皆様こんにちは
本日は以前予告した通り、新型コロナウイルス感染と男性不妊の関連についての具体的な報告例をご紹介していきたいと思います
『Case.1~勃起不全~』
2021年3月、「Andrology」という学術誌にて、新型コロナウイルス感染により男性の性機能に影響を及ぼす後遺症が現れているとの報告があり、感染のない男性に比べ、勃起不全を患う可能性が6倍弱高くなるという結果が出ているそうです。
この原因として新型コロナウイルスの影響の1つである、血管内皮細胞の損傷が考えられます
損傷により狭くなった血管は、陰茎の海綿体を血液で膨らませたり維持することができなくなります。
さらに新型コロナウイルスは、血管を拡張したり陰茎を膨張させるのに必要な酵素の量を減らすという指摘があり、より勃起不全を引き起こす原因になっていると考えられます。
(ちなみにこの影響は性機能特有のものではないので、他の後遺症が長く続く方は同じような現象が肺や心臓に起きていると推測できます。)
この考えを裏付けるものとして、2021年11月「The World Journal of Men's health」の発表の一部をご紹介致します
米国にて新型コロナウイルスで死亡した20~80歳の男性6名の生体組織を採取し観察したところ、
1人の精巣内にウイルスの粒子があり、半数は精子の質が低下。
これにより新型コロナウイルスが生殖能力に影響を及ぼす可能性について問題提起が行われた。
ウイルスが精巣で発見されたのならば陰茎にも存在する可能性を考え、
感染後に性交不能となった男性2名の調査を行ったところ、彼らの陰茎の組織でウイルスを発見。
驚くことに感染から8か月も経過しており、陰茎の細い血管内皮細胞には損傷も見られた。
(この研究も2021年5月7日、同誌に掲載)
これらの報告により、新型コロナウイルス感染が勃起不全を引き起こす可能性があると理解できます。
この2名の男性の感染後の症状は、1名は軽症、もう1名は中等症~重症でしたので、感染の重度に関係なく組織内へのウイルスの侵入があると考えられます。
目鼻や口から入ったウイルスが、全く関係のなさそうな生殖器から発見されるというのはなかなか衝撃的ですよね
次回は『Case.2~精巣への影響~』についてお話します