さて、二世本編では時間超人が万太郎を倒し、優勝に向け王手をかけた。ここまで時間超人は正義超人をことごとく打ち倒してきた。かなり卑怯な手を使いつつではあるが、ブロッケンjr、ジェロニモ、ロビンマスク、キッド、ネプチューンマンを倒したことには違いない。
しかしこの小物さはいったいなんなのだろうか。読者を圧倒させる強さをみせてくれたことがあっただろうか。
たいがい
「はいはい、アクセレレイションアクセレレイション」
「どうせノーダメージやろ」
「また後出しの強がりや」
「またわけのわからん特訓や」「また卑怯な作戦や」「また精神的な揺さぶりや」
などと冷めてしまうのがほとんどだ。
俺は、圧倒的な強さを感じるには論理的な説得力が不可欠だと思っている。例えばキン肉マンの悪役で最も印象深い超人であろう悪魔将軍がわかりやすい。
悪魔将軍は「実体をもたない軟体超人」であり、「私は体の痛みを感じない。だからどんな技をくらっても平気。それが私の強さの秘密だ」「この宇宙にある全ての技に耐えることができる」と豪語していた。
「実体をもたない」→「そのため体の痛みを感じない」→「だから倒せない」
「軟体超人である」→「超軟体スネークボディでどんな技でもぬけられる」→「だから倒せない」
とその強さは実に論理的だ。しかしそれゆえに「実体をもたないなら実体を作ればいい」というバッファローマンの論理に敗れた。バッファローマンの肉体を支配したがために、超軟体スネークボディが使えなくなり、「う、動けん!」ようになりキン肉ドライバーで敗れた。理屈で説明できる強さには理屈で説明できる方法で倒すしかなかったのだ。だから理屈で説明できないキン肉マンの火事場のクソ力や友情パワーの奇跡だけでは倒せなかった。
しかし時間超人は違う。時間超人の強さは全く論理的でない。
なぜサンダーはマッスルミレニアムをくらったのに今ピンピンしているのか。
なぜライトニングはロビンのロビンスペシャルをまともにくらったのにピンピンしているのか。
なぜアクセレレイションでたかがコンマ一秒未来にいったくらいであらゆる技から脱出できるのか。
なぜネプチューンマンのチョッキのトゲがライトニングの胸にはりつくのか。
なぜホット・ロック・ジャイロで溶岩を触っているライトニングが平気なのか。
なぜ富士山の噴火による火山岩や破片が時間超人にだけ全く当たらないのか。
アクセレレイション使って二人が合体することになんの意味があるのか。
等々・・・まったくわからない。俺は説明できない。
論理的でないから説得力がない。なんとなくボスだから無敵。ご都合主義の塊のような敵だ。こんな理屈で説明できない強さの敵に対抗するには、理屈で説明できない方法しかない。そう、
正義超人の奇跡のパワーである友情パワーと、
キン肉族のみがもつ火事場のクソ力である。
あのキン肉マンがなぜあれほど強かったか。それは「48の殺人技と52の関節技を極めた論理的な強さ」と、「奇跡を呼ぶ友情パワーと火事場のクソ力という神秘的な強さ」を兼ね備えていたからだ。
しかし残念ながら今の万太郎には友情パワーもなければ、火事場のクソ力も期待できない。万太郎が火事場のクソ力を発揮するには「無我」「寛容」「友情」の三要素が必要であるが、その三要素全てが欠けてしまっているのはケビンに対する態度で明らかだ。「友情」が欠けているのだから友情パワーも何もない。
さあどうやって勝つというのだろうか。
長々と考察したが、クソ力の三要素なんてゆで先生はとっくに忘却の彼方だろうなあと思って虚しくなった。