新型コロナウイルスと男性不妊の関連②~精巣と精子への影響~ | 馬車道レディスクリニックのスタッフブログ

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皆様こんにちはニコニコ

 

新型コロナウイルスと男性不妊の関連について、過去2回ブログでご紹介してきました。

 

 

2021年7月、コロナ後遺症の患者である研究者達が行った共同研究(「Patient-Led Research Collaborative」)

にて具体的な後遺症について調査を行ったところ、

①約18%→性機能障害

②約13%→精巣の痛み

③8%→その他の性器の問題

④約4%→陰茎や精巣のサイズ縮小

という結果が出ているようです。

 

前回のブログで性機能障害についてご紹介したので、今回は精巣への影響、さらに関連して精子への影響についてお話したいと思います。

 

『Case.2~精巣と精子への影響~』

前回のブログにも記載しましたが2021年11月「The World Journal of Men's health」という医学誌への発表で、

「コロナにより死亡した20~87歳の男性の中の1名の精巣にウイルスの粒子があり、半数は精子の質が低下していた。」

つまり精巣が新型コロナウイルスに感染するという問題提起がありました。

 

しかし流行初期の2020年にはすでに中国の河南省商丘市の市民病院にて、症状の回復前後に関わらず陽性者の精液からPCRで新型コロナウイルスが検出されたという報告が出ていたそうです!!

 

この頃はウイルスの影響まではわかっていなかったのですが、

その後新型コロナにより死亡した5名と、それ以外の原因で死亡した3名の組織を調べたところ、コロナにより死亡した5名において

・精巣内のACE2(新型コロナウイルスが感染する受容体)が増加していた

・精巣組織内からウイルスが見つかった

・精子の形成障害が見られた

という結果が出ており、

精液中に存在するだけでなく、精巣もコロナに感染し精子の形成障害という影響を及ぼすという事が明らかになっています。

 

精巣は免疫の影響を受けない組織の一つで、治療により体内の他の部位からウイルスがいなくなっても精巣内の組織には留まり続ける例があるのですが(エボラ熱、おたふくかぜ、ジカ熱など)・・・

つまり、精巣はコロナウイルスの貯蔵庫になっていると推測できます。

これが精巣の痛みの原因となったり、精子の形成障害を引き起こしていると考えられています驚きハッ

さらに精巣内のライディッヒ細胞が感染することにより、そこで作られるテストステロンの分泌が低下し、性欲低下の一因である可能性も示唆されているようですガーンあせる

 

少々長くなりましたのでまた次回、精子への影響についての報告例を引き続きご紹介いたしますお願い