シューベルト「交響曲第4番《悲劇的》」でのN響は12型。コンサートマスターは東京・春・音楽祭の「トリスタンとイゾルデ」と同じくドレスデン・フィル第1コンサートマスター、ウォルフガング・ヘントリッヒ。
ヤノフスキN響はきりりと引き締まった演奏。終楽章の転調の綾も繊細。
ブラームス「交響曲第1番」は16型。ヤノフスキは序奏の8分の6拍子を二つ振り(2拍子)で指揮したが、その速めのテンポを聴いて、2017年9月28日内藤彰指揮東京ニューシティ管弦楽団(現パシフィックフィルハーモニア東京)で聴いた速いテンポを思い出した。
内藤はブラームスの作曲や修正の経緯、書簡などを根拠に、大半の指揮者が遅く堂々と演奏する序奏部のテンポは、主部アレグロより少し遅いウン・ポコ・ソステヌート(音を少し長く保って)であり、主部のテンポ感を逸しないことがブラームスの意図だとプログラムで説いていた。ウン・ポコ・ソステヌート:アレグロが第1楽章全体の演奏記号ということだろう。
3月6日都民芸術フェスティバルで森内剛指揮読響も、同じように序奏は速めのテンポをとっていた。
ヤノフスキは緩徐部分はじっくりと歌わせており、全体が拙速ではなかったと思う。
ヤノフスキは第1楽章展開部でホルンに続く木管の運命動機をベルアップさせて驚かせた。ホルンの強奏と同様にとの意図があったのかもしれない。
ソロカーテンコールではヤノフスキが楽員が去った舞台を指さし、拍手はオーケストラへ、という意図を示していた。
演奏全体については「音楽の友」コンサート・レヴューに書きます。