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Zatolog

つれづれなるまゝに、日暮らし、硯に向ひて、心に移り行くよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、怪しうこそ物狂ほしけれ。

日々感じたことを、忘れずに、共有し、共感し、共生したい。

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎@Amazon Prime Video


公開時に劇場で見たが、再見。


水木しげるという作家は、妖怪という概念を社会に定着させた功績があると思う。

ただ、ある程度の一般性というか商用性を用いてのものであるために、その本質は作家の理解よりもよりまろやかなものになっている気がしている。

そんな中で、作家自身が身罷っている状況であるのに、世界観としての本質の的を射て描いている点が秀逸である。


作品自体も、昭和の世界観を他作家・他作品の雰囲気をもないまぜにして構築されている。

令和の今となっては、戦後という時代は、虚構の空間のアイコンを用いた方が描きやすいのかもしれない。

江戸八百八町、太正浪漫と言われると思い描く世界観があるように、である。

ただ、この時代の前後は決してフィクションの箱の中に留めてはならない時間軸であり、

現代を生きる我々も、その時代の生のものを吸収し続けなければならない、そんな気がした。


とはいえ、ほぼ10年周期でTVシリーズが制作され、その時代の大衆性と融合して創作される鬼太郎というキャラクターは稀有である。

長く続いているシリーズはあるが、この作品は原作漫画が広く読まれているわけではないのに、何故か度々お披露目される。

これが一番の謎なのかもしれない。


目標まで、あと55本。

ルックバック@TOHOシネマズ日比谷


藤本タツキ作のジャンプ+で発表された読み切り漫画が原作。


山形の小学四年生、藤野歩は学年一絵が上手く、学年新聞に4コマ漫画を連載している。

そんな折、担任から不登校の生徒である京本に枠を一つゆずってやってほしいと持ちかけられる。

並んで掲載されると、圧倒的な絵のクオリティの差を見せつけられ、一念発起して改めて絵の勉強を始める。

小学校の卒業式の日、卒業証書を届けに初めて京本の家に訪れるが、そこで会った京本は熱烈な藤野ファンであった。

2人は意気投合し、共に漫画を描き始めるのであった。

共作を始め、賞レースや読み切りを経て、高校卒業後には連載を勝ち取ったところ、

京本は更に自らの腕を磨くために、美術大学への進学を決意する。

アシスタントに背景を任せ、連載をスタートする藤野。

そこへもたらされたのは、京本の通う美大に殺人犯が襲撃したという一報だった。


結論的には救われないストーリーである。

ただ、挫折と現実を突きつけられながらも、藤野も京本も自らの夢を追って進むしかない。

そんな世知辛い事実を描きながらも、1人の人間としての律し方を描いている。

1時間という短尺のために、2人の関係性に集中させ、周囲の人物の描写を敢えて削いでいる。

中学生(しかも1人は引きこもり)だけで、山形から神保町まで持ち込みに行けるのだろうか、とか非現実的なことはあるものの、

そもそもあの画力で連載までこぎつけられること自体がフィクションだと思うので、そこは大して重要ではない。


藤野を演じるのは河合優実。

バケモノ女優の本領発揮といったところで、揺れる少女を鋭く演じる。


目標まで、あと56本。

まともじゃないのは君も一緒@Amazon Prime Video


予備校講師の大野康臣は数学一筋に打ち込んだ末、自らの限界を悟りその道を諦めた。人並みに結婚願望はあるが、どうしても周囲の人の言う「普通」の感覚が理解できない。彼の教え子である、高校三年生の秋本香住の手解きで、その「普通」を学んでいく。


なんとも特筆すべき箇所のない作品だった。

普通を求める大人の男と、それに普通を教える女子高生、しかしその女子高生も普通とはいえなかった。

という構造が冒頭から透けて見えるために、見ている側を裏切る構造がないのである。

そして、結局はお互いがほとんど成長を迎えぬまま、双方を受け入れていく。

ドラマ性が欠落しており、観た後に特段の感慨も残らない。


目標まで、あと57本。