雪の声大地しずかに華となり 掌
三島由紀夫「金閣寺」初版の
ブックカバーができました!
新潮の印刷されてない文庫本に、
この布製のブックカバーがかかって、
初版のたたずまいがうれしい♪
新潮社の紹介をこちらに
<新潮文庫版の『金閣寺』の初版は、
昭和35(1960)年9月15日に出版されました。
装画は今野忠一によるものです。
昭和42年、14刷から新字新かなに改版され、
その後何度か改装を経て現在の仕様になったのは、令和2年の144刷からです。
今回、三島由紀夫の生誕100年を記念して、
歴代の装幀の中でも特に印象的な初版デザインの布製ブックカバーを制作しました。
新潮社資料室に残る希少な初版本を新撮し
(撮影は新潮社写真部、画像調整は新潮社装幀部によるものです) 、
『金閣寺』のページ数にあわせて少し厚めにつくってあり、
カバーをかけた時の読み心地も嬉しい仕上がりです。
約65年前の初版デザインの装幀>とのこと。
萩原朔太郎を朗読する、明日です♪
14時開演 @高崎シティギャラリーコアホール
『月に吠える』序、竹2編
『定本 青猫』黒い風琴
風琴はオルガンのことです。
詩をどうぞ。
黒い風琴 萩原朔太郎
おるがんをお弾きなさい 女のひとよ
あなたは黒い着物をきて
おるがんの前に坐りなさい
あなたの指はおるがんを這ふのです
かるく やさしく しめやかに 雪のふつてゐる音のやうに
おるがんをお弾きなさい 女のひとよ。
だれがそこで唱つてゐるの
だれがそこでしんみりと聴いてゐるの
ああこのまつ黒な憂鬱の闇のなかで
べつたりと壁にすひついて
おそろしい巨大の風琴を弾くのはだれですか
宗教のはげしい感情 そのふるへ
けいれんするぱいぷおるがん れくれえむ!
お祈りなさい 病気のひとよ
おそろしいことはない おそろしい時間はないのです
お弾きなさい おるがんを
やさしく とうえんに しめやかに
大雪のふりつむときの松葉のやうに
あかるい光彩をなげかけてお弾きなさい
お弾きなさい おるがんを
おるがんをお弾きなさい 女のひとよ。
ああ まつくろのながい着物をきて
しぜんに感情のしづまるまで
あなたはおほきな黒い風琴をお弾きなさい
おそろしい暗闇の壁の中で
あなたは熱心に身をなげかける
あなた!
ああ なんといふはげしく陰鬱なる感情のけいれんよ。
チェロ、ピアノ、ソプラノ、
オーボエ・ヴァイオリンなど
豊富なプログラムです。
「竹」2編は
『月に吠える』1917年刊に載って。
ますぐなるもの地面に生え、
するどき青きもの地面に生え、
凍れる冬をつらぬきて、
そのみどり葉光る朝の空路に、
なみだたれ、
なみだをたれ、
いまはや懺悔をはれる肩の上より、
けぶれる竹の根はひろごり、
するどき青きもの地面に生え。
光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。
かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。
この画像は「竹」をモティーフにした
オリジナルフレーム切手シートで
2022年「萩原朔太郎大全」のおり発売され、
大切に飾っています♪
「三島由紀夫百年のつどい」
youtubeでご覧になれます。
女優・村松英子さんへ
演出家・宮本亜門さんのインタビューは1:34から
https://www.youtube.com/watch?v=X7wbLXR3tJg&t=3s