蠟梅の花、咲いています!
そこここのお庭に、公園に、
二階まで届いている木もあったり。
黄のちょっと蝋を纏ったのような、
あの花びら、
あの香。
この寒さのなか、凛として、品のある
ただいま、蠟梅の花盛り♪
2012年5月 新橋演舞場
三島由紀夫の最後の歌舞伎「椿説弓張り月」、
市川染五郎(現 松本幸四郎)&
中村七之助で観ました。
そのブログを、どうぞ。
五月花形歌舞伎・夜の部、
「椿説弓張月」三島由紀夫作・演出による。
「椿説弓張り月」初版。
この柿色の函、中表紙は藍で、横長の変形。
昨年古本屋で見つけた。
「中央公論社 1969年(昭和44)11月25日 限定版
馬琴の「椿説弓張月」を原作(挿画は北斎)とする
三島歌舞伎の集大成。
保元の乱に敗れ伊豆大島に流された為朝のその後の波乱万丈の生涯を、
讃岐、肥後、琉球と舞台を移してダイナミックに描くスペクタクル。
薩南海上の場における浄瑠璃出語りや船が難破するシーンは迫力満点だ。
国立劇場開場三周年記念として上演された。
三島は為朝に華々しい運命から疎外された「未完の英雄」のイメージを、
為朝を裏切った咎で美女たちの手で虐殺される武藤太に
堕落と悪への嗜欲を託したという」
初演、玉三郎の白縫姫、観たかった・・・
上演はこのかく場。
上の巻 伊豆国大嶋の場
中の巻 讃岐国白峯の場
肥後国木原山中の場
同じく山塞の場
薩南海上の場
下の巻 琉球国北谷斎場の場
北谷夫婦宿の場
運天海浜宵宮の場
いはば貴種流離譚、
伊豆大嶋、肥後そして琉球へ。
薩南の海の書割を何回も飛ばすことで
大船(それも二艘!?)が海上を進みゆくのをまのあたりに。
鳴門の大渦潮もかくやという北斎の波のような布波、
大盆に乗ってうねる、うねる。大海原!
花道も一面の波布。
さらに怪魚も出現。
無惨絵のような責め場は琴を弾きつづけ・・・
歌舞伎のあらゆる技巧を凝らして。
出演は
源為朝 染五郎
白縫姫/寧王女(ねいわんにょ) 七之助
がいい。
為朝の凛々しく、高貴な人物が染五郎のニンにあって。
神馬に乗り天駆けてゆくおりの悲壮なまでの面差しに
哀しみが滲む。
このところの七之助、なにやらひとまわり、
ふたまわり大きくなったよう。
中の巻の琴を弾きながら、腰元たちが木槌で竹釘を
ひとつひとつ打ち込みなぶり殺す、かぶきならではの嗜虐美
(武藤太、褌のみの赤裸・・ここらあたり
三島の聖セバスティアン願望?)。
まさに、<たっぷり>の通し狂言。
25日まで。
他の出演者はこちら。
高間太郎 愛之助
陶松寿(とうしょうじゅ) 獅 童
鶴 松 江
亀 松 也
左府頼長の霊 廣太郎
舜天丸(すてまる)冠者後に舜天王(しゅんてんおう) 鷹之資
為朝の子為頼 玉太郎
武藤太 薪 車
大臣利勇 由次郎
為義の霊 友右衛門
阿公(くまぎみ)/崇徳(しゅとく)上皇の霊 翫 雀
高間妻磯萩 福 助
為朝妻簓江(ささらえ) 芝 雀
紀平治太夫 歌 六
三島由紀夫生誕100年!
2025年1月14日がその日。
「新潮」2月は三島の大特集。
まずは平野啓一郎の講演。
平野はデビューのおり「三島由紀夫の再来」と言われ、
2023年に大著『三島由紀夫論』を上梓。
講演録「三島由紀夫の絶望の先へ」は読みごたえたっぷり。
『金閣寺』の編集者・菅原國隆への手紙、
この公開された書簡のなまなまいこと。
「三島由紀夫への手紙」は川本直ほか5人の作家。
「三島由紀夫の文」は三島作品の中から一文を27人が選ぶ。
ゴア・ヴィダル「三島の死」
横尾忠則「創造と礼節」
特集 生誕一〇〇周年 よみがえる三島由紀夫
【講演録】
◆三島由紀夫の絶望の先へ/平野啓一郎
なぜ彼は「天皇陛下万歳」を叫び、割腹自殺を選んだのか。
虚無の思想を克服するためのいくつかの問い。
【論考】
◆『金閣寺』担当編集者の葛藤――菅原國隆宛書簡を読む/井上隆史
「人間病」の構想が代表作へと結実するまで。
作家と編集者の蜜月を証立てる11通の手紙とその後の関係。
特別企画 1――三島由紀夫への手紙
◆拝啓、三島由紀夫/川本 直
◆私へ/九段理江
◆残された〈結び目〉の謎/佐藤 究
◆「文化の不満」をどう解消するか/島田雅彦
◆陳腐な死に方の陳腐でないあなたヘ/田中慎弥
◆別の「生を」/中村文則
特別企画 2――三島由紀夫の文
石井遊佳 石沢麻依 市川沙央 伊良刹那 上田岳弘 宇垣美里
大田ステファニー歓人 角幡唯介 黒田夏子 佐伯一麦 向坂くじら
杉本博司 鈴木涼美 先崎彰容 辻原 登 豊永浩平 永井みみ
長野まゆみ 乗代雄介 蓮實重彦 東出昌大 古川日出男
宮内悠介 村田沙耶香 森村泰昌 山田詠美 吉田大八
【随筆】
◆三島の死/ゴア・ヴィダル(川本 直・訳)
◆創造と礼節/横尾忠則