[ 内容 ]
電気発見の歴史をたどりながら、電流、電圧、電界、磁界、磁束密度、静電容量…、そしてマクスウェルの方程式が見通しよく理解できる。
電磁気学を学びたい人、学びはじめた人、しっかり原理を知りたい人の絶好の入門書。
高校生から。
[ 目次 ]
第1部 エレキの謎を探る旅(平賀源内の挑戦 クーロンの秘密兵器 ファラデーの登場 もう一人の天才、アンペール 最後の壁、電磁誘導)
第2部 電磁気学の統合(マクスウェルの方程式 電子のベール 無限のバトンリレー エレクトロニクスへ)
第3部 旅の終わりに
[ 問題提起 ]
目に見えない電気や磁気の現象は現代人にとっても不思議な現象です。
まして、直接接する機会が少なかった昔の人々には大変な驚きをもたらしたことでしょう。
電気や磁気は空間を越えて力を及ぼすという不思議な性質を持っています。
したがって、その謎解きには多くの研究者の努力を必要としました。
この驚異に満ちた分野の研究がほぼ完成を見たのは今から約100年あまり前のことです。
イギリスの科学者マクスウェルがその完成に中心的な役割を果たしました。
現代社会では人々は電気や磁気を利用する様々な機器に取り囲まれ、大きな恩恵をこうむっています。
しかし、意外なことに多くの人々にとって電気と磁気の世界は今なお謎に満ちた世界のままでしょう。
高校で物理を選択した方でも理解に戸惑う場合が少なくないでしょう。
また、理工系の大学生にとっても、マクスウェルが完成した電気と磁気の理論はかなり高度な数学を必要とするため、理解できないまま卒業してしまう場合が少なくないようです。
本書では、この点を配慮して、広く現代に生きる人たちにその世界を理解してもらえるように、高校レベルの数学の知識で十分マクスウェルの理論を理解できるように構成を試みています。
この本は2部構成です。
第1部では、高校物理の電磁気の分野の分かりやすいおさらい。
そして高校の電磁気の公式が、大学で習うマクスウェルの4つの方程式のいずれに対応するかを示しています。
第2部では、これら高校物理レベルの電磁気学の法則が、マクスウェルの方程式にレベルアップされています。
マクスウェルの4つの方程式は全て積分方程式なので、微積分の知識がいるが、これらの数学概念の説明も本書自体に含まれています。
また数式を導入する説明は、至極丁寧であるので、ゆっくり読んでいくように心がけさえすれば、心配には及びません。
別に面倒な数値計算は要求されません。
なお、微積分の高校レベルの定義と三角関数の知識が少々あれば、さらに読みやすいかもしれません。
本書の目的は、聞こえに高い「マクスウェルの方程式」が高校物理の電磁気分野と全く対応していることを示し、大学の電磁気学へのアレルギーを解消させるものと思われます。
また第1部は電磁気の初歩的な部分の手頃な概説ともなっているので、数学苦手だけども電気と磁気について知りたいという好奇心旺盛な方にもお勧めできます。
電気と磁気の世界を理解する力があれば、現代社会を生きる上で多くの楽しみをもたらしてくれるでしょう。
また役にも立つはずです。
[ 結論 ]
電気磁気学は電子工学を専攻すると必須科目です。
生物の神経で情報伝達に電気信号も使われていることは20世紀になって明らかになった。
例えば心電図は心臓で生じる電気を拾ったものである。
ところで、電磁波をあびると女の子が生まれるという説は本当だろうか?
昔、テレビ設計者の子供は女の子が多いという話を聞いた。
言うまでもないが、当時のテレビはブラウン管である。
電磁波はXY染色体に影響でも与えるのだろうか?
実験室には、股間用の防磁グッズがあったのを思い出す。
ただ、Hが下手だと女の子が生まれるという説もある。
こちらの方が説得力を感じたものだ。
日本では、平賀源内が1751年オランダから幕府に献上された静電気発生装置「エレキテル」に興味を持ったことから始まる。
これは、ガラス管と金属の摩擦によって帯電する単純な装置である。
アメリカの政治家フランクリンも1746年にこの装置に興味を持つ。彼は雷が電気であることを発見する。
雷の巨大なエネルギーに対して、電気を溜めることができる最大の入れ物は地球(アース)である。
この時、彼が電気のプラスとマイナスを決めた。
この2つの微力を測定したのがクーロンである。
互いの電荷が増えれば増えるほどクーロン力は増し、その力は距離の2乗に反比例する。
これは、万有引力の、互いの質量が大きいほど引力は増し、その力は距離の2乗に反比例する関係に似ている。
違いは、電荷はプラスとマイナスに帯電するため、引力と斥力ができるところである。
クーロンは、更に磁石を使って磁界においても法則が成り立つことを発見している。
クーロン力と万有引力の類似性から、多くの科学者は二つの法則を統一しようと試みたが、現在に至るまで誰も成功していないようだ。
クーロン力と万有引力はいずれも離れたものの間で働く力であり、遠隔作用である。
ファラデーは、音が空気を通じて伝わるように、クーロン力も媒体が伝える近接作用として捉える。
この媒体がエーテルである。
当時、エーテルは全宇宙に充満していると唱える科学者が多かった。
エーテルの存在を確かめる実験に挑んだのが、マイケルソンとモーリーである。
結局エーテルは存在せず、真空中でも電気や磁気の力が伝わるという遠隔作用説に戻ったようだ。
しかし、ヘルツによる電磁波の実験は近接作用説に基づく学説になったという。
そこで、クーロン力を伝えるのは空間そのものであるという解釈に到達する。
その場に電荷があれば、その周りの空間には電界が存在するということである。
歴史は、電荷、磁界、電流、力の重要な関係に辿り着く。
アンペールの磁界と電流の関係がそれである。
磁界の方向に右手を置くと親指の方向に電流が流れる。
電流の回りに右回りの磁界が発生する。
拡張した解釈がビオ・バザールの法則で、コイルに発生する磁力を示している。
ファラデーは磁界と力の変化によって電流が生まれる電磁誘導に成功する。
この法則で電池に頼らなくても電流を生み出すことが可能になる。
人類は、力学エネルギーを電気エネルギーに変換することに成功したのである。
この時点では、まだ電磁気学としての全体像は明らかになっていない。
電磁気学を体系化する役割を果たしたのがマクスウェルである。
彼は、ファラデーやアンペールらが明らかにした電場や磁場の関係を数学的に表すことに取り組み、1864年に20個ほどの式にまとめた。
後年、絞りに絞って4つの式にまとめられる。
(第1式: クーロン力を表す式 = ガウスの法則)
クーロンの法則はガウスの法則と等価である。
「点電荷のまわりの電界の強さが、表面積に反比例して減少する性質」を自然に認識できる点でガウスの法則を採用しているのだそうだ。
ガウスの法則の数学的証明なんて悪酔いするだけである。
本書でその証明を割愛しているのは正解である。
ただ、ガウスの法則のありがたみは感じさせてくれる。
それはコンデンサーの例で示している。平面状の電極に電荷が一様に分布している場合、電極からいくら離れても電界の強さは同じである。これは、平面状に広がった照明と光の強さの関係に例えて語られる。
(第2式: 電磁誘導の法則を表す式)
電磁誘導の法則は、磁束が時間変化すると、そのまわりに磁界が生じることを示す。
(第3式: 磁石のN極とS極は必ずペアで存在する)
N極は磁束線の吐き出し口で、S極は吸い込み口として働くので、必ずペアで存在する。
しかし、単極の磁石が存在しないという物理的確証は、実は無いのだそうだ。
(第4式: 電磁石を表すアンペールの法則)
ソレノイド内部の磁界の強さはコイルの巻き数が大きいか、電流が大きい場合に強くなる。
これは、電流によって電線のまわりに磁界が生じることを示している。
マクスウェルは更に、電流が流れるまわりだけでなく、電極の間の電界の強さが変化すると、そのまわりに磁界が発生するところまで拡張している。
例えばコンデンサーでは電荷が蓄えているだけで電流が流れない。
それでも磁界は発生する。
マクスウェルの方程式が完成した時点では、電子が発見されていなかった。
何かがプラスからマイナスに流れると解釈しているために、「電流はプラスからマイナスに流れる」と表現する。
その後、J.J.トムソンがブラウン管で電子を発見する。
実際は、マイナスの電荷(電子)がマイナスからプラスに流れる。
ここで、磁界の中にある電荷に働く力。
ローレンツ力が重要になる。
これで、電流を駆動するための力、電圧、つまり起電力の説明ができる。
以下に↓つづく。
http://blogs.yahoo.co.jp/bax36410/60721220.html
[ 読了した日 ]
2010年1月1日予定