「海程」俳句の鑑賞 Ⅱ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



もうひとつの句がこちら。

「海程」共鳴二十句と二句鑑賞は

三回の連載になります。






   蛍火を映して少し水でゐる        柳生正名



この蛍、わが身の火・ひかりを水面に映し、

自身で見たのだろうか。沢にいたのか、どうか。

「ものおもへば」おのが身をこがし火をともしている

と知ったのはいつのことか。

群れから離れゆく蛍。

水鏡に映るひかりから彷徨(さまよ)い出で、

「あこがれいづるたま」は水となっているのか。

たまさか<水> となるそんな蛍。

水でありたい蛍とは、

みずから望み「少し」「水でゐる」蛍とはなにか。


「水でゐる」この「ゐ」、

蛍のかたちをおもわせませんか。



                     (鑑賞 山本 掌)