特報:福島第一原発、津波を「再評価中」だった
以下テキストのみ引用******************************************************
津波による浸水で電源を断たれ原子炉を冷却できなくなった福島第一原子力発電所。2006年に改定された耐震設計審査指針(新耐震指針)に基づいて、津波に対する安全性を再評価している最中だったことが日経コンストラクションの調べで分かった。
東京電力は1966年の福島第一原発の設置許可申請時、60年のチリ地震津波での水位変動を考慮して、津波の高さを想定した。福島県小名浜地方の年平均潮位より3.1m高い水位だ。なお、引き波時の下降水位はマイナス1.9mと想定した。
その後、土木学会が2002年に「原子力発電所の津波評価技術」をまとめたのを受けて、東電は津波に対する安全性評価を見直した。マグニチュード8.0 の地震による津波を想定し、津波の最大高さは5.7m、引き波時の下降水位はマイナス3.0mとした。東電によればこの時、原子炉の冷却に必要な取水ポン プの設置方法を見直すなどの対策を講じている。
06年9月、政府の原子力安全委員会は新耐震指針を制定し、経済産業省原子力安全・保安院が各原発事業者に耐震安全性の再評価を指示した。なお、81年の耐震指針制定後、初めての本格的な改定だ。
新耐震指針のポイントは、重要な構造物や設備の耐震性を評価する際の入力地震動をより精緻に、より厳格に設定することだ。設定した入力地震動に対する構造物や設備の応答を計算して、耐震性を評価する。
さらに、津波や周辺斜面の崩壊についても考慮するよう求めている。ただし、津波に関しては「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があ ると想定することが適切な津波によっても、施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと」という一文のみ。しかも定性的な表現にとどまっている。
耐震性の評価を終え津波はこれから
新耐震指針に基づく再評価は、(1)基準地震動の設定と原子炉建屋など重要施設の評価(中間評価)、(2)周辺斜面や津波の評価と基礎地盤の評価、屋外重要土木構造物の評価(最終評価)という2段階で実施する。
東電は福島第一原発に関して、まず5号機の中間評価を08年3月に保安院に報告し、09年7月に保安院から「妥当である」という内容の審査結果を受けている。3号機と4号機についても同様に、中間評価までは審査を終えている。
最終評価に向けて、津波に対する再評価を検討している最中に東日本大震災が発生した。震災が発生しなくても、東電は最新の海底や海岸の地形データや、潮位のデータを使って計算をやり直し、津波の高さなどの想定を見直す可能性があった。
結果論から言えば、津波に対する再評価が間に合っていたとしても、高さ14mと推定される今回の大津波を防げなかったかもしれない。政府の地震調査委員会が「想定外」と言う四つ以上の震源域が連動して動く巨大地震を想定するはずがないからだ。
土木学会の原子力土木委員会津波評価部会は07年に発表した「津波評価手法の高精度化研究」で、津波水位の確率論的な評価方法や高精度の数値モデルなど を示した。東電は既に最終評価を終えた柏崎刈羽原発で、「現時点でプラクティスとして確立しておりません」として採用しなかった。
地震動以上に不確定要素が多くて想定が難しい津波だから、最新の研究成果を積極的に取り入れ、より安全側に想定することが求められる。
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結論から言えば、仮に再評価後修正処置が間に合ったとしても、事故は防げなかった可能性があるということです。再評価で基準とされた想定以上の津波が、今回襲来したことによります。
中越沖地震に際しても、柏崎原子力発電所での地震による加速度は、想定値を越えたとのことでした。つまり実際の地震は原子力発電所の耐震や津波の想定値を、軽々と越えています。
もともと建設コストの高い原子炉を、さらに高い安全性を求めるために、今回の地震や津波に合わせた設計に変更すると、どの程度コストが上昇するのでしょうか。場合によっては他の発電のほうが、安いコストで出来るという風になるのかもしれません。コストを優先するあまり安全性が犠牲になった可能性だってあります。
再評価自体は必要なことです。今後はみんなが納得できる基準に変えて、再評価をし直すべきでしょう。そうなったときに、存続できる原子力はどのくらいあるのでしょうか。僕はとても疑問です。