太田弦 田村響 東京交響楽団 アンダーソン「ピアノ協奏曲」「スター・ウォーズ」より | ベイのコンサート日記

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音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。


(4月28日・ミューザ川崎シンフォニーホール)

ミューザ川崎らしいエンタテインメント性のあるプログラム。

ルロイ・アンダーソン「ピアノ協奏曲 ハ長調」を聴くのは初めて。フェスタサマーミューザKAWASAKI2015で、川瀬賢太郎指揮神奈川フィル、小川典子のピアノで演奏されたことがある。

 

第1楽章冒頭に出る主題はチャイコフスキーの第1番を可愛らしくロマンティックにしたよう。第2主題は映画音楽のテーマのように甘い。展開部は軽快なフーガ。第2楽章はやはり甘い第1主題と竹山愛以下フルートの愛らしくリズミカルな第2主題が対比をつくる。スネアドラムとピアノの対話から始まる第3楽章はカウボーイたちが軽快なカントリー・ダンスを踊るように陽気な音楽。華やかなカデンツァを経てにぎやかに終わった。

 

1953年の初演、再演で酷評を受けたアンダーソンは作曲リストから省いてしまった。晩年に改作を試みたが亡くなってしまう。未亡人エレノアが1989年に復活して以来、聴衆に親しみやすい作品として人気が高まっている。

 

太田弦田村響東響の演奏は少しまじめで、もう少ししゃれた雰囲気、例えばハリウッド調など、が醸し出されたらもっと引き込まれたと思う。

 

後半は、ジョン・ウィリアムズ作曲、映画「スター・ウォーズ」から。

太田弦は3つのこだわりがあるという。

①   20世紀フォックス・ファンファーレで始まる

②   生演奏ではレアな曲を集めた

③   オーケストラ曲としても面白い。東響コーラスが2曲歌う。

 

20世紀フォックス・ファンファーレは1977年の第1作の公開当時使われなくなっていたテーマをジョージ・ルーカス監督の強い希望で10年ぶりに復活させた。「スター・ウォーズ」のメイン・タイトルと同じ調性で作曲されている。

 

生のオーケストラで聴くおなじみのテーマは、冒頭のスネアドラムの強打と低音が凄い迫力。
20世紀フォックス 75 Years Celebrating イントロ ロゴ 4K UHD 2160p 60fps (youtube.com)

 

 

スター・ウォーズには個人的な思い出もある。初めてアメリカに行った1977年の夏はちょうど公開中で、サンフランシスコの街中にダースベイダーやストームトルーパーの立て看板やポスターが掲示されていた。このSFチックな映画は何だろうと思った記憶がある。帰ってから日本公開を観て面白くて、二度映画館に通った。

ただその後のエポソードにはそれほど関心がなく、テレビの再放映をたまに観る程度。したがって最初のエピソード4の音楽以外はなじみが少ない。

 

メイン・タイトル東響コーラスの入った運命の闘い(エピソード1)、英雄たちの戦い(エピソード3/シスの復讐)、帝国のマーチ、エンド・タイトルの6曲が楽しかった。

 

太田弦が振り終わって袖に引っ込むと、場内が少し暗くなり、コンサートマスターのグレブ・ニキティンがストームトルーパーの被り物をかぶり、帝国のマーチがアンコールされた。
楽員たちも笑いをこらえながら演奏する。するとそこにダースベイダーに扮した太田弦がライトセーバーを持って登場。ステージを横切り、こんどは客席に降り、再び客席に上がり、被り物をとって指揮に復帰した。

 

楽しい演出とノリノリの演奏に場内は大喜び。正直、太田が振らないときの方が演奏はのびのびとしていた(太田さんゴメンサイ)。

 

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団
名曲全集第196回

出演

指揮:太田 弦

ピアノ:田村 響

合唱:東響コーラス

管弦楽:東京交響楽団

 

曲目

L.アンダーソン:ピアノ協奏曲 ハ長調

A.ニューマン:20世紀フォックス・ファンファーレ

J.ウィリアムズ:映画「スター・ウォーズ」から

 メイン・タイトル

 アナキンのテーマ

 運命の闘い

 アクロス・ザ・スターズ

 英雄たちの戦い

 帝国のマーチ

 ヒア・ゼイ・カム

 ハン・ソロとレイア姫

 ルークとレイア

 エンド・タイトル

[アンコール曲]

J. ウィリアムズ:映画「スター・ウォーズ」から 帝国のマーチ