比叡晩夏うすくれないの夢を狩る 掌
映画「ミツバチのささやき」1973年制作
たぐいまれな映像作品に、
ふたたび逢うことができました!
監督:ピクトル・エリセ
出演:アナ・トレント
<スペイン内戦が終結した翌年の1940年、
6歳の少女アナが暮らす村に、
映画 「フランケンシュタイン」(1931年制作)
の巡回上映がやってくる。
映画の中の怪物を精霊だと思いこむアナは、
姉・イザベルから村はずれの一軒家に怪物がいると聞き、その家を訪れる・・・>
どのシーンも静謐で、
6歳のアナと姉・イザベルが戯れたり、
線路に耳をあて、汽車が来るのを待ったり、
姉妹の会話はすべて、ささやき。
アナのもう零れ落ちてしまいそうなつぶらな双眸(め)、
その無垢なまなざしはこわいほど突き刺さる。
奥行きのある画面、
映像そのものが語りかけてくる。
奇跡的なうつくしさが全編をきわだたせて。
フェルナンド(父) - フェルナンド・フェルナン・ゴメス
テレサ(母) - テレサ・ヒンペラ
アナ - アナ・トレント
イサベル(姉) - イサベル・テリェリア
ミラグロス(使用人) - ケティ・デ・ラ・カマラ
治安警察官 - エスタニス・ゴンサレス
フランケンシュタインの怪物 - ホセ・ビリャサンテ
逃亡者 - ジュアン・マルガロ
ドナ・ルシア(教師) - ラリー・ソルデビラ
医者 - ミゲル・ピカソ
篠田桃紅『桃紅一〇五歳 好きなものと生きる』2017年 世界文化社刊
みずからの生き方をつらぬかれた篠田桃紅。
そのエッセイと写真集。
その作品のように、
家、富士の見える山荘、
お好きな芸術家の作品、文房四宝、自作の着物、漆椀に菓子皿、
どれをとっても
桃紅さんの美意識に貫かれた
凛としたたたづまい。
一葉の写真がその経てきた時代、
想いを凝縮して、
そこに存在する。
【目次】
昔と今を繋げている
客人よ、琴を抱いて来たれ
有名もへちまもない
あなたのつくるものはいいですか
なにしろ百年以上生きていますから
なにぶん旅のことで
じゃんじゃん使っている
一夕の夢物語
江戸の手仕事
一生もの
七夕伝説のなごり
父への手紙
禅林句集
杏の木の下で
まだ宵の口でしょ
竹香の印
文房四宝を想う
雲の色がきれいだね
紙を継ぎつつ
無用の時間を持つ
一切は変わる
一〇七歳の絶筆まで、ゆるがない。こちらに
篠田桃紅 自身の美学をつらぬいた生き方 | web太陽 ― webtaiyo ―
【著者について】
美術家。1913年生まれ。2021年永眠。107歳
墨を用いた抽象表現主義者として、世界的に広く知られる。
著書に『桃紅百年』(世界文化社)『一〇三歳になってわかったこと』
『人生は一本の線』(幻冬舎)などがある。
<知の巨人>松岡正剛(まつおか せいごう)氏、
2024年8月12日に旅立たれた。80歳。
1971年に雑誌「遊」を創刊、
編集工学を提唱され、
編集工学者、編集工学研究所所長、イシス編集学校校長、
角川武蔵野ミュージアム館長を歴任。
「千夜千冊」を2000年からwebで始められ、
一日一冊、5000字以上の評論をアップ。
千冊どころか、旅にだたれる直前まで書き、
1850夜に!?
日本文化、芸術、生命哲学、システム工学など
多方面におよぶ思索、
日本文化研究、日本論を展開。
シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲は
十二音技法でかかれた難曲。
この曲は
ユダヤ系のシェーンベルクが、
ナチスから逃れてアメリカに渡った時期に作曲された曲。
イザベル・ファウストのヴァイオリンは
その卓越した技巧は、
<無調>、<十二音技法ので書かれた難曲>ということではなく、
どこまでも<音楽>を<曲>を描き出す。
曲に深く寄り添ったその音色。
この曲をこんなに惹きつけられて聴くことができたのは初めて。
鈴木優人指揮
NHK交響楽団
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト
【曲目】
ウェーベルン:パッサカリア
シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲
バッハ(ウェーベルン編):リチェルカータ
シューベルト:交響曲第5番ほか
【収録】2024年6月19日サントリーホール