二期会「パルジファル」Ⅱ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

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二期会のチラシ



画像と指揮・飯森泰次郎の新聞記事、

演出・クラウス・グートのプロフィールをどうぞ。



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◆産経新聞 9月8日


声楽家団体の東京二期会が、ドイツ・オペラ最大の作曲家、

ワーグナーの集大成といわれる「パルジファル」を13、15、16、17日、

東京文化会館(東京都台東区)で上演する。


キリストの遺品とされる聖杯を守る騎士団の城主が

禁欲の戒律を犯して苦悩し、

汚れを知らない愚者のパルジファルが救済する物語だ。


公演のタクトをとる飯守泰次郎(71)は

「現代社会を予見する深い思索がめぐらされ、

私たちに大きな示唆を与えてくれる」と語る。


ワーグナーが舞台神聖祭典劇と題して「パルジファル」を

完成させたのは死の前年の1882年。

初期の名作、歌劇「タンホイザー」を世に問うた30代前半に

着想を得たが、70歳目前まで40年近くを要した。


愛または死による救済という哲学的なテーマで長大な台本を自ら手がけ、

大編成のオーケストラを駆使して、荘厳な神の啓示も、

性愛に溺れる官能的な世界も克明に表現した。


「パルジファル」は「ニーベルングの指環(ゆびわ)」

「トリスタンとイゾルデ」などの楽劇を次々に生み出し、

音楽や芸術思想に大改革をもたらした巨人の終着点だ。


指揮者の飯守はワーグナーが創設し、

ワーグナーの作品のみを上演するドイツのバイロイト音楽祭で

長年にわたって活躍し、国内でも数多くのワーグナー作品を上演して、

その本質を知る。


飯守はこう語る。

「自分の名前すら分からなかったパルジファルが、

出口のない絶望にあった騎士団を救います。

城主は戒律を破った際に十字架上のキリストの

脇腹を突いたとされる聖槍(せいそう)を奪われ、

癒しがたい傷を受けます。

パルジファルは聖槍を取り返すのに腕力を使わず、

城主の傷を治すのも聖槍をかざすだけです。

力にも知性にもよらない救済です。

彼は英雄ではありません。

力や権威には無縁です。

純粋な精神のみが救いを果たせたのです」


ワーグナーはキリスト教の伝承、

英国に伝わるアーサー王の物語や北欧の神話などを収集し、

創作の源とした。

不貞や常軌を逸した浪費を重ねながら精神的高みを目指し、

仏教的世界観に通じるショーペンハウアーの哲学に影響を受けた。


「聖と俗、善と悪。人間の持つ二面性の極端な対立を

ワーグナーが抱え、作品に示しました」と飯守。


「パルジファル」では聖人である城主が禁を犯し、

聖人でありたいと願った男は拒絶され悪玉となる。


「2人の対立は人間の葛藤の構図であり、現代社会の縮図です。

ワーグナーは宗教の枠組みを超えた広い知見で世界を見つめ、

近代から現代にいたる道筋も見通しているかのようです。

すべての生に対する慈しみがあり、

自然との共生を願う強い思いがあり、

急速な変化に直面する私たちに警告を発しています」


演出はドイツの気鋭、クラウス・グート。

物語の時代を20世紀初頭とし、

回り舞台と映像を駆使した立体的な構成で、

飯守と同様に作品の本質に鋭く迫る。




◆クラウス・グート(Claus Guth)

1964年フランクフルト生まれ。

ミュンヘン大学で哲学、ドイツ文学、演劇学を学び、

及び同地の音楽大学で演劇とオペラの演出を学ぶ。


現代最高のオペラ演出家の一人に挙げられる。


フランクフルト市立歌劇場『ダフネ』演出は

2010年のファウスト賞に輝いた。


欧州の有力歌劇場で今後実際に観ることができる氏の舞台は

『ルイザ・ミ ラー』(バイエルン州立歌劇場=ミュンヘン)、

『セビリャの理髪師』(ライン・ ドイツ・オペラ=デュッセルドルフ/デュイスブルク並び
にライプツィヒ歌劇場)、

『ローエングリン』(ミラノ・スカラ座12月)、

『ニーベルングの指環(四部作)』(ハンブルク州立歌劇場)、

『ナクソス島のアリアドネ』(チューリヒ歌劇場)、

『タンホイザー』(ウィーン国立歌劇場)、

『妖精の女王(H. パーセル作曲)』(ベルリン州立歌劇場)、

『ルチオ・シルラ』(バルセロナ・リセウ大劇場)などである。