【乱読NO.3357】「自然にひそむ数学 自然と数学の不思議な関係」佐藤修一(著)(ブルーバック | D.GRAY-MANの趣味ブログ

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[ 内容 ]
身のまわりの木や草花、古代の遺跡や絵画、本やカード…、さらには私たちの美意識までも、数学と深いかかわりをもっています。
円周率、黄金比、ピタゴラスの定理、フィボナッチ数、フェルマーの大定理等々。
自然と数学の不思議な関係を、楽しいエピソードで紹介します。

[ 目次 ]
1 数学のはじまり
2 自然に学んだ古代エジプト人たち
3 世界遺産ピラミッドとπに秘められた数千年の熱い歴史
4 ピラミッドには黄金比も秘められていた
5 タレスが自然を科学する基盤を築いた
6 魅力あふれるピタゴラスの定理とそのやさしい証明
7 神秘の数学者ピタゴラスの伝説
8 ピタゴラス数からフェルマーの大定理へ
9 サッカーボールの幾何学
10 不思議な数列フィボナッチ数列
11 自然の中のうず巻きとフィボナッチ数
12 タイルを並べてフィボナッチ数を拡張する

[ 問題提起 ]
フィボナッチ数に黄金比といえば、これを外すわけには行かない。

黄金比ってべき乗則なの?

思い出せばバナナフィッシュを読んだときから、フィナボッチ数が気になっていた。

黄金比はすべてを美しくするか?

最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語。

数学では、この数はφ(ファイ)とも呼ばれる。

本書の扱う話題は、あくまで「自然にひそむ数学」で、黄金比もその一部という扱いなのだが、その分量は本書の過半を占め、その範囲の広さは「黄金比はすべてを美しくするか?」に優るとも劣らない。

何と言っても半額弱である。

Amazonでも24時間発送(本entry現在)のようで入手も比較的容易だと思われるので是非。

結論としては美の秘密が黄金比にあるというのは俗説に過ぎず、ほとんどの名画や音楽の作者は黄金比を使ってはいなかった。

[ 結論 ]
多くのケースで研究者が、作品の中にある無数の線分から恣意的に(あるいは無意識のうちに)黄金比らしいものを発明してしまう結果、黄金比=美の基本と言う誤った結論に至っていたことがわかる。

黄金比の俗説に関しては、「黄金比はすべてを美しくするか?」ほど網羅的ではないが、こちらに考察がある。

同書によると、どうやらスーパーモデルに関しては、φでは胴長すぎて、むしろ√3ぐらいが主流だと、シンディ・クロフォードの例を挙げて考察している。

黄金比は美しいが、黄金比だけが美しい比率ではないと思う。

新書の版型は黄金比に近いが、1:√2の比率だって美しいし、なんといっても紙の無駄が少ないという美点がある。

高木氏はこちらを「白銀比」と呼ぶ事を提唱している。

それでも、黄金比の範囲は広い。

「Banana Fish」から"The Da Vinci Code"まで、創作家たちが魅了されるのもむべなるかな。

とはいえ、これらはどちらかというと「俗説的」なのだけど。

#アッシュをやりこめたかったら、私だったらMersenne Twisterを使う。

[ コメント ]
ついでだが、φを見て連分数をきれいに表示するCSSとTableの組み合わせを思いついたのでここに。

段数:

φ = 1 +
1

1 +
1

1 +
1

1 +
1

1 +
1

1 +
...

[ 読了した日 ]
2010年1月17日