Sea Breeze Season8 -44ページ目

あゆと呼んで



うちの海の家に入った男女8人のグループ。


12時を少し過ぎた頃、食事を食べに海から戻って来た。


席を確保した彼らは、食事を注文する前に、それぞれビールやお茶などを買って、自分たちの席に戻って行った。


食事の前に一杯やるのだろう。


その中に1人だけ、既に酔っぱらっている女の子がいた。


もうかなり出来上がっている。


彼女はかき氷と缶チューハイを買ったが、仲間の所には戻らず、そのまま売店で話し始めた。


彼女は、やけに鼻にかかった声で、


「お兄さん、氷にもうちょっとシロップかけてくれる?」


と言った。


オレは、


「いいよ。」


とシロップをかけ、彼女にかき氷を渡しながら、


「その声どうしたの?飲み過ぎ?」


聞いた。


すると彼女は、


「違うよ。あたし、浜崎あゆみが大好きなの。あゆみたいでしょ?」


と、また鼻にかかった声で、かき氷食べながら言った。


だが、酔っているので、


食べる氷よりも、ボタボタとこぼしている氷のほうが多い。


「あぁ!そっか!そういえば似てるね。」


とりあえずそう答えておいた。


「でしょ?」


と、彼女は満足そうにかき氷を食べているが、相変わらずボタボタとこぼしている。


これ以上汚されてはかなわないと思い、


他の仲間たちを見た。

注文も済ませ、早い人はもう食べ始めている。


オレは、


「浜崎のあゆみさん、みんなの所に戻らなくていいの?もう食べ始めてるよ。」


と言うと、彼女は仲間のほうを見て、


「あ、ホントだ。なんだよアイツらぁ、あたしをほったらかしにしてぇ。」


とブツブツ言いながら仲間の所に向かおうとした。


その彼女が、いきなり振り向いて、


「お兄さん、シロップありがとう。お兄さんいい人だから、あたしのことあゆって呼んでいいよ。」


と言った。


内心、やれやれ…と思ったが、


「ありがとう。」


と言っておいた。


その後、食事を終えたこのグループは、


海で遊ぶ者、パラソルの下で休む者、そのまま飲み続ける者と、それぞれ好き勝手に行動していた。




そして、夕方近く。


帰り仕度をするため、2人、3人と海の家に戻ってきた。


その中のひとりの女の子が

「あのコ帰ってきました?」


と聞いた。


あのコとは、酔っぱらいあゆのことだ。


「いや、見てないけど。」


と答えると、


「あたし、ちょっと捜してきます。」


と言って、砂浜に駆け出して行った。


酔っぱらいあゆは彼女に連れられて帰ってきた。


他のメンバーは、既に帰り仕度ができている。


しばらくして、着替え終わった彼女が、また缶チューハイを買いにきた。


気がつくと、他のメンバーがいない。


「ねーさん、他のみんなはどうしたの?」


と聞くと、


「知らねぇ。いつものとこだよ。それよりお兄さんはあゆって呼んでいいって言ったでしょ!」


と言った。


どうやら、置き去りにされたことは気にしないが、あゆと呼ばれる事にはこだわりがあるらしい。


結局、この酔っぱらいあゆは、


「じゃぁね、お兄さん。」


と言って、缶チューハイ片手に1人でフラフラと帰って行った。


ハーフ?日本人?



売店に向かって歩いてるくる2人の女の子。


まだ距離はあるが、明らかにこっちに向かっている。


1人は茶髪のロングでかなりスタイルがいい。


もう1人は金髪のショートカットでサングラスをかけている。


遠目で見た限りでは、どちらも日本人には見えない。

多分、ハーフか米軍基地のアメリカ人だろうと思った。


彼女たちは売店に来て、


「焼きとうもろこしください。」


と日本語で言った。


オレは、ロングの彼女に、


「ねえさん達ハーフ?」


と聞くと、


「ううん、日本人だよ。」


と言った。


「こっちに歩いてくる姿を見てたら、ハーフかアメリカ人かと思ったよ。」


と言うと、


「うん、よく間違えられる。」


そして、


ショートの彼女も、


「私も日本人だよ。」


とサングラスを外した。


その顔を見て、


「ホントだ。こっちのねえさんはバリバリ日本人じゃん。」


と言ってしまった。


「ちょっと失礼じゃない?」


と膨れっ面。


「ごめん。でもサングラスをかけて、2人で歩いてる時の雰囲気はハーフみたいだったよ。」


と言うと、


「全然フォローになってないんだけど。それってこのコの隣で私が顔を隠してたからってことでしょ?」


「いや、今オレも言ってから、しまった!と思った。重ね重ね申し訳ない。」


と謝った。


そんなやり取りをロングの彼女は隣で聞いて笑っている。


その後も、なんやかやといろいろあったが、


最終的にはみんな笑いだし、なんとか丸く収まった。


そして、手を振りながら、


「じゃぁね、失礼なお兄さん。」


と言って砂浜を歩いて言った。


その後ろ姿を見送りながら、


「またどうぞ。」


と言った。


振り向いた彼女は、


アッカンベーをして笑った。


花火大会



8月7日


花火大会


夕方近くになると、続々と人が集まって来る。


誰もが皆、いいポジションを探して砂浜を歩き回っている。


そして、薄暗くなる頃には砂浜は見物客でいっぱいになる。


この日だけは、海の家も見物客のために、夜も売店を営業している。


花火が始まるまでは、飲み物やつまみを調達にくる見物客で大忙しになる。


打ち上げが始まると、忙しさも一段落。


こちらも花火見物。


今年の花火大会も盛況だった。



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