[ 内容 ]
身のまわりの木や草花、古代の遺跡や絵画、本やカード…、さらには私たちの美意識までも、数学と深いかかわりをもっています。
円周率、黄金比、ピタゴラスの定理、フィボナッチ数、フェルマーの大定理等々。
自然と数学の不思議な関係を、楽しいエピソードで紹介します。
[ 目次 ]
1 数学のはじまり
2 自然に学んだ古代エジプト人たち
3 世界遺産ピラミッドとπに秘められた数千年の熱い歴史
4 ピラミッドには黄金比も秘められていた
5 タレスが自然を科学する基盤を築いた
6 魅力あふれるピタゴラスの定理とそのやさしい証明
7 神秘の数学者ピタゴラスの伝説
8 ピタゴラス数からフェルマーの大定理へ
9 サッカーボールの幾何学
10 不思議な数列フィボナッチ数列
11 自然の中のうず巻きとフィボナッチ数
12 タイルを並べてフィボナッチ数を拡張する
[ 問題提起 ]
フィボナッチ数に黄金比といえば、これを外すわけには行かない。
黄金比ってべき乗則なの?
思い出せばバナナフィッシュを読んだときから、フィナボッチ数が気になっていた。
黄金比はすべてを美しくするか?
最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語。
数学では、この数はφ(ファイ)とも呼ばれる。
本書の扱う話題は、あくまで「自然にひそむ数学」で、黄金比もその一部という扱いなのだが、その分量は本書の過半を占め、その範囲の広さは「黄金比はすべてを美しくするか?」に優るとも劣らない。
何と言っても半額弱である。
Amazonでも24時間発送(本entry現在)のようで入手も比較的容易だと思われるので是非。
結論としては美の秘密が黄金比にあるというのは俗説に過ぎず、ほとんどの名画や音楽の作者は黄金比を使ってはいなかった。
[ 結論 ]
多くのケースで研究者が、作品の中にある無数の線分から恣意的に(あるいは無意識のうちに)黄金比らしいものを発明してしまう結果、黄金比=美の基本と言う誤った結論に至っていたことがわかる。
黄金比の俗説に関しては、「黄金比はすべてを美しくするか?」ほど網羅的ではないが、こちらに考察がある。
同書によると、どうやらスーパーモデルに関しては、φでは胴長すぎて、むしろ√3ぐらいが主流だと、シンディ・クロフォードの例を挙げて考察している。
黄金比は美しいが、黄金比だけが美しい比率ではないと思う。
新書の版型は黄金比に近いが、1:√2の比率だって美しいし、なんといっても紙の無駄が少ないという美点がある。
高木氏はこちらを「白銀比」と呼ぶ事を提唱している。
それでも、黄金比の範囲は広い。
「Banana Fish」から"The Da Vinci Code"まで、創作家たちが魅了されるのもむべなるかな。
とはいえ、これらはどちらかというと「俗説的」なのだけど。
#アッシュをやりこめたかったら、私だったらMersenne Twisterを使う。
[ コメント ]
ついでだが、φを見て連分数をきれいに表示するCSSとTableの組み合わせを思いついたのでここに。
段数:
φ = 1 +
1
1 +
1
1 +
1
1 +
1
1 +
1
1 +
...
[ 読了した日 ]
2010年1月17日