「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ -339ページ目

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。









                はなかるた
 鬱兆す頭蓋に散らす花骨牌               掌

               











◆花骨牌・歌留多・カルタ・いろはがるた

 トランプ・歌留多会

「小倉百人一首」による歌がるたなど。

新年の季語。

1月15日は小正月。




◆詩人・清水哲男さんの
 「増殖する俳句歳時記」で
 鑑賞していただいた句。

 http://www.longtail.co.jp/~fmmitaka/cgi-bin/g_disp.cgi?ids=20040115,20040114,20040113&tit=20040115&today=20040115&tit2=2004

 
 好きな句なのでもう一度あげてみました。






















  蝶凍てて水の眠りのおもきこと             掌





































 しろがね  
  銀の凍蝶曳きゆくは真昼                掌















◆凍蝶・冬の蝶・冬蝶(ふゆちょう)


凍蝶は凍ったようにじっとしている冬の蝶。
冬の暖かい日に、

成虫で越冬する蝶を見かけることがある。


冬の季語。

















              プティポン


2015年エクサン・プロバンス音楽祭で行われた
ヘンデル作曲のオペラ「アルチーナ」を録画で観る。
初めてオペラ。

バロック・オペラのため、オーケストラもバロックオケ。
当時の慣習で、
レチタチィーボとアリアでストーリー展開。
主役はみんなアリアを歌う。

ドラマは数百年生きている魔女アルチーナは絶世の美女。
島(自分の国)にやってきた騎士と恋を、逸楽を愉しみ、
飽きると動物に変えてしまう。
ルッジェーロも許婚ブラダマンテを
忘れてアルチーナと熱愛。
その島にブラダマンテが弟のリッチャルドの姿に化け、
ルッジェーロの後見人のメリッソと共に、
許婚を探しにやって来る。


アルチーナのプティポンは好きな歌手。
声楽曲のリサイタルでその歌唱の知的で、
ちょっとシニックだったりして、惹かれた。
オペラで観るのは初めて。
アリア「Oh! mio cor(ああ、わが恋人よ)」の
なんと激情、そして哀しみのあふれた痛ましいほどの熱唱。

ブラダマンテのブラディクも男前なアルト。
迷彩服軍服が凛々しい。
深々とした声が魅力的。

ルッジェーロはメゾソプラノのズボン役ではなく、
カウンターテノールのジャルスキー。

アルチーナ、あるいは妹のモルガーナ、
ブラマンテ、ルジェーロの三重唱になると、
カウンターテノールの高い声と
女声のブラマンテが低音になっていたり、
ちょっと不思議な気分になる。

少年のオベルト(行方不明の父を捜す少年)、
これもソプラノの役をボーイソプラノのエリアス・メドラーに。

舞台はセンターに明るい部屋(ここでは若く美貌)、
上手と下手に作業場というか、書斎というか、そこに入ると老婆に。
<魔女>であることを視覚的にはっきりと見せる。
階上には動物に替える実験室。


演出は読み替えで、美術も瀟洒。
荒唐無稽といっていい物語を
魔法でなく、真実、愛してしまったその心情を際立たせて、
端正で美しいヘンデルの音楽を響かせいる。

プティボン、ブラディク、プロハスカの
熱唱、好演で素晴らしい公演。



◆歌劇「アルチーナ (Alcina)」ゲオルク・ヘンデル作曲


アルチーナ(王国を支配する魔女): パトリシア・プティボン

ルッジェーロ(魔女に魅入られた騎士): フィリップ・ジャルスキー

モルガーナ(女王アルチーナの妹で魔女): アンナ・プロハスカ

ブラダマンテ/リッチャルド(ルッジェーの婚約者): カタリナ・ブラディク

オロンテ(モルガーナの婚約者): アンソニー・グレゴリー

メリッソ(ルッジェーロの後見人): クシシュトフ・ボンチク

オベルト(行方不明の父を捜す少年): エリアス・メドラー


<管弦楽>フライブルク・バロック・オーケストラ

<指 揮>アンドレア・マルコン

<演 出>ケイティ・ミッチェル


収録: 2015年6月30日、7月10日 プロバンス大劇場(フランス)



















野田「フィガロ」




野田秀樹×井上道義
「フィガロの結婚 -庭師は見た!」
を録画で観た。

この公演、チケットが完売で、
観劇がかなわなかったので、BSでの放映はうれしい。

指揮は井上道義、
オーケストラは読売交響楽団。


「フィガロの結婚」を黒船襲来時代の日本に置き換えた演出、
まさに意欲的というか、冒険的。
黒船に乗ってやってきた
アルマヴィーヴァ伯爵(ナターレ・デ・カロリス)と
伯爵夫人(テオドラ・ゲオルギュー)は、特権階級。
お小姓のケルビーノ。
この異国の3人はイタリア語で歌う。

この西洋人に対して、スザンナやフィガロはイタリア語で、
日本人同士は日本語で歌う。
この日本語訳も野田が手がけ、
お得意の言葉遊びもとびかう、じつにこなれた日本語。

伯爵は日本人に対して、
高圧的に領地の娘の初夜権を要求する。
「支配者と被支配者」、
「西洋と東洋」の構造を
くっきりとうかびあがらせる。

そのなかでの合唱もアンサンブル・ダンサーも、
生き生きとした庶民そのもの。
伯爵はその人びとから逆襲される。

伯爵夫人、ソプラノのテオドラ・ゲオルギューが
スリムな容姿で、アリア「かつて愛されたが、今は飽きられた」
女の哀切を歌う。

ケルビーはメゾソプラノでなく、
カウンターテナーのマルテン・エンゲルチェズ。

スザ女=スザンナの小林沙羅さん大奮闘。
なんてチャーミングなスザンナ。芝居も歌も素晴らしい。
こんなスザンナだと伯爵はもうたまらない。

フィガ郎、大山大輔は歌も演技も姿も魅せる。

バルバ里奈(バルバリーナ)はコロン・えりか。
このひとも可愛い。

マルチェリーナは森山京子。
バルト郎(ドン・バルトロ)をバスの妻屋秀和。
この二人の円熟した声とコミックな演技。

俳優である廣川三憲さんは、
物語を語る、庭師アントニ男を演じる。

みなが大団円になる重唱部分で、
伯爵夫人が伯爵に向かって銃を発砲するが、
この<怒り>が伯爵に届いたのだろうか。

「フィガロの結婚」は男女のじつに深刻な物語だと、
この演出は明確に差し出す。

モーツァルトは凄いとあらためて感じた。




◆ステージ写真(記事の中ごろより)
   http://ebravo.jp/archives/18724




◆歌劇「フィガロの結婚」(全4幕) モーツァルト 作曲

<演 出>野田秀樹

<出 演>
フィガ郎(フィガロ): 大山大輔

スザ女(スザンナ): 小林沙羅

アルマヴィーヴァ伯爵: ナターレ・デ・カロリス

アルマヴィーヴァ伯爵夫人: テオドラ・ゲオルギュー

ケルビーノ: マルテン・エンゲルチェズ

マルチェ里奈(マルチェリーナ): 森山京子

バルト郎(ドン・バルトロ): 妻屋秀和

走り男(バジリオ): 牧川修一

狂っちゃ男(クルツィオ): 三浦大喜

バルバ里奈(バルバリーナ): コロン・えりか

庭師アントニ男(アントニオ): 廣川三憲

<声楽アンサンブル>
佐藤泰子、紺野恭子、西本会里、増田 弓
新後閑大介、平本英一、千葉裕一、東 玄彦

<演劇アンサンブル>
川原田樹、菊沢将憲、近藤彩香、佐々木富貴子
佐藤悠玄、長尾純子、永田恵実、野口卓磨

<チェンバロ>服部容子

<合 唱>新国立劇場合唱団

<管弦楽>読売日本交響楽団

<総監督・指揮>井上道義


収録: 2015年10月24日 東京芸術劇場 コンサートホール



















井を晒すくちびる死より青かりき     加藤かけい

                             山本 掌


 
 井戸を晒す
 
 あの井戸を

 <筒井つの井筒にかけしまろがたけすぎにけらしな妹見ざるまに>

 <くらべこしふりわけ髪も肩すぎぬ君ならずしてたれかあぐべき>

 歌い交わしたあの井戸を

 髪はもう腰をすぎた

 井戸には日ごと夜ごと

 夜ごと日ごと

 通った

 水面(みなも)に映るおもかげふたつ

 さざなみに

 ゆりゆられ

 ゆうらりゆらり

 ゆがみ

 あるいは臈たけて

 ときに

 貌はひとつに重なり
 
 水は
 
 ひいやりと鎮もり
 
 「おいで、おいで。さあ、ここに」
 
 誘い誘われ
 
 すでに
 
 水に棲む
 
 かの刻(とき)より
 
 オンデイーヌともオフィーリアとも人は言う 


 水の闇


 時刻(とき)は流れることはない
 
 永劫を刻むかに
 
 やわらかに
 
 ひたひたと

 暗く
 
 存在(あ)る
 
 ひとは言う
 
 ときおり
 
 くちびるがある、と
 
 かつては真紅(くれない)
 
 いま
 
 きわやかに蒼い
 
 その死より青白(あお)いくちびるが
 
 水鏡に
 
 たゆっている、と


 昨日

 井戸は埋めた

 と聞く











 
◆  井を晒すくちびる死より青かりき      加藤かけい


この句を詩へ。
加藤かけいの句に魅せられ、
おのずと言葉が手繰り寄せられた。

「月球儀」創刊号に載る。
















初市




今日、1月9日は前橋の初市。別名だるま市。

まず、八幡神社の「お焚き上げ」から始る。


初市・達磨市

1月2日、3日、6日、7日あるいは旧正月の日に

市が立ち、売り出す達磨。

と歳時記(新版 季寄せ・角川書店)にはある。


が、

前橋では1月9日に行なわれる。

成人式の日程が変わっても、

初市の日取りはこの9日のほかは

考えられない。

そのくらい根付いている行事だ。


初市・だるま市は、

その昔、毎月4と9の日に開かれていた

日用雑貨や生糸の市が起源のようで、

厩橋(現在の前橋市)城主、酒井重忠侯の時代から始まった

400年続く、伝統ある行事といわれている。


達磨をメインに縁起物から植木などまで。

市の中心部を交通止めにしてどこまでもだるまが続く。

どこにこんなにひとがいたのかと驚く人出となる。

普段では毎日が<元旦>というくらい静かな通りが、である。


全国で達磨の生産の第一位だと聞く。

達磨はあの選挙事務所によく飾ってある、あれ。

ちかごろは白、緑、金などがもあるようだが、

赤いものが<だるま>と刷り込みがされているので、

もっとも売れ筋。

赤という色のもつ厄除けということがある。

「朱」とか「丹(に)」のもつものからかとも。


「家内安全」「商売繁盛」などその家により

書かれている文字は異なるが、

それぞれの家にあった大きさを選びだす。

その時の売り手と買い手の掛け合い、

そう値引きごっこの声が飛び交う。


「そあ、持ってけ!!

さあ、これで三千両。どうだ、ほれ、おくさん?」

「やだ、それじゃ、大きすぎるって」

「こっちでどうだ。ほれ二千と五百だ!!」

「そうね・・」

「二千と3百だっ」

「二千ッ」



だいたい中間でまとまりシャンシャンと手打ちで締める。

ま、お約束のようなもの。


赤城颪の空っ風も今日はおだやか。

そんななか勢いのいい、

ほぼ怒鳴りあっているような応答が続く。






22時まで開催。


◆2016年の初市の画像
  http://shunkou.exblog.jp/24054578/














兜太&澤地



◆金子兜太の今年
2015年1月1日発表
朝日賞受賞。

金子兜太(俳人)=戦後一貫して現代俳句をけん引

授賞式は1月29日。



◆金子兜太の去年

7月「アベ政治を許さない」の書。
澤地久恵さんからの要請で一気に。
2015年の流行語大賞のトップテンに。


詳しい2015年はこちらを「金子兜太と『海程』」のブログ。
   http://kanekotota.blogspot.jp/2015/12/blog-post_14.html


























      しんたい
 人日や身体に四肢ある不思議             掌

  












◆人日


一月七日は「人日」。
一日には鶏、二日に狗、三日に羊、
四日に猪、五日に牛、六日に馬、
七日に人を占い八日に穀を占う。

毎日の天候によって動物や人の一年を占い皆、
清明温和な天候であれば畜息安泰、
陰寒惨烈なら疾病衰耗と為す。
                     平井照敏「新歳時記」


<人日>の定番の句(笑)。






























             かか
  六日はや猿王呵呵と月へ往く              掌

            










◆六日


1月6日のこと。


新年の季語。