1 │
要介護2 │
要介護3 │
要介護4 ↓
要介護5 重
・自立
日常生活を送る上で、支援などの介護サービスが不要な状態。
・要支援1, 2
日常生活を送る上で、多少の支援が必要な状態。
・要介護1
日常生活を送を送る上で、部分的に誰かの介護が必要な状態。
例)起立や歩行が不安定で排泄時や入浴時などに部分的に介護が必要
・要介護2
日常生活全般の一部もしくは全部において介護が必要な状態。起立や歩行が自力で行えないことが多い。
例)排せつや入浴で介護が必要
・要介護3
日常生活全般において介護が必要な状態。自力での起立や歩行が困難。認知症の症状が認められ、日常生活に支障がある。
例)排せつ、入浴、着替えをはじめ、日常生活全般において介護が必要
・要介護4
日常生活全般において介護が必要な状態。自力での起立や歩行がほとんどできない。理解力の低下が見られ意思疎通がやや難しい状態。
例)排せつ、入浴、着替えをはじめ、日常生活全般において介護が必要。
・要介護5
寝たきりの状態で、理解力の低下が進み意思疎通は困難な状態。
例)食事やオムツ交換、寝返りなどの介助が必要。
※認知症の症状からくる要介護度の目安
‐ 認知症の症状が明確に出ている場合は、要介護1以上
‐ 認知症の悪化により理解力や判断力が低下し、一人で安全に生活することが難しい場合は要介護3
‐ 認知症による暴言や暴力、徘徊などの行動が見られる場合は要介護4に相当
データによると、要支援1,2、要介護1,2の人が多いそうです。
要介護認定の申請方法(手順)
①最寄りの役所、地域包括支援センターで申請する
病院や施設にいる場合は、そちらで相談して手配してもらえることもある
②認定調査
訪問調査、主治医の意見書、コンピュータ判定、介護認定審査会の順に審査を行う
③結果通知
申請から結果通知までは約1か月(混んでいるともう少しかかる場合もある)
要介護度は介護する手間や労力を時間に換算した指標から出します。
判断材料は、②の主治医の意見書の影響が大きいです。認定調査前に主治医とよく話をして困っていることや不安に感じていることなどを伝えておくと安心です。
高齢になると持病をかかえる方が多くなりますが、病気の重さと要介護度は必ずしも比例しません。一方で、認知症の症状で歩き回り目が離せない場合は、身体が元気(自立)でも要介護度が重くなることがあります。コンピュータ判定後に審査会を開催し、総合判断は人が実施します。
要介護認定の有効期間
原則、新規の場合は6ヶ月、更新の場合は12ヶ月です。自動更新ではないため、有効期間が過ぎた場合は効力がなくなります(更新必須)。
介護度の変更
認定結果に納得できない場合は、認定調査をすべて最初からやり直せます。
相談先は、役所の窓口、最寄りの地域包括支援センターなどです。
また、著しく心身の状態の変化があった場合は、有効期間を待たずに介護度変更の申請ができます。相談先は、役所の窓口、最寄りの地域包括支援センターなどです。
次回は、認知症の判定基準について書きます。