共鳴二十句のなかから鑑賞した句。
()はルビ。200字です。
脳病みてすなわち放浪(さすらい)という 小林一枝
「脳病院」から精神科は「脳神経外科」や「心療内科」へ。
「脳病みて」の上五で、人を取り巻く<しがらみ>を
ポーンと飛び越えてしまう。
眼前にどこまでも青い青い空の広がり。
それが「すなわち放浪(さすらい)」だと。
きっぱりとした言い切りに、一句が屹立する。
まさに短詩型ならでは。
放哉、山頭火に残る感傷(センチメント)や
<原郷>を指向したりはしない。
「無縄自縛」や「心身解脱」とも言わない。
どこまでも自由な、自在な状態、それが<放浪(さすらい)>。
さあ、一歩を踏み出そう。