金子兜太主宰「海程」は月刊誌で、
2・3月号、8・9月号が合併になります。
なぜか2月になると2月号と暦のとおり(笑)。
2012年12月号の同人作品から20句を選び、
そのうち2句を鑑賞というもの。
同人作品は1000句以上。
冊子になるまで2・3月かかり、
そこから選句をするので季節はちょっとずれてますが(笑)。
「海程」2013年2・3月号 <488>
<共鳴二十句> 山本 掌選
口々にフクシマを言う逃水を言う 伊藤淳子
この街ごと梱包したい酷暑かな 井上俊一
片蔭にかかとを白く見失へり 上原祥子
地下がある夏蝶を敷き詰めてゆく 小川楓子
青蚊帳の空の真ん中から垂れる 河西志帆
すかんぽう西はすべてを空気投げ 九堂夜想
手を置けば母在りし揺り椅子の揺れ 菅原和子
亀の子や涼しき水を頬被り 高木一恵
遠雷やマリオネットは地に鬱(ふさ)ぎ 田口美代子
曼珠沙華あふれて空が止まらない 月野ぽぽな
虫たちの暗鬱な触覚を見よ 遠山郁好
東北よ流灯肉厚なる闇へ 中村 晋
帰れない蛍に歩行うばわれて 根岸暁子
木よ石よ私は夕焼雲を抱く 野崎憲子
葛ゆれる皮膚に薄日の一行(いちぎょう) 藤野 武
誰そ彼や鮎の骨抜く箸さばき 松本悦子
八月を古代文字のごと寝入る 松本廉子
掌(てのひら)を時に羊歯とも化石とも 三木冬子
蛍火を映して少し水でゐる 柳生正名
霧がゆく手は手をにぎり白くゆく 山本 勲
()はすべてルビ