[ 内容 ]
「生きていてよかった」―のっぺりした人生に命を吹き込む指揮者13人の至高の名演ガイド。
[ 目次 ]
第1章 精神のバロック、官能のバロック、退廃のバロック
第2章 歌の恍惚
第3章 東西武闘派対決―音響の快楽
第4章 岩のブルックナーと絹のブルックナー
第5章 明晰という美徳、または地中海的リアリズム
第6章 日本で燃え上がった二人の巨人
補章 これを聴きもらすのはもったいない!
[ 問題提起 ]
「世界最高のクラシック」第2章とあるように、光文社新書の同内容『世界最高のクラシック 世界最高のクラシック』の続編。
歯に衣着せぬ物言いで知られる音楽評論家、許光俊氏によるクラシック評論。
本編では前作で採り上げ切れなかった、でも採り上げるに値する指揮者・音楽家が多数掲載されています。
[ 結論 ]
この下らない人生を、生きるに価する、意味あるものにしてくれる奇跡的な演奏、ということで、著者のお気に入りのCDが紹介されている。
同じ作曲家の同じ作品でも、演奏者のアプローチによって色々な姿をみせるという視点から、カール・リヒターやコルボ、ショルティ、ムラヴィンスキーなど有名どころから、余り知られていない、もしくは忘れ去られようとしている指揮者の演奏まで、平易な語り口で、クラシック初心者にも分かりやすく語られている。
初心者はクラシック音楽の奥深さを感じるだろうし、中級者以上も色々と議論のネタになる好著だ。
演奏に対する評価もおおむね公平と言えるものだし、巻末にはディスコグラフィーがついていて、いいガイドになる。
[ コメント ]
こういったクラシックの人から薦められたものは、その時すぐに「こいつぁイイ!」となることは少なく、随分後になって、「あ!なるほど」と、突然その良さに開眼することがたまにある。
[ 読了した日 ]
2008年10月9日