芸術祭十月大歌舞伎 昼の部 @歌舞伎座 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



十月大歌舞伎



十月は二世尾上松緑追善狂言。

昼の部では「矢の根」
「人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)」で、
ほかに「音羽嶽だんまり」、
「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」


「矢の根」、曽我五郎・松緑が大奮闘。
この演目、後見も大活躍。

大薩摩主膳太夫が年始の挨拶で持参した宝船の絵を、
枕の下に敷いて寝る。
このとき「うんとこどっこい、うんとこな」と
両足を前に投げ出し、尻から落ちる
「背ギバ」の豪快なこと。

曽我十郎は坂田藤十郎。
五郎の夢に登場、淡い色合いの衣装も似合い、
今月の出演はこれ一本で、出演時間は一分ほど。
なんとも贅沢。


「一條大蔵譚」
仁左衛門の大蔵卿、これがなんとも絶妙な味わい。
つくり阿呆、呆けたと見せかけているその阿呆が
したたるような愛嬌。
ぶっかえり後の凛々しい美貌の輝かしいこと。
花道から菊之助の鬼次郎を中啓越しに見やる表情、
それでいて、どこか悲哀の滲む大蔵卿・・・
見惚れてしまった。


「文七元結」
菊五郎の左官長兵衛がまさにニン。
博打で身ぐるみ剥がれて、
寒そうに「暗れえなぁ」とひとこと言うだけで、
世話物の世界へ。
そこに時蔵の女房お兼が絡む。
二人の夫婦喧嘩がみもの。

玉三郎の角海老女将、
ひとこと一言がしみじみと
からみつくようで、客席がシーンとなって。
なにが異界へゆくような。

文七の梅枝、
松緑の鳶頭。


昼の部も歌舞伎を堪能。





 <二世尾上松緑二十七回忌追善狂言 >


二世松緑





◆歌舞伎十八番の内 矢の根(やのね)

曽我五郎     松 緑
大薩摩主膳太夫 彦三郎
馬士畑右衛門  権十郎
曽我十郎     藤十郎



◆一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)

檜垣茶屋の場
大蔵館奥殿の場

一條大蔵長成 仁左衛門
お京       孝太郎
鳴瀬       家 橘
八剣勘解由  松之助
吉岡鬼次郎  菊之助
常盤御前    時 蔵



二世尾上松緑二十七回忌追善狂言

◆人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)

左官長兵衛    菊五郎
女房お兼      時 蔵
鳶頭伊兵衛    松 緑
和泉屋手代文七 梅 枝
娘お久       尾上右近
角海老手代藤助 團 蔵
和泉屋清兵衛  左團次
角海老女将お駒 玉三郎