リッツィ=ブリノーリ盤ノルマ | Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

しがない歌劇愛好家Basilioの音盤鑑賞録。
備忘録的に…

グレギーナはじめメンバーが面白そうなので入手。悪くはないもののなんだか会場が異様に熱狂していて、そこまでではないかなあという感じ。映像だったら印象が違うのかなあ……


リッツィ=ブリノーリなる指揮者は初めて聴いた人で、サバサバした軽い感じがベルカントとしては心地いい……ものの、オケの技術がいまひとつでしばしば決まらないのが残念。あと、最近の演奏の割にカットが多いのもフラストレーションです。


歌手ではやはりノルマのグレギーナが一番でしょうか。彼女らしい体当たりの歌唱が、この役としてプラスに働いているところとマイナスのところとありますが、やはりいいところが抜群にいい。とりわけ清らかな女神の冒頭はじめpppでのソットヴォーチェを駆使した表現の繊細さは特筆に値するでしょう。また、細かい動きが崩れるところも多いとは言え、カラス以来のドラマティックなノルマを現代聴くことができるのは嬉しいです。

オロヴェーゾのヴィノグラドフは彼らしいスタイリッシュな歌い口は見事なものの、ちょっと軽いというか、重心が高すぎるように聴こえてしまいました。いまならばもっとどっしりとした歌唱が楽しめるだろうと思う一方で、いま受けるには小さい役過ぎるかも。同じく悪くはないのですがいささか小粒な印象だったのはアダルジーザのアルドリッチ。もちろんこの役自体がすごく攻める役ではないと思うのですが、それでもノルマとの重唱もう少しスリリングになるかなという期待ほどには至らなかったです。残念だったのはポリオーネのリチトラで、慣れない役でかなり苦労しているのがはっきりわかってしまう印象でした。ヒロイック路線でいくには軽いがベルカントとして戦うのには重すぎるというところでしょうか。


ノルマとして楽しめる演奏はもっとあるとは思いますが、個々の歌手にご興味があれば(特にグレギーナのファンであれば)楽しめるかという感じですかね。