塚田佳男 日本歌曲公開レッスン @前橋夢スタジオ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

塚田佳男

                塚田佳男



日本歌曲の第一人者・塚田佳男氏による公開レッスン。

塚田先生のこの公開レッスンは
歌い手とピアニストのためのもの。

ご自身がピアニストであり、歌い手であることもあり、
日本の詩、その曲にかんする深い洞察は比類が無い。

今回は萩原朔太郎の詩 
 「風船乗りの夢」、 「仏陀」この2曲で受講。
曲は石渡日出夫のよる。

「また、むずかしい曲をやるね」と先生から最初にひと言。

一回、曲を通しで歌い、それから各フレーズ、
一音一音まで緻密にみてゆく。

<詩・言葉>を活かすため、
一音と次の一音の間が微妙にかわってくる、
その面白さ。

フレーズが新しい角度でくっきりとし、
音が、曲が立ち上がってくる。

まさに、声楽のレッスンというより、
曲をどうつくるかという、
<演出>のレッスン。

この公開レッスン、
レッスンと名前はついているが、
ある意味「コンサート」より
さらに集中と緊張を要求される、よう。

「風船乗りの夢」、この一曲で時間がきてしまう。


充実した時間!



      
     <風船乗りの夢>
                      萩原朔太郎



夏草のしげる叢から

ふはりふはりと天上さして昇りゆく風船よ

籠には旧暦の暦をのせ

はるか地球の子午線を越えて吹かれ行かうよ。

ばうばうとした虚無の中を

雲はさびしげにながれて行き

草地も見えず 記憶の時計もぜんまいがとまつてしまつた。

どこをめあてに翔けるのだらう

さうして酒瓶の底は虚しくなり

酔ひどれの見る美麗な幻覚も消えてしまつた。

しだいに下界の陸地をはなれ

愁ひや雲やに吹きながされて

知覚もおよばぬ真空圏内にまぎれ行かうよ。

この瓦斯体もてふくらんだ気球のやうに

ふしぎにさびしい宇宙のはてを

友だちもなく ふはりふはりと昇つて行かうよ。




◆塚田 佳男

東京芸術大学声楽科卒業。
1975年~77年ドイツにてピアノ、オルガン伴奏法を学ぶ。
帰国後から現在に至るまで、歌を知りぬいた繊細な音楽性で、
日本を代表する伴奏者として目覚ましい活躍を続けている。

特に日本の歌曲の研究、解釈、伴奏においては現在日本の第一人者。
ライフワークである自らの企画構成による日本の歌のコンサートや、
その演奏は国内はもとより、海外にても高い評価を得ている。

日本歌曲を伴奏しているCDも多数リリースされ、
セミナー等の講師も、全国的規模で行っている。

音楽之友社主催の【シリーズ日本歌曲の歩みと調べ】では、畑中良輔氏とともに企画構成に携わり、全4回1,000曲以上の伴奏の大半を弾く。

「由紀さおり、安田祥子童謡コンサート」音楽監督並びにチーフピアノストを務め、
1995年からNHK紅白歌合戦に連続出場。

平成11年度第1回水谷達夫賞受賞。
東京室内歌劇場運営委員。日本演奏家連盟所属。
「榛名梅の里音楽祭&日本の歌」スプリングセミナー音楽監督。


塚田佳男氏に関する詳しい情報は
「つかたか倶楽部」をご覧下さい。