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伊達直人が400人!? “タイガーマスク騒動”が残したものとは

週プレNEWS 1月17日(月)20時17分配信

 恵まれない子供たちにランドセルなどを贈る「タイガーマスク現象」が日本中を席巻している。その件数は47都道府県で約400件(13日現在)、プレゼントされたランドセル数は500個を超える。

 昨年のクリスマスになんの前触れもなく始まった、この「善意の連鎖」をどう受けとめればいいのだろう?

「タイガーマスク現象を序盤に担ったとみられる50代から60代の人々に、“伊達直人”という存在がジャストフィットしたのでは?」と語るのは、精神科医の和田秀樹氏だ。
「50代から60代は貧しかった日本を知る世代。この数年、格差社会のニュースが増えた。貧困にあえぐ子供の存在を知り、かつての自分を想起したのかも。自分はのうのうと暮らしている。それが申し訳なくて、寄付へと走らせたのでしょう」

 財政赤字や不況で国や企業は頼りにできない。そんなときだからこそ、市井の人々でもできることがあると、動き出したのでは?と考える意見もある。

「これからはお金がなくても見捨てられない人間関係を、個人個人が築いていかなければなりません。市民が国に頼らず行動し、問題を解決する、ということです。タイガーマスク現象はそうした社会のイメージを市民が共有し、行動に移す第一歩になる可能性がありますね」(宮台真司首都大学東京教授)

 ホント、心がほんわか温かくなる。暗い話題ばかりの日本もまだまだ捨てたもんじゃない。パチパチ(拍手)。
と喜んでいたら、一方でこんな声も。

「ただ、メディアはもっと冷静に検証したほうがいい。いまはタイガーマスク現象を後追いし、煽っているだけ。どうしてこの現象が広まったのか、今後どうなるか? そういった分析もすべきです」(評論家の荻上チキ氏)

 確かに、こんなに短い期間に伊達直人が400人も名乗り出るなんて、ちょっと薄気味悪い気がしないでもない。

 荻上氏が続ける。
「今回は、暗いニュースばかりで明るい話題に飢えていたメディアで騒動が英雄的に騒がれた。すると、その報道を見た視聴者の中から『自分もやってみよう』という人が現れた。その事件を見てまたメディアが騒ぐ。その繰り返しによって“事件”が“祭り”に変わり、さらに便乗者が増えた。自殺報道によってさらに自殺が続く“ウェルテル効果”とは逆に、善行の連鎖をメディアイベント化したケースだといえるでしょう。つい先日もネット上で『次はパソコンを贈ろう!』という運動がありましたが、果たしてそれが本当に子供のことを考えた贈り物なのかどうかは疑問が残りますね。そもそもどういうニーズが養護施設にあるのかを考えないと」

 実際、一部の施設からは「『何を贈ったらよいですか』と聞いてもらえたら、さらにありがたかった」との声も上がっている。

 前衆議院議員の保坂展人氏が言う。
「寄付はよいことだけど、施設の実情を調べてからにしてほしい。子供たちの事情は施設によってまったく違いますから。よくわからないときは、現金か商品券が使い勝手がいいでしょう」

 そのうえで、こうした動きが常時、定着していけばタイガーマスク現象は本当に評価されてもいい。
「今回の騒動でよかったことは、『日本にはまだ、いいことをしたいと思っている人がこんなにいる』とわかったことです。これを単なる流行で終わらせずに、さらなる草の根運動に発展すればよいと思います」(前出・荻上氏)

 これを機に「タイガーマスクの日」を設けて、毎年、恵まれない子供たちに寄付するというのはどうだろうか。