Sea Breeze Season8 -33ページ目

夏の終わり



8月31日 日曜日 17:00



今年の海水浴場の営業が終了した。





午後5時



救護本部から、海水浴場営業終了の放送が流れた。



ライフセーバーは整列し、その放送を聞いている。



放送終了と同時に、被っていたキャップを放り投げ、

この夏の2ヶ月間を、無事故で終えたことを喜び合っていた。




この頃になると、人の数も減り、砂浜がやけに広く感じる。



ビーチには水着よりも、私服姿のほうが多い。



手を繋いで歩いているカップル。



ビーチシートに座って、海を眺めている2人の女の子。



小さい子供と遊んでる家族。



サッカーをしている中学生くらいの男子。



犬の散歩をしている地元の人。




去年の今頃は、まだ真夏の暑さだったが、



今年は秋が始まったような感じだ。



うきわの修理



なぜか今年の夏は、



うきわの修理を頼まれることが多かった。



ほとんどのお客さんは、空気入れを借りに来るだけなのだが、


今年は、


「うきわに穴があいたんだけど直せますか?」


と聞いてくるお客さんが多かった。



切り裂いたようなうきわは直せないが、


小さい穴なら補修用フィルムで直せる。



この補修用フィルムは、特別に用意したものではない。



海の家では、うきわのレンタルとは別に、新品のうきわも売っている。


新品のうきわには、補修用フィルムが付いているものが多い。



だが、ほとんどのお客さんは、「いらない」と置いていってしまう。



この補修用シールは、うきわの付属品だけあって、意外と優れ物だ。



丁寧に修理すれば、その日一日は十分使える。


今年の夏も、修理したうきわで、空気漏れしたものはひとつもなかった。



そんな中、家族連れのお客さんが、



「これ空気が漏れてるようなんですけど直りますか?」



ビーチマットを持って来た。



話を聞くと、



子供と一緒に波打ちぎわで遊んでいたら、いつの間にか空気が抜けていたそうだ。



波打ちぎわなら、貝殻の破片であいた穴だろう。



調べてみると、マットの裏側の3ヶ所に小さな穴があった。



オレは、



「これなら直ると思いますよ。」



と答え、作業を始めた。



2つは順調に直せたが、3つ目の穴が厄介な場所にあった。


ビニールのつなぎ目の近く、少し丸みを帯びたところ。


上手くをやらなければ、すぐにフィルムがはがれてしまう。



慎重に作業を進め、全てのの穴にフィルムを貼り、空気を入れてみた。



とりあえず空気は抜けていない。



「これで使ってみてもらえますか?」



と言って、ビーチマットを返した。



その後、このビーチマットは空気漏れすることもなく、お客さんも一日遊べたようだ。



海から上がってきたお客さんは、



「ありがとうございました。うきわの修理をしてくれる海の家は初めてですよ。」



と喜んでくれた。



元々は、売店がヒマだった時に、持ち込まれたうきわを修理したのがきっかけだった。



お客さんが喜んでくれるなら、こんなサービスがあってもいい。



フリスビー



男3人と女3人の6人組。


海で遊んだり、パラソルの下で飲んだりしていた。



この日は、まだお盆休みの真っ最中。



特に女の子の飲むピッチが早い。



男は頻繁にビールを買いにくる。



アルコールのせいなのか、日焼けなのか、

ひとりの女の子は全身を真っ赤にして大の字で寝ている。



ビールを買いにきたニーチャンに、



「ネーサン達、よく飲むねぇ。結構酒強いの?」



と聞くと、



「いや、もうかなり出来上がってますよ。」



と言った。



話しながら見ていると、



ひとりのネーサンが、フリスビーを始めた。



確かに、かなり酔っているようで、投げる方向が定まらない。


しかも、風上から投げているので、かなりのスピードで飛んでいく。


相手をしている別のニーチャンは走り回っているが、キャッチできない。



投げたネーサンは、



「コラー!!しっかり取れー!!」



と怒鳴っている。



オレは、



「確かに相当きているみたいだね。」



と言うと、



「ご覧の通り。」



と苦笑い。



しばらくその様子を一緒に見ていたが、



次の一投、



珍しくきれい飛んでいった。



不意を付かれたニーチャンは取り損ね、フリスビーは後方に飛んでいった。



そこには、


サマーベッドに座った女の人が。



飛んでいったフリスビーは、女の人のおでこに命中。


ガツッ!!



という音。



ニーチャンに、



「今、聞こえたよなぁ。」

と言うと、



頷きながら、


「聞こえた。ちょっと行ってきます。」



と、ビールを置いたまま走りだした。



フリスビーをやっていた2人と一緒に、女の人に何度も頭を下げている。



オレは、ニーチャンが忘れていったビールを持って行き、



「さっきフリスビー投げたのはどのネーサン?」


と聞くと、



「は~い、あたし~。」



ライフセーバーから注意される前に、



「フリスビーは禁止だから、もうやめておいたほうがいいよ。」



一応、念を押したが、



「は~い。」


と全然懲りていない。



ダメだ。完全な酔っぱらいだ。



その横では、全身真っ赤にしたネーサンが、



そんな騒ぎも知らず、相変わらず大の字で寝ている。


なんとなく、ニーチャン達の苦労がわかった気がした。