[ 内容 ]
よき妻であり母であることが要求された時代、科学を志した女性たちへの差別や偏見は想像を絶するものだった。
ノーベル賞受賞に相当する発明・発見をしながら、男性科学者に成果を奪われた、女性科学者たちの苦悩と情熱を描く。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
個人的には女尊男卑賛成ですが・・・
男性が発明・発見したもの
例1:一般相対性理論(アインシュタイン)
例2:ワクチンの発明(ジェンナー)
例3:中間子論(湯川秀樹)
女が発明・発見したもの
例1:洗濯機の糸くず取りネット
例2:初恋ダイエットスリッパ
例3: 嫉妬・妬み
これ書いたの男の子かな・・・彼女にふられた?
本書はタイトルとはうらはらに、消せぬほど大きな業績を残しながらもノーベル賞などの賞を逸した女性科学者達の物語。
ロザリンド・フランクリン、エミー・ネーター、ハリエット・ブルックス、リーゼ・マイトナー、チェン・シュン・ウー(呉健推)、ジョスリン・ベル、ミレヴァ・マリッチ。
あなたはこのうち何人の名前を知っているだろう?
ちなみに私は全員知っていた。
理系なら全員名前を挙げられてしかるべき知の巨人なのだが、文系で知っている人たちってどれくらいいるのだろう。
なにしろ、これらの女性達は下手なノーベル賞受賞者よりもよっぽど有名な、教科書には欠かせない級なのだ。
特にリーゼ・マイトナーは元素の名前にまでなっている(元素番号109)。
[ 結論 ]
にも関わらず、著者の大江氏が「消された」と強調しなければならないのはなぜなのだろう。
ここではあえて結論を出さず、本書を一読することを薦めるに留める。
一つ言えるのは、「科学者」、特に自然科学者という属性に対し男性か女性かを問うのは、肌の色、ましてや血液型を問うのと同じぐらい無意味かつ愚かなことだということ。
本書のいい点は、男女の能力差論に陥ることなく、淡々と彼女達の業績を紹介し、それを通して科学の扉は万人に開かれているのだということを示していることにある。
彼女達は「女性だから」という理由だけで選ばれたのでは決してない。
彼女達なしに今の科学がありえないのだ。
だから彼女たちの業績紹介は、自ずと科学そのものの紹介にもなる。
教科書を通して彼女達を知っている--つもりの理系の人も、あらためて目を通すべきであろう。
マイトナーやフランクリンの業績を知っている人でも、ラヴォアジエ夫人の業績までは知らないだろう。
ダンナがフランス革命でクビチョンパされたのは有名でも、その後の夫人の活躍までは知らないだろうから。
科学界のジャクリーン・ケネディと呼んだら、彼女はむしろ怒るだろうか。
本書の他にも、大江氏には科学史に関する良著が多い。
安心してお薦めできるサイエンス・ジャーナリストだ。
送料を節約するためにも、「早すぎた発見、忘られし論文」も一緒に注文するとよいだろう(笑)。
顔を晒して、堂々と、チクリや悪口を言える、雄々しい女。
匿名となれば、堂々と(?)チクリや悪口を言える女々しい男。
どっちがえらい?
・・・・って、どっちもバカ・・・・・
バカ同士、仲良くしよう。
[ コメント ]
やはり最後の最後のところで、男の方が毛が三本ほど足りないんだよなあ。
[ 読了した日 ]
2010年1月17日