明日です♪
<萩原朔太郎を朗読する>
『定本 青猫』より「風船乗の夢」
『月に吠える』の序。
この「序」朔太郎の<詩>への思い、
なんと切々としていることか。
風船乗の夢
夏草のしげる叢から
ふはりふはりと天上さして昇りゆく風船よ
籠には旧暦の暦をのせ
春か地球の子午線を越えて吹かれ行かうよ。
ばうばうとした虚無のなかを
雲はさびしげにながれて行き
草地も見えず 記憶の時計もぜんまいがとまつてしまった。
どこをめあてに翔けるのだらう!
さうして酒瓶の底は空しくなり
酔ひどれの見る美麗な幻覚も消えてしまつた。
しだいに下界の陸地をはなれ
愁ひや雲やに吹きながされて
知覚もおよばぬ眞空圏内へまぎれ行かうよ。
この瓦斯體もてふくらんだ氣球のやうに
ふしぎにさびしい宇宙のはてを
友だちもなく ふはりふはりと昇つて行かうよ。
スプリングコンサート 高崎演奏家協会
2024年4月17日(水) 14:00~
高崎シティギャラリーコアホール
入場無料です。