十月大歌舞伎 夜の部 @歌舞伎座 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


十月大歌舞伎


玉三郎の阿古屋が観たくて、いそいそと歌舞伎座へ。
いまの玉三郎でなければできない阿古屋を観た。

■『壇浦兜軍記 -阿古屋-』

花道の出のなんという大きさ。
まさにいま芳醇な<まことの花>の立女形。
玉三郎、まばゆいほどの奇麗なこと。
その美しさがそのまま存在の大きさになって、圧倒的。
客席もためいきが凝ったよう。

孔雀の俎板帯、
牡丹の仕掛け、
豪華な意匠をうわまわる玉三郎の豪奢なこと。
そこにちらっと見える素足が遊君である、と。

阿古屋の琴・三味線・胡弓の三曲演奏は本当に見物。
琴を弾きながらのうた、慕わしい景清への切々とした想い。
琴にあわせる太棹も息もぴったり。
玉三郎の手にぴたっとあわせて。

三味線に合わせるのは長唄三味線。

胡弓の嫋々とした音色がさらに劇的に。

義太夫は
阿古屋パート:愛太夫師、
秩父庄司重忠パート:幹太夫師、
岩永パート:泉太夫師。

インタヴューで玉三郎は
「阿古屋で琴、三味線、胡弓を弾きますが、
リサイタルではないので、演奏をするのでなく、
<阿古屋が恋人景清を想っている>、
このことを胸に秘めている、そうした阿古屋でなければ」と。


捌き役の秩父庄司重忠の菊之助。
あまり動きのない役を柔らかく、情の深い人物に。
爽やかで、なんとも二枚目。

そうした中に、人形振りの岩永左衛門があって、
アクセントになって。

この「阿古屋」、
いつまた観ることができることか。



◆壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)

  阿古屋


遊君阿古屋 玉三郎

岩永左衛門 亀三郎

榛沢六郎 功 一

秩父庄司重忠 菊之助


阿古屋




◆二世尾上松緑二十七回忌追善狂言

梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)

  髪結新三

さわやかな松緑の新三、
そこに老獪な大家の左團次、
ごちそうですっきりとした仁左衛門の藤兵衛、
肴売りの菊五郎の登場で劇場が華やぐ。



序 幕 白子屋見世先の場
     永代橋川端の場

二幕目 富吉町新三内の場
     家主長兵衛内の場
     元の新三内の場

大 詰 深川閻魔堂橋の場



髪結新三 松 緑

白子屋手代忠七 時 蔵

下剃勝奴 亀 寿

お熊 梅 枝

丁稚長松 左 近

家主女房おかく 右之助

車力善八 秀 調

弥太五郎源七 團 蔵

後家お常 秀太郎

家主長兵衛 左團次

加賀屋藤兵衛 仁左衛門

肴売新吉 菊五郎


10月25日まで。