山岸凉子先生 新刊発売 | Bitter Sweet Days Again!

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人生楽しく、備忘録

山岸凉子先生の新刊が発売されました。

やはり年齢的なものもあり、もう新刊はあまり期待できないかと思っていましたので

これはとても嬉しく、発売日を心待ちにし、即購入しました。

新刊といいましても、収録作品は最新でも2021年初発です。

しかし、拝見するのは初めてで私にとっては新刊です。

 

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今回の新刊「艮(うしとら)」

(ちなみに映っている「白眼子」は元々手持ちの作品で今回の新刊ではありません)

4作品が収録されています。

 

表題作「艮」はよく方位学で言われる「鬼門」をテーマにした作品。

丑寅の方角(北東)にドアがあるのは鬼門と言われ、邪悪なものが入ってくると言われている。

読み終わって、自宅の方角を調べたのは言うまでもありません。

 

他2作、「死神」「時計草」は

帯に「山岸凉子が描く、善と悪の彼岸」とあるとおり、

人が死ぬとき、死後の世界をテーマに描かれています。

私も父が亡くなってから、人はどうして死ぬのか、死んだらどこへ行くのかという

疑問をずっと持ち続け、当然答えは見つからないまま、

今も考えながら日々を送っています。

この2作は当然「答え」とは言いませんが、一つの手がかり?のような感触を受けました。

山岸凉子先生はこれまでの作品も、実在する話を下敷きに描くことが多いので

今回も何かにインスパイアされているんじゃないかと思います。

誰にもわからない死後の世界ですが、その答えは自分が死ぬときにわかるのでしょう。

特に「時計草」のラストは、なんだかグサリと来ましたね・・・

 

3作品とも終結が見事で、最後を踏まえて何度も読み返したくなる作品です。

今回も山岸作品は期待以上でした。

人の深層心理にまで響く怖さ。怖いという二文字で言い切っていいのかわかりません。

もっと深いところを突いている気がします。

 

残りの1作品は先生お得意(?)の伝説に基づく寓話。鶴の恩返しのフランス版?

面白かったです。

 

ご興味あれば是非。

 

山岸凉子先生の私の作品愛は昔語ってましたので、割愛します。

大好きだけれども、涙を呑んで殆ど本は処分してしまい、本当に好きな作品のみ手元に残しました。

その1つが写真にある「白眼子」

何度読み返しても泣けます。怖い話ではなく温かい話です。こちらもオススメです。