兜太先生のこの書、
2月には供えて。
猪が来て空気を食べる春の峠 兜太

小説家皆川博子さんへのオマージュ展、
今日から始まりました♪
5人の画家の描き下ろし作品が展示されます。
◆皆川博子 オマージュ展 Fragments of Paraselene
2月19 (土)~ 27 (日) 13:00-19:00
浅野信二
伊豫田晃一
佳嶋
豊永侑希
日香里
柳川貴代(Fragment 兎影館)
協力:河出書房新社
@ silent music
★動画はこちらより https://youtu.be/BfAXf8wkMZE
オペラ「松風」は<静寂>そのもの。
これほど<閑けさ>を感じたオペラはありません。
その日本初演を初日2018年2月16日に
新国立劇場で観ました。
ブログをこちらに。
ついにオペラ「松風」、
日本初演を初日(16日)に観る。
能「松風」を基にして、
細川俊夫作曲による第三作めのオペラ。
イルカ・ザイフェルトによるドイツ語のテキスト。
2011年5月、
ベルギーのモネ劇場での世界初演をはじめ、
世界各地での50回以上の上演されている。
歌い手は四人、ダンサーと
ヴォーカルアンサンブル。
上演時間90分。
波の音、
風(ヴォーカルアンサンブルによる息の音)が吹き渡る。
松風(ソプラノ)イルゼ・エーレンス、
村雨(メゾソプラノ)シャルロッテ・ヘッレカント
この二人の姉妹は
黒い蜘蛛の巣のような糸が
ステージに縦横に張り巡らされ、
そこを降りて登場する。
じつに印象的で、照明とあいまって、ゆめまぼろしのよう。
塩田千春とピア・マイヤー=シュリーヴァーによる美術。
この美術が素晴らしい!
能の橋掛かりが彼岸から此岸への<橋>であるように
このオペラでは黒い糸がその<橋>であるか。
宙吊りの斜めに傾いだ体勢で、
歌う無調音楽の二重唱の美しいこと。
松(行平・男)と風(女)の纏いつく狂乱(エクスタシー)、
その狂おしい想いが水の炎となって沸きあがる。
能管あるいは横笛のようなフルートの音が切り立つ。
その直後、ばらばらと落ちてくる巨大な松葉は
世界そのものの崩壊でもあるか。
霊は有漏路から無漏路へ。
夢幻の一夜の明けた浜には
波の音、
風があるばかり。
このオペラでは歌い手も話し、ダンサーのように動き、踊る。
能が語り、謡い、舞うように。
細川の精密にして、静寂をたたえた音楽、
サシャ・ヴァルツの演出・振付による身体表現。
松風と村雨はふたりでひとり。
陰、陽、男、女、生、死、
ひとの内奥にある、
見えないものを可視化した
美意識の凝縮されたかつてない舞台作品を観た。
◆オペラ「松風」
細川俊夫&サシャ・ヴァルツ
松風:イルゼ・エーレンス
村雨:シャルロッテ・ヘッレカント
旅の僧:グリゴリー・シュカルパ
須磨の浦人:萩原 潤
ダンス:サシャ・ヴァルツ&ゲスツ
ヴォーカル・アンサンブル:新国立劇場合唱団
指揮:デヴィッド・ロバート・コールマン
演出・振付:サシャ・ヴァルツ
管弦楽:東京交響楽団
美術:塩田千春、
ピア・マイヤー=シュリーヴァー
衣装:クリスティーネ・ビクレル
照明:マルティン・ハウク
ミラノスカラ座、
無事に昨年12月7日の幕を開き、公演が開催されました!
その「マクベス」の初日、BSプレミアムで観ました。
Macbeth - Trailer (Teatro alla Scala) - YouTube
予告編、こちらをクリック
マクベス夫人はあのネトレプコ。
マクベスはサルシ。
ネトレプコのマクベス夫人はもう凄い貫禄。
舞台を圧倒していました。
プリマドンナのソプラノに
こんな言い方は失礼なのでしょうが、
<威風堂々>。
その<声>も強靭そのもの。
ヴェルディがマクベス夫人に要求したのは
<醜い悪魔的な印象、
そして「とげとげしい、押さえつけられた、低い(こもった)声」>と。
マクベスのサルシはとても適役。
スター歌手の華やかさではなく、
歌と役に真摯に向き合っている。
野性味はありながらもどこか気の弱いような。
王殺しで権力を手に入れたにもかかわらず、
魔女の予言に頼る。
この舞台はパリ版で、
「マクベスの死」まで上演。
バンコーはアブドラザコフ。
その重厚な落ち着き。
マクベスとの差異が際立って。
マクダフのメーリ、
出番は少ないのが惜しいくらいの輝かしいテノール。
ミラノスカラの合唱が素晴らしく、
ドラマを創りあげて。
演出はリヴェルモーレ。
現代に置き換え。
賛否両論だったとか。
セリを多用し、大仕掛けな舞台機構をフルに活かし、
さらに緻密に創られたリアルな映像が
奥行きのある舞台を表現。
この映像天井やさまざまな角度のアングルで撮影し、
劇場で鑑賞している人には絶対に見えないシーンがたくさんあって、
「映像ソフト作品」としての完成度が高いのでは。
美術も美しい。
指揮:リッカルド・シャイー
演出:ダヴィデ・リヴァモア
マクベス:ルカ・サルシ
バンクォー:イルダル・アブドラザコフ
マクベス夫人:アンナ・ネトレプコ
マクベス夫人の侍女:キアーラ・イゾットン
マクダフ:フランチェスコ・メーリ
マルカム:イヴァン・アヨン・リヴァス
侍医:アンドレア・ペッレグリーニ
こちらに舞台写真
ミラノ・スカラ座 シーズン開幕 : TOPニュース : NBS News ウェブマガジン
「高崎兜太句会」2017年2月16日
5年前の今日です。
そのブログを、こちらに。
兜太句会、1月はお休みで、2ヵ月ぶり。
金子兜太『いま、兜太は』 青木健編
岩波書店2016年12月刊の
著作も手にすることができた。
いつものように雄渾な自筆の署名、
たっぷりとした筆で書かれているのがうれしい。
きょうの兼題は「早春」。
珍しく季節にふさわしい。
じつは12月に句を提出している(!?)
選句はかなりばらけ、4点が三句、
問題句で4点、2点問題句2点の句がある。
冬瓜の白濁は優しい闘志
評:この「白濁」、冬瓜にふさわしいか、どうか。
兜太:可もなく不可もない、どこかあいまいな句。
「冬瓜」でなく、もっと独特なものにかえる。
月のいろして早春の石切場
評:早春の石切場がいい。
その石が月のいろというのも独特か。
兜太:月のいろした石切場がいい。
好感、実感がある。「早春」だとあまい、ほかのものに。
<月のいろして狼の石切場>
と「早春」を「狼」にかえるのは、どうだ。
早春や私の中の犀起きる
評:「犀」がどうか。
兜太:これは「や」でなく「の」。
「早春の」でわかる。
季節と生きものとしての作者が呼応する。
早春あかつき水に眠れる青き鷹
兜太:句に格調がある。
早春「の」あかつき、と「の」をいれる。
青き鷹は山本掌の句。
少年のおとがい青み春しし座
兜太:うまい句。「おとがい青み」がいい。
春「の」しし座、と「の」をいれる。
合評のあと、兜太師によりだーっと全73句を講評。
このおりに句の評価がかわることも。
「第一感、実感を信じて、書く」と強く言われた。
春銀河菓子のこぼるる夜の火影 掌
前橋の詩人萩原朔太郎、萩原恭次郎から
詩人の系譜があります。
そのお二人
「真下章・梁瀬和夫回顧展」が
前橋文学館で催されて。
真下章さんの朴訥な書、木版画があたたかい。
文学館のホームページよりプロフィールをこちらに。
◆真下章 (1929-2019)
「勢多郡粕川村で養豚農家を営みながら、
養豚の日常や豚の視線から詩作を行い、
1987年に詩集『神サマの夜』でH氏賞を受賞しています。
また、木版画や書にも秀で、
季刊『上州風』での連載は多くの県民に親しまれ、
生前には版画の個展も開催しています」。
◆梁瀬和男(1926-2018)
教員を務めながら、抒情的な詩作からスタートし、
次第に社会的な詩風へと変化しました。
郷土群馬の先達詩人に関する評論活動も積極的に行い、
1986年には評論『萩原朔太郎』を上梓しています。
颯爽と自転車をこぐ姿を詩友たちは印象深く覚えています。
藤倉大作曲「アルマゲドンの夢」
2020年11月の世界初演の公演を配信で観ました。
こちらから2月28日まで
アルマゲドンの夢(2020年11月上演)- 無料映像配信 | 新国立劇場 オペラ (jac.go.jp)
原作はSF作家H.G.ウェルズ(ハーバート・ジョージ・ウェルズ)の
「世界最終戦争の悪夢 A Dream of Armageddon」(1901年)。
ハリー・ロスの台本、
藤倉大が作曲したオペラ「アルマゲドンの夢」。
指揮:大野和士
東京フィルハーモニー交響楽団。
◆出演
ピーター・タンジッツ(クーパー・ヒードン)
セス・カリコ(フォートナム・ロスコー、ジョンソン・イーヴシャム)
ジェシカ・アゾーティ(ベラ・ロッジア)
加納悦子(インスペクター)
望月哲也(歌手、冷笑者)
長峰佑典(兵士)。
「TOKYO FM少年合唱団」のボーイソプラノ。
上演時間は約100分。
歌唱は英語。(配信は英語と日本語訳)
原作は20世紀初頭にかかれ、
第1次、第2次世界大戦を暗示し、
オペラの内容は現在ただいまの疫病禍、
そこから起こりうるアルマゲドン、
第3次世界大戦=世界最終戦争さえ感じさせる、
緊張感につらぬかれたオペラ。
いままでに二度観ましたが、
まだ咀嚼できずに考え続けています。
幕開きはアカペラの合唱で、
暗黒の中に歌が流れる。
「電車」の中で交わされる会話から始まり、
ここは現実。
ただ交わされる会話は「夢の中で殺された」というもの。
その「夢」の世界へ現実は侵略され、
海水浴を楽しむ市民だったクーパーと妻ベラは
独裁者とおぼしきジョンソンの
政治的支配の渦に飲み込まれ、
命を落とす。
ベラは射殺され、
クーパーは電車で死ぬ。
その<現実>だったはずの電車の乗客も屍になって。
「夢」が「現実」に、
「現実」が「夢」に侵略されてゆく・・・
幕切れはボーイソプラノの
「アルマゲドン、アルマゲドン・・・」と
エコーのように聞こえる合唱の
[アーメン」が響いて、
静寂の、寂寥のなかで際立ち、
突き刺さってくる・・・
美術、照明、鏡面などがじつに効果的で、
「夢」と「現実」の世界、
その領域を侵してゆくありようなど見事ではないでしょうか。
リディア・シュタイアー(演出)
バルバラ・エーネス(美術)
ウルズラ・クドルナ(衣装)
オラフ・ブレーゼ(照明)
クリストファー・コンデク(映像)。
怒りもてきさらぎの鳥と会う 掌
◆如月・きさらぎ
陰暦二月の異称。
寒さのため衣(きぬ)をさらに重ねて着るから
衣更衣(きさらぎ)という説がある。
春の季語。