靉嘔(あいおう)展 「ふたたび虹のかなたに」 @ 東京都現代美術館 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

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              アダムとイヴ



  靉嘔展 「ふたたび虹のかなたに」


靉嘔の軌跡を目の当たりにできる展覧会。

木場公園内にある現代美術館には、今回初めて。

雨だったけれど、清澄駅から歩く。

木々が雨にあらわれ、いっそう緑を鮮やかにしている。


その一角に印象的な現代アートといった建物がある。

庭には造形・彫刻といった作品がお出迎え。


初期の作品から新作まで。

そのエネルギーは美大の卒業制作から横溢している。


1メートル四方の金属の箱、無数の穴が穿たれている。

靴を脱いで入れる。外から見たものと、

内部から見渡すのはまったく異なる空間。

なかに「照明を消し、瞑想を」表示。


いよいよレインボーの作品群へ。

男・女・富士山・モナリザ・新幹線ありとあらゆる、もの、

モティーフが虹の赤から紫までの可視光線(スペクトル)に。

どこに赤や緑、紫をもってくるかで、表情は一変する。

これはルソーの「蛇使いの女」2点を比べるとまさに。

どの作品も大作100号くらいはふつう。


なかでもオリンピックの各競技が斬新で

エネルギーがあふれて。

バタフライの水の飛沫、

ヨットの切り取られた海面、などなど。


もうもう堪能。


なかには男女のレイボーでは

観光地の首を出して、記念写真を撮ることもできる。


真っ暗な空間、床から20センチくらいの位置に

板がわたしてあり、それを触れながら進む。

係りの方から「体調はだいじょうぶでしょうか?」

「絶対に手を離さないでください」とアドバイスを受ける。

何も見えないところをい触覚だけをたよりに、

歩むという不思議な体験。

出口でなぜか写真撮影。緊張を湛えたままかも。



立体やインスタレーションも多数。

日曜の午後には靉嘔氏が吹き抜けの大空間を

毎回変えてゆくのを見学できるとか。

そこに垂らしてあるレインボーの布のなんと長いことか。

館のかたにうかがったところ、

エッフェルタワーのときには300メートルだったとかで、

その時のものの由。


5月6日まで。

会期中にぜひ、どうぞ。

  

エッフェル塔からの虹の布

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 <現代美術館のホームページ>

生命力溢れる靉嘔の世界。

その初期から新作までを網羅する回顧展を開催します。


1931年、茨城県に生まれた靉嘔は、

1950年代、池田満寿夫らと共にデモクラート美術家協会に参加し、

明るい色彩の油彩画を発表し注目されました。

1958年には、ニューヨークに渡り、

知覚によって認識される世界を具体的な物との対話によって

改めて捉えようとする中で、

箱の穴に指を入れ鑑賞する《フィンガー・ボックス》や、

周囲の環境を取り込んだインスタレーション等、

絵画の枠にとどまらない人間の五感に訴える作品が生まれます。


日常の事物や行為そのものがアートに変換された1960年代、

靉嘔の「エンヴァイラメント」と呼ばれる

インスタレーションは先駆的な表現として注目されました。


音楽家、詩人、美術家等ジャンルを超えたアーティスト達が交わり、

パフォーマンスや印刷物の製作等を通し、

今日のアートの多様性のあり方に一つの礎を築いたグループ、

「フルクサス」のメンバーとしてオノ・ヨーコやナム・ジュン・パイクら

と共に活動します。


やがて、線で描く絵画を拒否し、

引用したモチーフに赤から紫までの可視光線(スペクトル)を重ねる

「虹」の作品が生まれ、

ヴェニス・ビエンナーレ(1966年)での発表等を経て、

靉嘔は「虹のアーティスト」として国内外で知られるようになります。


靉嘔の虹との格闘は、版画、絵画、インスタレーションと様々な形式により、

現在まで続いています。


本展では、数多くの虹のシリーズやパフォーマンスのドキュメントの他、

触れて楽しむ体験型のインスタレーションや

192色の虹色で描かれた30mにおよぶ新作、

1987年にエッフェル塔にかけられた300mの虹の帯等を大規模に展示します。


展示室いっぱいに広がる靉嘔の

オプティミスティックな世界をお楽しみください。

http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/131/1