俳句を読む Ⅴ @ 金子兜太主宰「海程」492号 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



共鳴二十句のなかから鑑賞した句。

()はルビ。200字です。


 
  
  脳病みてすなわち放浪(さすらい)という        小林一枝



「脳病院」から精神科は「脳神経外科」や「心療内科」へ。

「脳病みて」の上五で、人を取り巻く<しがらみ>を

ポーンと飛び越えてしまう。

眼前にどこまでも青い青い空の広がり。

それが「すなわち放浪(さすらい)」だと。

きっぱりとした言い切りに、一句が屹立する。

まさに短詩型ならでは。

放哉、山頭火に残る感傷(センチメント)や

<原郷>を指向したりはしない。

「無縄自縛」や「心身解脱」とも言わない。

どこまでも自由な、自在な状態、それが<放浪(さすらい)>。

さあ、一歩を踏み出そう。