1962年新東宝制作・大映配給「嫉妬」
土居通芳監督

あらすじ
検事の安西光夫(宇津井健)は薄幸の女・日高月江の嬰児殺害・死体遺棄事件を担当していたが、そんな中、かつての恋人の主婦・関口朝子と再会し、なりゆきで一夜を共にしてしまう・・・
土居通芳監督のサスペンス映画ですが、登場人物が複雑な関係になっていて、よく観ていないと分からなくなってしまう作品でもあります。

安西光夫(宇津井健)
法律に厳格な新進気鋭の検事だが、自分の色恋になると倫理観を無視してしまう一面も持っている。

大映では、よく検事役を演じている宇津井さんですが、新東宝では意外にも見たことがありません。
宇津井さんの検事役は似合ってますし、奇しくもこの作品が大映で上映されたので、大映上層部に検事役が評価されたのかもしれません。

関口朝子(福田公子)
安西光夫とは、かつての恋仲だったが、会社社長の関口功介と結婚してしまう。
しかし、再び合う内に心が揺れ動いてしまう。

新東宝最後の年になる1961年は、他社やフリーの俳優が助っ人出演する事が多かったのですが、「嫉妬」には福田公子さんが出演しました。
この作品のヒロインという事になるのですが、宇津井さんより実年齢以上に年上に見え、かつての相愛の仲の設定というのはどうなんですかね。
配役ミスだったと思うのですが、年上好みの男も居ると言われたら、謝るしかないですが(笑)

八代友子(大空真弓)
関口朝子の実妹。姉が結婚した関口功介の家に同居している。
福田公子さんとの年齢差を埋める為か、大人っぽく非常にクールなキャラになってます。
安西光夫を愛していて、結婚出来なければ自殺すると、何時も毒薬を持ち歩いてる一面も。

関口功介(近衛敏明)
関口朝子の夫で会社社長。近衛敏明さんの定番キャラのスケベ親父なのですが、石井輝男作品の様な、少しコミカルなキャラではなく、ただただセクハラ・パワハラ親父であります。

堀井刑事(沼田曜一)
東北弁を使い、のんびりしている印象っだが、実は腕利きの刑事。
安西検事をよくサポートします。

竹中清(高宮敬二)
大学生だが、小悪党。関口功介の前妻の長男(中岡慎太郎)と友人関係にあり、その線から安西光夫との恋愛を書いた関口朝子の日記を持ち出して、関口朝子を恐喝したり、数々の違法行為を行うが、何故か罪に問われなかった運のいい男。

笹川文子(鷹理恵子)
竹中清の恋人だが、関口功介の愛人をしている彼女。
本人はあっけらかんとしているので、強制されたのか、天然なのかよく分かりません。

鷹理恵子さんのクレジットには新人表記があり、新東宝最後の新人俳優だった事が分かりました。
調べると「悲しみはいつも母に」にも出演していますが、この作品も大映配給で、新東宝の俳優でありながら、新東宝の映画館で観ることの出来なかった方なんですね。

若い頃の春川ますみ似で雰囲気はありましたが、台詞は棒読みで、レッスン半ばで出演させられた感があります。

日高月江(万里昌代)
安西検事が担当した嬰児殺害、死体遺棄事件の被告人。
不幸な生まれの為の起こした事件で情状酌量を求めたが、安西検事は厳しい求刑をした。
(判決は執行猶予)

「嫉妬」のポスターに、万里さんの大きな顔が写っていたので、メインの扱いと思っていたけど、意外にも出番は少なかった。

永田寛三(清水将夫)
安西検事の先輩であり目標の検事
しかし、被告人・日高月江の実の父親であった。(北海道でアイヌの娘に産ませたが放置した)
法律に厳格な検事だったが、娘の情状酌量を安西検事に勧めたりして、鬼検事も人の子だったと印象付ける。

東海道本線を走るEF58牽引の急行列車

乗車している関口夫妻
一方向きのシートに乗車していますが、これは特急「つばめ」や「はと」で使われていた三等車を急行列車に転用されたものではないかと思われます。
もし、そうなら、かなり貴重な映像になります。

関口朝子は夫に、汚職捜査の手を和らげろと安西検事を懐柔する様命令される。
安西検事は、捜査の一軒は拒否したが、元の恋人同士が伊東の旅館で密会しているので、なりゆきで一夜を共にしてしまう。

翌朝、70系電車の二等車(ボックスシート)に乗る二人

偶然それを目撃した八代友子
見つめる大空真弓さんの顔が印象的,
このシーンが作品の題名になるわけです。

この後、関口功介が毒殺されて、話が急展開しますが、ネタバレはここまでにします。


土居監督らしい構成ですが、登場人物の関係が複雑なのが、話を分かり難くしています。
ミステリーファンなら、この方が良いのかもしれませんが。

印象に残ったのは大空真弓さんの役柄で、新東宝での大空さんは、明朗な役が多いのですが、これはちょっと異質ですね。


新東宝倒産後、制作されて上映されなかった作品は、後継会社の「大宝」や「大映」「日活」等で配給されましたが、それらはCSで放送される事は殆どなかったので、今回非常に貴重な作品を観る事が出来て良かったです。
「嫉妬」は今月に衛星劇場で放送されましたが、来月にも放送されるので、宜しければどうぞ。


それから、昨日ツイッターで大宝配給の「狂熱の果て」が来年の2月、東京国立近代美術館
フィルムセンターで上映される事が分かりました。

この作品は星輝美さんの最後の主演作品なので、絶対に観たいのですが、後に星輝美さんや山際永三監督のトークショー付き上映をシネマヴェーラ渋谷で計画している話もあり、どうしようか悩んでいます。







星輝美さんトークショーが終わると、ホテルに直行したのですが、着くともう夜の空に。
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JR大井町駅前にあるホテル「アワーズイン阪急」
ここはシングル専用のシングル館とツイン館のビルが分かれていて、建物内には食品館・コンビニ・飲食店が入って非常に便利になっています。
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部屋の様子
コンパクトに造りになっていて、風呂は無くシャワーのみでした。
訪れた方のブログを見たら、歯ブラシ等のアメニティが無いと書かれていましたが、一通りのアメニティは置いてました。

私はスーパー銭湯と朝食のコースにしたのでシャワーは使いませんでした。
スーパー銭湯おふろの王様は3階にあり、一般のお客と共用ですが、宿泊客は4階から部屋着のまま入場出来ました。

因みにスーパー銭湯1200円と朝食500円コースと素泊まりは同じ値段だったのですが、その差はどうだったのかよく分かりません。
風呂付の部屋もあるそうですが、それは航空機とのセットプランには無かったはずです。
早い者勝ちのお得なコースだったのかな?(笑)
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朝食は洋食のカフェ&バー “ザ・ガーデン”と和食の大戸屋から選べますが、洋食にしました。
食べ放題の焼き立てパンとサラダ・スクランブルエッグ・スープ・コーヒーor紅茶
ドリンクは一度だけお代わり可能
焼き立てパンは美味しいですが、それよりもコンソメスープがめっちゃ美味しかったです。
その代わりコーヒーがねぇ。

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翌日の東京は本降りの雨模様
雨だし、ホテルが羽田空港寄りにあるのと、輝美さんトークショーでお腹いっぱいだったので、羽田空港見物だけで帰ろうと思いました。
大森駅で下りて路線バスに乗ることに、待ち時間の間に駅前の富士そばで冷やしたぬきそばを。
私は東京へ行くと冷やしたぬきそばを食べるのですが、富士そばで食べるのは初めてです。
味はまあまあかな。390円

京急の路線バスで羽田空港へ。280円
羽田空港は三つのターミナルに分かれていまして、それぞれが観光スポットになっています。
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一番手前にあるのが国際ターミナルです。
想像よりも広い!
上階には飲食店やお土産店が多数ありましたが、旅行客よりも見物客の方が多いみたいでした。
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展望デッキへ
雨の為に手前まで行きませんでしたが、こんな感じです。
見物客もあまりいませんでしたが、晴れていたら混雑するのでしょうね。
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ターミナル内を巡回する無料シャトルバスに乗って第二ターミナルへ。
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ANAの発着場になる第二ターミナル
ショッピングモールの様な雰囲気の場所ですが見物客は多かったです。
お土産の試食コーナーも多く、私はここでお土産を買いました。
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第二と第一ターミナルの移動はシャトルバス以外に地下道もあります。
ムービングウォーク付きの地下道で第一ターミナルに移動。
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JALの発着場になる第一ターミナル
昔からある羽田空港ターミナルですね。改装されて綺麗になってますが、第二や国際に比べると昭和の香りがします。
でも、私はこのターミナルが一番好きです。
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伊丹空港は保安検査場の中に入ると、あまり店舗はありませんが羽田空港は違いますね。
立ち食い寿司店もあるし、ご覧のブランドショップもありました。
しかし、待ち時間にブランド品買う人いるのかな?
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待合席も多く、伊丹空港より居心地がいいです。
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と、呑気に羽田空港を紹介していますが、実は台風22号接近で、白浜空港行きの便が欠航のアナウンスがされ、私が乗る121便も30分遅れに変更されました。
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搭乗手続きも遅れて、15時過ぎてようやく121便の中へ。
この機体はボーイング777-200で、往きの飛行機より大型で席も多いです。
私の席は端側なのですが、3列シートの真ん中でした。
真ん中の席は落ち着かないのがね。
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40分遅れでようやく出発しましたが、同じ場所をグルグル回るだけで中々飛び立ちません。
そうすると、機長がマイクで「悪天候の為に管制塔の離陸許可が出ません」とアナウンス。
え~!どうなるの!と周りがざわざわし始めました。

ようやく許可が出てテイクオフへ。
写真は離陸した時を映したモニターです。
あれ?往きよりも悪天候なのに、あまり揺れませんでした。
これは機体が大型だったからなのか?それとも機長の腕が良かったからなのか?
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悪天候でも高度を上げると青空が見えました。
ただし、出来るだけベルトを閉める様に言われ、ドリンクサービスは冷茶のみでした。
あ~結局美味しいスープは飲めなかった。
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伊丹空港に着陸寸前の写真です。
なんか雨が上がっているみたい。
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待合室の窓を見ると青空が見えました。
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雨が上がったので、大阪モノレールを使わず徒歩で阪急蛍池駅へ。
徒歩15分位でしたが、大回りする道しか無いので、蛍池駅から直線で伊丹空港まで屋根付きの道を作り、ムービングウォークも付ければモノレールに乗るよりも早く行けると思いますね。
阪急電車が伊丹空港迄の新線を作る計画がありますが、こっちの方が安上がりなのにな。

とにかく、あの距離で200円とは大阪モノレールは高過ぎる。


今回の旅行、当初夜行バスで行こうと思ったのですが、週末だからか3列シートの早割で8000円以上していました。
そこで、色々調べた結果、阪急交通社の往復航空券とホテルのフリープランにしました。
基本料金は21600円ですが、往きの102便が2500円増しでしたので、24100円でした。

往復夜行バスは疲れるし、これくらいの値段差なら旅行会社のフリープランにして良かったと思います。

最後に
前回の輝美さんに逢えた編を、星輝美さんのトークショーを企画した下村さんが、ツイッターやFacebookで紹介して頂き大変嬉しいです。
下村さんの話では、トークショー後に輝美さんに電話したら、大変楽しかったらしく「最良の一日でした」なんてお言葉も頂戴したそうです。

もしかしたら、輝美さん私のブログ読んでくれたかな?(笑)



10月28日土、JALの始発便しか取れなかったので、朝4時過ぎに起きて支度をし、雨になったので傘をさして家を出発、阪急御影駅に向かいました。
家から阪急御影駅まで距離があるので、この間は降ってほしくなかったのに幸先悪いな。
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阪急電車神戸線の始発と宝塚線そして大阪モノレールを乗り継ぎ大阪空港駅に到着。
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6時過ぎの伊丹空港(大阪国際空港)ビル
かなり雨が降っていました。
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JALとANAは発着場所が分かれていて、JALは北ウイングを使います。
数十年ぶりに来ましたが、あんまり変わってないなぁ。
往きは何故か座席予約が出来ず、タッチ&ゴーが使えないので、早く空港に来たのです。
自動チェックイン機に阪急交通社から送られたバーコードをかざすと簡単に手続き出来て、保安検査場の手荷物検査もスムーズに終了。
これなら、もう少し遅く来ても大丈夫です。
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待合ロビーの窓から見えるJALの航空機
飛行機は全然詳しくないので形式は分かりません(笑)
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搭乗口の自動改札を通り、羽田行きJAL102便に乗り込みます。
超久しぶりなので、ちょっと緊張しました。
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JAL102便の室内
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私の座席は50A、窓側の席なのは嬉しいのですが、最後尾の席で窓がありません。
そして、この機体はボーイング767-300でした。
座席に挟んでいたパンフレットに書いてますね。
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テーブルは思った以上に小さかった。昔の国鉄特急並み。
シートピッチは現在の高速バス並みかな。これでも幅は広がってるそうです。
リクライニングは一段しか倒せず、国鉄特急の簡易リクライニングと同じ。
家ではみかんとトマトジュースしか食べてないので、空港内で買ったサンドイッチを食べようとしたら、CAさんが来て離陸時にはテーブルを戻してと言われました。
「離陸時にはベルトを締め、テーブルを戻し、リクライニングも戻す。」
飛行機に乗るには色々な制限がありますね。
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離陸直後の街並み。
離陸時にはかなりの揺れとジェットコースター並みのGが掛かりました。
こんなの初めてです。悪天候だからかな。
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台風22号の影響で、全国的に太平洋側は雨模様ですが、高度を上げると晴れ間も見えました。
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あっという間に東京上空へ。
伊丹ー羽田の滞空時間は45分です。
ネットで調べたら、機内サービスのスープが評判なので、楽しみにしてたのに、悪天候の影響でサービス開始が遅れてしまい、私の所に来る前にサービスが終了してしまいました。
降りる時にリンゴジュースもらいましたが。
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羽田空港に到着したJAL102便。
(羽田空港の模様は後日書きますので)
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羽田空港のゲートを出たのが8時30分、京浜急行と山手線使えば早く行けるのですが、シネマヴェーラ渋谷の上映開始が11時なので、早く行っても意味ないので、安く行けるJR蒲田駅行きの路線バスに乗り、蒲田でブランチを食べて、京浜東北線と山手線を乗り継いで10時過ぎに渋谷駅に到着。
青ガエルの東急5000系がお出迎え。
羽田空港から蒲田までは曇り空でしたが、渋谷では小雨が降って来ました。
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駅から5分でシネマヴェーラ渋谷に到着。ユーロスペースと同じビルだったのか。
シネマヴェーラ渋谷は4階、ユーロスペースは3階です。
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上映開始50分弱前なのに長蛇の列で、3階のユーロスペース付近まで並んでいました。
ようやく開場して、私は特別上映になる「九十九本目の生娘」入場券1100円と
「女獣」「少女妻 恐るべき十六才」用の入場券1400円を払って入場しました。
ロビーには新東宝のポスターが飾っていました。
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「九十九本目の生娘」上映時にはまだ空席もありましたが、「女獣」ではぼぼ満員「少女妻 恐るべき十六才」の始まる前にはご覧の様に通路にも観客が座り、立ち見もたくさんいました。

輝美さんのファンはこんなにも沢山いたのかとビックリしたのですが、休憩時間に何人かの客と話をしたら、輝美さんは知らないと言われたので、興味本位の方も多かったのかな?

「少女妻 恐るべき十六才」も終わり、いよいよその時が・・・
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星輝美さん登場音譜
1962年に引退して以来55年ぶりにファンの前に姿を現しました。
あ~やっぱりショートヘアだ。
現役時代と変わってないお姿。
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トークショーの内容は映画論叢でのインタビュー記事が多かったのですが、新しい事実は、輝美さんが24歳の時横浜でご主人にナンパされた事、付き合っていた8歳年上の文太さんは、いつしか父親のような存在になってしまい、「ウザくなっちゃって」と告白。
そして、ご主人が「星さんを譲ってほしい」と文太さんにお手紙を書いた事。

それでも文太さんは60になったら、お互い離婚して一緒になろうと言ったとか(笑)

あと、文太さんの奥さんや、宇津井さんの奥さんに警戒されて、双方の家に出禁だったそうです。

40分程のトークショーでしたが、場内大爆笑の連続で、非常に楽しかったです。

ただ残念だったのは、輝美さんが聞き手のシネマヴェーラの人の顔ばかり見て、こちらを見てくれなかった事です。
ブログに載せられる写真もこの二枚しかありません。

そこで、ご覧の写真をツイートした方に許可を貰ってベストショットを載せます。

後日談で判ったのですが、普段はもう少し髪を伸ばしているそうですが、トークショーの前日にカットしたのです。
輝美さんはファンのイメージを尊重してくれたのですね。


最後にトークショー終了直前の動画です。
輝美さんの「全部喋りました」が印象的です。
人前に出るのはこれが最初で最後と決意していたのでしょうね。

輝美さんを知らないと言った人も輝美ファンになったことでしょう。
私は大満足でシネマヴェーラ渋谷を後にしました。

来て良かった


10月14日~11月3日に東京のシネマヴェーラ渋谷で
「新東宝70周年記念特集II 玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のもっとディープな世界」が開催されます。

新東宝のレアな23作品を上映するのですが、10月28日に星輝美さんのトークショーがあることが分かりびっくりしました。

星輝美さんは1962年に引退していますから、実に55年ぶりに公の場所に登場する事になります。
映画雑誌のインタビューでは、新東宝や日活の同窓会にもあまり行きたくないと、おっしゃっていますので、トークショーなんて絶対にないと思っていました。

これはどうしても行かなければならないので、どういうルートで行こうかなと色々調べましたが、今回は往復航空券とホテル宿泊が付いたフリープランで行くことに決めました。
飛行機に乗るのは何十年ぶりだろ。

星輝美さんにお目にかかる機会なんて一生ないと思っていましたので、10月28日当日までドキドキです(笑)

星輝美さんトークショーの模様及び旅行記はブログにしますのでお楽しみに。

これが上映スケジュール
http://www.cinemavera.com/schedule.php?id=196
星輝美さんは10月28日(土)15時35分から40分トークショーを行います。

この開催では10月14日(土)に矢代京子さん
10月21日に香川京子さんのトークショーも行われます。


最後にネットで拾った星輝美さんの画像をどうぞ


星輝美さんとしてデビュー時に企画されたユニット「五輪のバラ娘」のスチール写真


サンデー毎日の表紙


キリンジュースのポスター




1962年松竹・芸映プロ提携作品「ちんじゃらじゃら物語」(喜劇出たとこ勝負)
堀内真直監督
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あらすじ
パチンコの神様と呼ばれる釘師の山田太助(伴淳三郎)と、オートバイメーカー轟モータース名古屋支社長の山田太郎(千秋実)はカンボジアで戦った戦友同士。
山田太郎は駅裏再開発を公約に名古屋市長選挙に立候補する予定だったが、カンボジアの現地人との子供が日本に来日するニュースを知り、選挙に悪影響を及ぼす事を恐れた山田太郎は、同性の山田太助に父親代わりになる事を頼むが、山田太助は駅裏再開発を中止する事を条件に引き受ける。

太閤口と呼ばれる名古屋駅裏を舞台に、二人の戦友の友情と、実際にあった名古屋駅裏立ち退き問題を絡めた喜劇映画です。

尚、当初は「喜劇出たとこ勝負」として上映された様ですが、後に原題である「ちんじゃらじゃら物語」に変えた様です。

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クレージーキャッツが歌う主題歌ちんじゃらボッサノバが流れる中、名古屋市の空撮画像が凄くいいです。
そのハイライトは国鉄名古屋駅です。
名古屋駅旧駅舎
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建設中の新幹線ホームが見えます。
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最後は、再開発前の駅裏地区
終戦直後のヤミ市の名残がある貴重な映像です。

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山田太助(伴淳三郎)
駅裏のパチンコ屋「大穴」の釘師をしているが、パチンコの神様と言われた男で、数々のパチンコの新台を考案していたのだが、根っからのお人よしで、困った人に金銭を融通しまくるので、本人は貧乏な生活をしています。
伴淳さんは当時芸映プロの社長で企画もしているので、気合いが入った演技をしています。
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山田太郎(千秋実)
轟モータース名古屋支社長で山田太助とカンボジア戦線の戦友。
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カンボジア戦線で、二人は食糧確保の為の野菜栽培の任務を担当した。
隊長役は加東大介さん。

以前サンテレビで観たときは、カンボジアのシーンはほとんどカットされて、二人がどのようにして戦友として友情を育んでいったかが分かりませんでした。

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山田太助の娘マリ子(島かおり)と妻の吉弥(月丘夢路)
吉弥は劇場公演をするほどの芸子だが、太助の生活ぶりに嫌気がして別居中
娘は名鉄百貨店に勤務して父と同居していたが、後に太助に「隠し子」がいることを知り家を出た。
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轟モータース社長の有島一郎と娘役の岩下志麻
有島さんは吉弥のパトロン
松竹映画といいながら、東宝俳優ばかり出演していますが、数少ない松竹らしい若手時代の志麻さん。
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駅裏にある韓国料理店の店主、通称ホルモンのテイ(山茶花究)
映画では在日韓国人が登場しますが、調べると駅裏は実際に在日韓国・朝鮮人達が多く住んでいて、喜劇タッチながら、当時の社会問題をサラリと紹介しています。
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冒頭に藤山寛美さんがパチンコ客として登場。
景品にオリエンタルカレーが。
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不良パチンカーエレキのタツ役の三木のり平さんが、太助を騙して景品を搾取する。
ここにもオリエンタルカレーが。
オリエンタルカレーの全盛期で全国展開していた時代ですね。
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山田太郎支社長の秘書役に黒柳徹子さん
当時、NHK放送劇団に所属していたので、クレジットにNHKと書かれていました。

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山田太郎の有力支援者の中に、駅裏立ち退きで一儲けを企む連中もいた。
彼らは反対派の代表である、山田太助の居るパチンコ屋を潰す為に大物のパチプロを大阪から呼んだ。
通称なだれのサブ(フランキー堺)
自らをパチラーと呼び、独自の信念を持つ男。
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パチンコ店「大穴」で二人はパチンコ対決する。
大穴の店長は玉川良一さん。
なだれのサブ優勢に進んだが、太助の信念を感じ取って、去っていく。
これが前半のハイライト。

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山田太郎の市長選挙中にカンボジア現地人との子供パプロ(芦屋小雁)が突然来日する。
選挙に悪影響を及ぼす事を恐れた山田太郎は、同性の山田太助に父親代わりになる事を頼むが、山田太助は駅裏再開発を中止する事を条件に引き受ける。

後半の主役的存在になる芦屋小雁さん
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名鉄7000系パノラマカー
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7000系パノラマカー車内
二人は愛知県周辺を観光しますが、名鉄が協賛していますので、名鉄系の観光地(明治村や日本ライン下り)ばかり紹介されます(笑)
娘のマリ子が勤務する名鉄百貨店ももちろん紹介。

名鉄は駅裏再開発問題と関係ありませんのでいいのですが、当事者の国鉄はこの映画を観てどう思ったのでしょうか。
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名鉄の子会社の愛知観光船の水中翼船
実は子供の頃、これに乗って船酔いしたんです。

話は進み、政見放送で駅裏整理を撤回しない表明をした太郎をみた太助は、パプロと共に生放送中の放送局に怒鳴り込み、番組を滅茶苦茶にします。
政見放送は当時生放送だったのですね、現在ではこの手法は出来ませんね。

太郎はパプロを自分の子供だと詫び、選挙参謀が駅裏利権を狙っていた事を知って選挙から撤退表明しました。
政見放送を観た太助の妻や娘も太助を見直しよりを戻しました。
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太郎はオートバイ業に専念し、鈴鹿サーキットで行われる全日本選手権に挑んだが、選挙撤退で打撃を被った選挙参謀らは、嫌がらせで選手をケガさせ出場不可能にする。
そこで、カンボジアでオートレーサーをしているパプロが代役で出場する。

小雁さんが実際にオートバイを走らせているシーンもありました。
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パプロは見事優勝し、お祝いに駅裏の街でパチンコ大会を開いて終わりました。
駅裏のシーンは撮影所で撮ったと思うのですが、雰囲気よく撮れています。

映画では駅裏住民の勝利で終わりましたが、実際には駅裏整理は完了してこの街並みは跡形もありません。

私が名古屋でよく泊まる格安ホテルも駅裏の外れにあります。

私は結構気に入った作品なんですが、名古屋弁を話すのが一人もいないのが残念です。
ただ、当時名古屋や岐阜が舞台の作品を観ましたが皆標準語なので、致し方ありませんね。



ちんじゃらボッサノバ クレージーキャッツ 投稿者 kazuyoshi_sakamoto4000

クレージーキャッツが歌う主題歌ちんじゃらボッサノバの動画で、伴淳さんの語り付きです。