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アダルト漫画家、夕張で雪かき…猪瀬副知事との会談条件クリア

スポーツ報知 1月22日(土)8時1分配信

 過激な性描写の漫画やアニメの販売を規制する東京都の青少年健全育成条例に反対する都在住のアダルト漫画家・浦嶋嶺至さん(46)が21日、北海道夕張市でボランティアの除雪作業をした。猪瀬直樹都副知事(64)が、浦嶋氏が同市で雪かきすればインタビューに応じると短文投稿サイト「ツイッター」に書き込んだのがきっかけ。表現の自由を訴える浦嶋さんは「会って話をしたい」とし、猪瀬副知事も「約束は守る」と話している。

 インタビューの条件は「夕張での雪かき」。性行為を描く漫画やアニメの販売を規制する都条例に反対するアダルト漫画家と、作家としても知られる都副知事の間に不思議な約束が交わされた。

 両者のブログなどによると、浦嶋さんは20日に夕張入りし、21日午前10時頃から市社会福祉協議会の仲介で、同市内の一人暮らしの高齢者宅を訪れ、高さ約3メートルの雪を同会職員ら数人とスコップで取り除いて「インタビュー条件」を満たした。

 発端となったのは、昨年12月に改正案が成立した都条例。性行為を描写した漫画やアニメについて18歳未満への販売を自主規制する案などを盛り込んだため、作家や漫画家、出版社が「表現の自由を侵害する」と反対した。猪瀬副知事は、反対の動きに対して同12月5日のツイッターで「まだ言いたいことがある。ネトウヨ(ネット右翼)は財政破綻した夕張で雪かきして来い。それならインタビューうけてもよい」と書き込んでいた。場所を夕張市としたのは、破綻した同市に08年から昨年まで都職員を応援派遣した経緯からとみられる。

 ツイッターを読んだ浦嶋さんは、実際に副知事側に問い合わせたところ「雪かきしたら会う」との回答があったため、夕張行きを決定。ネット上で表明すると、副知事は18日付のツイッターで「夕張の振興、よろしくお願いします。インタビューの約束守ります」と男に二言はないことを明言。21日も、浦嶋さんの行動に対して「ご苦労さまです。頑張ってください」とつぶやいている。

 1988年に「浦嶋礼仁」のペンネームでデビュー。近著に「ぬきまん。」がある浦嶋さんは、雪かきを終えると「条例を改正する必要は全くなかった。猪瀬副知事のインタビューはネットで生中継したい」と語った。

 ◆東京都青少年健全育成条例改正案 昨年3月、東京都が過激な性行為を描いた漫画やアニメの青少年への販売を規制する改正案を議会提出。改正案では、強姦(ごうかん)や強制わいせつなど刑罰法規に触れるか、近親者同士の性行為を「不当に賛美・誇張」して描いた漫画やアニメを18歳未満の青少年に販売、閲覧させないよう出版界に自主規制を求めている。悪質な作品は青少年への販売を禁止する「不健全図書」に指定。12月に都本会議で可決された。販売規制の条項は今年7月1日に施行予定で、それ以前に発売された漫画などには適用されない。