Sea Breeze Season8 -27ページ目

待ち合わせ


海の家の横はちょっとした日陰になっている。

その日陰で電話をしている人をよく見かける。

ほとんどの場合が、現地集合で海水浴に来たが、場所がわからず合流できないお客さんだ。

特に多いのは女の子。

男の場合は、炎天下の砂浜をスマホで連絡を取りながら右往左往している。

女の子は日焼けが気になるのだろう。
日陰で連絡を取っている。


この日もそんな女の子たちがいた。

オレが売店から、

「誰かと待ち合わせ?」

と声をかけると、

「そうなんだけど、場所がわからなくて。」

と答えた。

「友達はもう来ているの?」

と聞くと、

「来ているのは間違いないんだけど、スマホも出ないし、LINEも返事がないし。」

と砂浜を見回している。

「みんな海に入っているんじゃない?とりあえず中に入れば?ひと休みしながら連絡を待てばいいよ。」

と売店前の席をすすめた。

「いいんですか?ありがとう。」

と言って席に着いた。

冷たいジュースを飲んで、一息ついた彼女たちに話を聞くと、

他の友達は車で来たのだが、時間が合わなかった彼女たちは、後から電車でやって来た。

車なので、服の下に水着を着ていけば海の家は使わなくても大丈夫だろう。

そして、海に着いたら連絡すればすぐに合流できるだろう。

帰りは乾いた水着の上に服を着て帰ればいい。

大体こんな計画で海に来たそうだ。


そんな話をしているところに、彼女のスマホに着信があった。

場所を聞くと、すぐ近くにいるようでパラソルを借りていると言う。

オレはパラソルに書かれている海の家の名前を聞くように彼女に言った。

彼女が友達から聞いた名前はここだった。
それなら話は早い。

彼女たちを連れてレンタル小屋に行き、バイトに説明した。

それを聞いたバイトは、

「多分、あそこじゃないですか?」

と指さした。

砂浜にはパラソルとテントが入り乱れている。

最近は個人でレジャーテントを持ってくるお客さんも多い。

パッと見た感じではわからないが、そんなテントの陰に女の子のグループがいた。

「あっ、あれです。」

と彼女たち。

「だけどナンパされてるみたいだね。」

そのグループに数人の男たちが群がっている。

「結構しつこく粘ってるけど、女の子は乗り気じゃないみたいですよ。」

とバイト。

彼女たちも、

「あんまり行きたくないね。」

などと話している。


オレは彼女たちに、歩き疲れたから休憩したいと言って、みんなを連れて来るように指示して売店に戻った。

彼女たちは、友達のところに行って何か話している。

しばらくすると、みんな立ち上がりこっちに向かって歩き始めた。

その後を、男たちが歩いて来る。

オレは売店から出て、

「ねぇさんたち遅いよ!」

と言って、出迎えた。

彼女たちも、

「ごめんなさ~い。ナンパされちゃって。」

と言って、話を合わせている。

オレは後ろにいる男たちに、

「ダメだよにぃちゃんたち。このコたちはオレがもらっていくんだから。」

と言って追っ払った。


その後、彼女たちは食事に来たり、売店もよく利用してくれた。

帰り際には、シャワーを浴びに来た。

「そのまま車で帰るんじゃなかったの?」

と言うと、

「全身砂まみれ潮まみれだから。」

と笑っている。

そして、シャワーで全身を洗い流した彼女たちはサッパリした顔で、

「お兄さん、今日はありがとう。」

と言って、荷物を抱えて車に向かって行った。

もしそのまま車で帰っていたら、家に着く頃にはシートが砂だらけになっていただろう。


熱中症


7月最後の日曜日。

海の家には入っていなかったが、売店をよく利用してくれる10人位の若い男女のお客さんがいた。

お昼過ぎ、その中の数人が食事と休憩のため、売店前のテーブル席に座った。

食事も済み、ビールやジュースを飲みながら談笑しているところに他のメンバーもやって来た。

よく見ると、その中に両わきを抱えられている女の子がいた。目を閉じてぐったりしている。

仲間たちは、椅子に座らせ水を飲ませようとしているが、まったく飲もうとしない。

オレは気になって、

「彼女どうかしたの?飲みすぎ?」

と聞いた。

だが、一緒にいた仲間は、

「全然飲んでないんですけど、自分たちが気がついた時には気分が悪くなっていたみたいで。」

と答えた。

その間も、水を飲ませようとしているが、飲もうとしない。

相変わらず目を閉じたままぐったりしている。

「多分、熱中症だよ。こっちに寝かせて。それと誰かライフセーバー呼んで来てくれ。」

と指示した。

その間に、風通しのいい場所を確保し彼女を寝かせた。

あとは体を冷さなければならない。

幸い、ここにはかき氷用の氷が山ほどある。

ビニール袋に砕いた氷と水を入れ、首、脇の下、内腿を氷水で冷した。

とりあえずこれで応急処置は完了。

暫くしてライフセーバーがやって来た。

その頃には、目も開いて、少しだが水を口に含んだ。

ライフセーバーの問いかけには頷いていたが、まだ自力では動けないようだ。

結局、本部に応援を要請し、担架で救護所へ運ばれて行った。

その後、救急車が来た様子もないので、大事には至らなかったのだろう。

くれぐれも体調管理には気をつけて欲しい。


パシリの坊や


20代半ばぐらいのちょっとイケイケ風のお姉さまが2人、売店にやって来た。

まだ私服だったので、

「海の家は決まってるの?」

とビールを買った彼女たちに聞いた。

「まだ決めてないけど、パラソルとかサマーベッドもあるの?」

と言うので、

「どっちもあるよ。よかったらここにすれば?」

で、話はすんなり決まった。

水着に着替えた彼女たちは、まずビールで乾杯。

ひと休みして、砂浜に出て行った。

この日のビーチはかなりの混雑で、なかなかスペースを取りづらい。

そこで、とりあえず空いていたレンタル小屋の正面にパラソルとサマーベッドを設置することにした。

レンタル小屋の前は、お客さんが行き交うので敬遠されがちなのだが、
彼女たちは構わないと言ってくれたので、あとはバイトに任せてオレは売店に戻った。


しばらくすると、坊主頭の少年がビールを買いに来た。

「中学生?ビール飲んじゃまずいだろう?」

と言うと、

「高校1年です。」

「どっちにしても飲んじゃまずいんじゃない?」

「これ頼まれたんです。」

答えた。

気になって行き先を見ていると、あのお姉さまたちに渡している。

その後も、何度かビールやチューハイを買いに来た。

ジュースを一緒に買って行くこともあった。


レンタル小屋のバイトが売店に来た時に話を聞くと、

3人の高校1年生が、彼女たちの前にシートを広げようとしたが、どうしてもシートが彼女たちのパラソルの日陰に入ってしまう。

でも彼女たちは、日陰に入ってもいいと言ってくれた。

それから、この高校生たちはパシリとして、何度も売店と彼女たちの間を往復していた。



午後2時過ぎ、
早上がりするお客さんが帰り始めた頃、彼女たちが売店にやって来た。

「今度は 自分で買いに来たんだ。」

と言うと、

「そろそろ帰るから、その前にもう1杯。」

とジョッキで生ビールを注文した。

「もうパラソルとか片付けていいのかな?」

と聞くと、

「あの坊やたちに使わせちゃったけどいいよね。」

と言った。

まぁいいかと思いながら、

「ねぇさんたちから見るとあの高校生は坊や扱いなんだ。」

「だってカワイイんだもん。見ないフリしてチラ見してるし。だからこっちから声かけちゃったよ。」

と笑ってる。

確かに2人ともスタイルがいい。


「それでパシリに使ってたんだ。かわいそうに。」

「目の前のアリーナ席で見せてあげてるんだからそれくらいしてもらわないと。」

もう一人のねぇさんも、

「ちゃんとご馳走してあげてるしね。」

と言った。

「オレにはそれが高いのか、安いのかわからないけどね。」

と言うと、

「じゃあ、お兄さんも見る?」

と言って、ビキニの胸をつき出し、

「高いよ。でもお兄さんにはサービスしてあげてる。」

と笑った。

そんな話をしながらビールを飲み終えた彼女たちは、シャワーを浴びて帰って行った。


その後、高校生たちはパラソルの下で、彼女たちが使っていたサマーベッドに寝ころんでいた。