あの藤原新也の写真集『祈り』Crevis 2022年刊
「祈り」、この雄渾な書!
むろん藤原の筆。
恐山の早朝、一瞬の日輪のひかりがさした、
まさにその瞬間だけみせる光景。
その荒々しいモノクロームの賽の河原のような場に
「祈り」の書のなんという力感!
その初期から現在までの作品を
「祈り」というキイワードで編んだ写真集。
その響きあう写真と言葉。
底知れぬエネルギーをもち、
なおその静寂をたたえた藤原の写真は
彼岸から此岸を透かす視線につらぬかれているように感じます。
圧倒的な作品集です。
◆目次
祈り
見る。撮る。触れる。祈る
てのひらのともしび。
ひとはあまねく照らされている。
だれもいない。
死ぬな生きろ。
かみさま。
旅
旅のはじまりにはいつも犬の遠吠えが聴こえる。 イスタンブール
いのちをうたう。 インド
ニンゲンは犬に食われるほど自由だ。 インド
この世はあの世である。 チベット高原
南洋のさざなみ。 台湾
あの世からこの世へ。 香港
子守唄が聴こえる。 朝鮮半島
ミッキーマウスの遺言。 アメリカ
墓守の猫。 パリ
少年の港。 門司
いま
ガイア
霧
禁足
風
ゆれる
涙
自己責任
漂流
遠泳
戦士の休息
リアルタイム
わたし
整体
電車
さまよう
家
雨
壊れた風景
彼岸
静寂
満開
絵
忠犬ハチ公の孤独
辺野古浄土
孫
歌
日常
まゆげ
遠く鳥の声
俗界富士
ツツジの富士
奇跡
生きること死ぬこと
あとがき 荒野にて
出版社Crevisの紹介はこちら
< 1969年インドを皮切りにアジア各地を旅し、
『印度放浪』で衝撃的にデビューした藤原新也。
アメリカを起点に西欧、そして日本へ眼差しを向け、
独自の視点で社会の「いま」を切取り、
『東京漂流』『メメント・モリ』など次々と話題作を発表し続けている。
現代の殺伐を伝えるニュースを背に、
大震災直後の東北を歩き、
香港・雨傘運動で現場の騒乱を肌で感じ取り、
コロナ禍では無人となった街に立ち、
これまでの道程と根幹に流れる人への思いを「祈り」というテーマに込める。
メメント・モリ 死を想え メメント・ヴィータ 生を想え 写真、
文筆、絵画、書とあらゆるメディアを
縦横無尽に使って表現する藤原新也。>