スタインバーグ盤アッティラ | Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

しがない歌劇愛好家Basilioの音盤鑑賞録。
備忘録的に…

久々にリソルジメント節爆発の初期ヴェルディ。今の目から見ると能天気な愛国主義に思うところはもちろんありますが、パワフルな音楽の魅力を頭でっかちに切り捨てるのもまたもったいなくもあり、スノビズムとも言える気がします。スタインバーグの指揮はコントロールを失うことなく、この作品の熱狂を伝えていてお見事……なんですが、惜しむらくはあまりにも元音源の損傷が大きく、かなり頻繁にブツブツ切れてしまいます。これさえ、これさえなければ……!


レイミーのヴェルディは基本的にあんまり好きじゃないんですが、ベルカントの影響がかなり強いアッティラはハマっていると思います。ムーティの演奏ではかっちり歌っていますがここは指揮者の違うLIVEですから生き生きとしたヴィルトゥオーゾや爽快な高音が楽しめます。そしてオダベッラのグレギーナ!この人もやはり当たり役でした。かなりヘビーで機動力的には限界に近いと思うのですが、その分この理解しがたい人物の異常さ、過剰さが際立っています。エツィオのカルロ・グェルフィは声が浅い感じがしてあまり好きなバリトンではないし、フォレストのファリーナもちょっと籠った声が心地よくなくて好みではないのですが、ここでは役者が揃ったためか想像を遥かに越える熱唱で聴き入ってしまいます。オペラはやはりバランスなんだなあと思いますね。


かえすがえす、録音状態さえ良ければ……!