共鳴二十句から二句を選んで、俳句を鑑賞。
字数は200字と短く。
ここではルビができないのですが、
()はルビです。
誰そ彼や鮎の骨抜く箸さばき 松本悦子
鮎の骨はうつくしい。頭から尾まで細い骨が連なるみごとさ。
それもこまやかでうまい箸さばきがあってこそ。
ほのと焦げ目がついた皮とあたたかく白い身に、香気が漂う。
そっと箸にのせ、口にはこぶ。そんな口福、至福の時刻(とき)まで
感じさせる。
上五の「誰そ彼」がゆかしい。夕暮、向こうに見える人の様子が
みわけがたいという「タソカレ」。
はっとするほどあざやかな箸さばきのひとはどんな佳人か。
懐かしい友、あるいは密会のあのひと。
(鑑賞 山本 掌)