10日のチャンピオンズリーグ・グループD最終節、マンチェスター・シティが、敵地でバイエルン・ミュンヘンを3-2と下したこの試合。


シルバのゼロトップ

アシスト、ゴール、PK奪取と3得点に絡んだミルナーの活躍や、
2アシストを記録したナバスの奮闘も見逃せないのですが、
個人的にここが一番好きなポイントだったので
重点的に取り上げたいと思います。


ゼコが1トップで先発したシティだけど、
守備時にはシルバがゼロトップのような形で最前線に。
自ずと、敵陣でボールを奪えばそのままシルバが最前線にいるまま
攻撃が繰り出されます。
これが、面白かった。

シルバ、ゼコに加え、ナバスとミルナーも張り出してきちゃって、
最早4トップくらいの勢いで一番前のラインに4枚を並べるシティ。

バイエルンは4バックですから、
事実上一番危険ラインで数のうえで1対1が作り出されることになります。

シルバにボールが渡れば、その技術の高さからバイエルンDFは必ず1枚引っ張られる。
そこにゼコ、ナバス、ときには中盤からフェルナンジーニョも参加してきて、
簡単に数的優位がつくれてしまう。

あれは、どちらかと言えばペップ・グアルディオラががバルセロナでやっていた形に近い。

ペジェグリーニは、ビジャレアルやマラガでやっていたサッカーを、
確実にシティで浸透させています。

ちなみに、シルバのゼロトップはスペイン代表で見たかった形なので、
そういう意味でも見応えがあったかな。

僕が見た試合では、EURO2012のグループリーグ・アイルランド戦で一度だけ、やっているのを見たことがあります。
シルバとセスクのゴール、F・トーレスの2ゴールでスペインが4-0で勝利した試合ですね。

また、見たいな~。
シルバのゼロトップ。



『戦術』というのは、相手があって成り立つものだと思う。

相手のセンターバックが、前には強いけど後ろに弱いとか、
サイドバックが裏を取られやすいとか、
サイドハーフは攻撃では良いけど守備をしないとか、
そういうことを細かに突き詰めていくことが戦術なんだ。

もっと言えば、
相手のセンターバックは後ろに弱く
サイドバックは裏を取られやすいから
その間にディアゴナルランしろ、とか
そういう指示がひとつひとつ重ねられることを
戦術と呼ぶのだろう。


戦術、というのは細かく、細かく、細かいものだけれど、
それは相手があって成り立つし、その分析を下にしなければ
戦術はあり得ない。

「戦術眼が...」「戦術理解度の高い...」という形容は、
要はそのアイデアをどれだけ豊富に蓄えているのかという話でしかない。

朝、BAR(バール)に行く。

すると、そこには『マルカ』や『ムンド•デポルティボ』などのスポーツ紙が置いてあって、その1ユーロの新聞を、みんなで一日中回し読みする。

お昼には情報番組のスポーツコーナーで大々的にサッカーが取り扱われ、平日の真っ昼間からサッカー番組顔負けの情報量が流される。

ビールにつまみを頬ばりながら、いい歳したオジサンたちが、やいのやいのと己のサッカー観をぶつけまくる。

これがスペインの日常であり、サッカーが文化として根付いている国の日常である。

そこでしか生まれ得ない感覚や価値観があり、発展があると個人的には感じている。

それをまた今後、このblogを通じて伝えていきたいと思った。

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右サイドをやられても、左サイド崩せばいい。
それがサッカーだと思う。
ピッチ上には無数の駆け引きが存在し、一方を得ればもう片方は捨てることになる。90分を通じて、戦術という名の針路を頼りに、個々の選手たちはその縛りすら解き放つ。そしてまた新たな戦術が生まれる。
作っては壊す、それがサッカーなんだ。