「アルノ川の祝祭」チラシ
「ジャック・カロ リアリズムと奇想の劇場」
を西洋美術館で観る。
ジャック・カロは17世紀の版画家。
ロレーヌ(フランス)やイタリアで活躍。
メディチ家の宮廷版画家でもあった。
西洋美術館が所蔵するカロの400点の作品から展示(!?)
年代順に連作が並ぶ。
エッチング、ビュランやエングレービングなどの版画を
線まで間近でじっくりと見ることができた。
「二人のニザン」
1センチくらいの人物が数百人いたり、
当時の生活風俗、道化、槍試合、戦争、処刑などが
じつに精緻に描かれる。
実在するかのような悪魔たち、
なかでも「聖アントニウスの誘惑」は見事。
「聖アントニウスの誘惑」
西洋美術館 ホームページ
「ジャック・カロ(1592-1635)は、
17世紀初頭のロレーヌ地方が生んだ、
優れた技量と豊かな創造性を兼ね備えた版画家です。
若い頃に滞在したイタリアでは、メディチ家の宮廷附き版画家に抜擢され、
1621年の帰郷後も、ロレーヌの宮廷や貴族たち、
聖職者たちのためのみならず、周辺諸国の貴顕たちの
注文にも応えて制作を行うなど、華やかなキャリアを築きました。
わずか40数年の生涯に残した作品の数は1400点以上にのぼります。
当時の喧騒が今にも聞こえてきそうな祝祭や市の様子、
民衆喜劇(コメディア・デラルテ)の役者たちや道化たちを描いたもの、
対抗宗教改革の潮流を映した作品群、
社会を暗い影で包んだ戦争に取材したもの、
イタリアや1630年頃に滞在したパリ、故郷ロレーヌの風景・・・、
多彩な主題を扱った画面の中では、現実に向けられた鋭いまなざしと、
想像力に富んだ着想が交錯する、独特の世界が作り上げられています。
また、カロは試行錯誤を重ね、腐食銅版画(エッチング)の技法に
新境地を開いたことでも知られます。
この新しい技法から生み出された、ときに明暗を鮮やかに対比し、
ときに柔らかな空間の広がりを詩情豊かに描き出す
線の表現の美しさは、見るほどに深い驚きをもたらします」。
6月15日(日)まで。