近代美術館工芸館にて、
「ー現代陶芸の鬼才ー栗木達介展」を観た。
造形の妙、これが陶芸かと驚嘆。
その大きさ、写真で見たものから
イメージしていたよりずっと大きなオブジェ。
その計算しつくし、それを超えた造形、
その存在感、重量感はあるが、すっきりとして、
陶芸の規範におさまらないような作品。
12月13日(日)まで。
◆作品画像
http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/kurikitatsusuke/
◆インターネット・ミュージアム
http://www.museum.or.jp/modules/topics/index.php?action=view&id=717&toNews
◆工芸館 ホームページ
栗木達介(1943-2013)は、愛知県瀬戸市の陶家に生まれ、
京都市立美術大学で富本憲吉や近藤悠三、
藤本能道、清水裕詞に学びました。
1966年に卒業した後、瀬戸で作陶活動を始め、
オブジェや自由な表現をうたう
現代陶芸が昂揚するなか、
朝日陶芸展や日本現代工芸美術展、
日展等で大賞の受賞を重ねて一躍台頭し、
まさに陶芸界の次代を担う作家として
高い評価を獲得しました。
1983年からは母校の京都市立芸術大学で
教鞭をとって後進の指導を行いました。
2013年に急逝し、その才能が大変惜しまれています。
既成の伝統や常識にとらわれず、
やきものの素材と特質を自らの視点と思考で
とらえた造形を繰り広げ、
現代陶芸に対する問題意識を表してきました。
手びねりの“オブジェ陶”で独自のかたちを追求し、
《しろとぎんの作品》(1974年)や
《這行する輪態》(1976年)などの
“動くかたち”を主題にした作品で
圧倒的な技量と存在感を発揮しました。
1980年以降は、陶の概念を再認識して器の構造を見直し、
かたちと装飾とを一体的にして新たな形態を構築しました。
「銀緑彩文陶」や「銀紅彩地紋陶」、
「巻弁陶」、「形を離れる帯模様」、「組帯壺」など、
次々と清新で強靭な造形を展開して
現代陶芸の鬼才と呼ばれました。
本展は、初期の器を含め代表的なオブジェ作品、
そして後年の伝統の器とオブジェの狭間に在る
新たな陶芸を追求した作品約90点を厳選して構成します。
自らの思想に徹した造形とその美をとおして、
現代の陶芸の可能性を問い続けた
栗木達介の創作の世界を展観いたします。