日本歌曲の第一人者・塚田佳男先生による公開レッスン。
塚田先生のこの公開レッスンは
歌い手とピアニストのためのもの。
聴講は自由にできる。
ご自身がピアニストであり、
歌い手(高津圭:歌の名前)であることもあって、
日本の詩、その曲にかんする深い洞察は比類が無い。
今回は萩原朔太郎の詩
「猫」 牧野由多可 曲
「仏陀」 石渡日出夫 曲
この2曲で受講。
作曲家が朔太郎の詩を替えているところもあるので、
どうしてこのようなことに、と質問。
朔太郎の詩でやりたい、と伝える。
一回、曲を通しで歌い、
それから各フレーズ、
一音一音まで緻密にみてゆく。
「猫」、「曲の構成、それでいい」、とのこと。
ピアノの前奏、ちょっとしたアドバイスで、いきいきとなる。
印象的なオノマトペ「うわあ こんばんは」、
2回出てくるところ、
1回目上から下へ下降の音形(音程はない)で、
2回目、下から上へ、の上昇で。
前者はオス猫、後者はメス猫を表して。
レッスンを受け、
曲の輪郭線がじつにくっきりとしてくる。
「仏陀」、これは『定本青猫』から。
「いい曲なのに、歌われることがすくない」と先生。
語るところ、しずかに、客観的(気持ちをのせず)に音とことばを発し、
そのことによって、より伝わる。
歌うところ、たっぷりと歌うことで、
語りがさらに活きる。
この公開レッスン、
レッスンと名前はついているが、
ある意味「コンサート」より
さらに集中と緊張を要求される、よう。
いつも思うことだが、
声楽のレッスンというより、
曲をどうつくるかという、
曲の<構成・演出>、
どう伝えるか、というレッスン。
じつに面白く、充実した時間。