「海程」 俳句鑑賞 Ⅰ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

共鳴二十句から二句を選んで、俳句を鑑賞。

字数は200字と短く。

ここではルビができないのですが、

()はルビです。




   誰そ彼や鮎の骨抜く箸さばき       松本悦子



鮎の骨はうつくしい。頭から尾まで細い骨が連なるみごとさ。

それもこまやかでうまい箸さばきがあってこそ。

ほのと焦げ目がついた皮とあたたかく白い身に、香気が漂う。

そっと箸にのせ、口にはこぶ。そんな口福、至福の時刻(とき)まで

感じさせる。

上五の「誰そ彼」がゆかしい。夕暮、向こうに見える人の様子が

みわけがたいという「タソカレ」。

はっとするほどあざやかな箸さばきのひとはどんな佳人か。

懐かしい友、あるいは密会のあのひと。


                 
                      (鑑賞 山本 掌)